フオリサローネFUORISALONE 2019 その2
年々、ブレラ地区の比重が増して、今回は、イベントの数では、元来フオリサローネの中心地であったトルトーナ地区を超えたようです。 自分にとっても、ブレラからガリバルディの辺りは、立ち寄りやすくもあり、また、親しみもある地域でもあり、今回も、結局は入り浸った感じです。 一方で、トルトーナ地区は、数年ぶりにスキップしてしまいました。というのも、あまりの人出にうんざりしてしまったこと。トルトーナ地区は、もともと集客力がすごく、人出が半端ないのですが、今年は、例年以上に見学者が多い印象を受けていましたので、あの狭い通りのどこにも人があふれているかと思ったら、想像しただけで疲れてしまいました。それに、フオリサローネの冊子を見ても、どうしても見たいと思う展示は、一つ二つしかなかったのです。
そんなわけで、今回も、ブレラからガリバルディにかけてのイベント、続きとなります。
An Extraordinary World by Marc Ange Palazzo Cusani
Marc Angeが一体何者なのかもわからなかったのですが、フオリサローネのサイトでも、ブレラ地区のサイトでも、一押しのイベントだったのと、このクサーニ宮は、この数年、自分が見ている時期では、上の中庭部分をカフェにしつらえたりしたことはあったと思うのですが、展示で使われたことはないように思われ、ちょっとは行ってみたいと思ったために、イベント本体への興味もないままに、訪ねたのです。
フオリサローネのメインは、自社店舗を使用しての作品発表となりますが、私のような素人にとっては、普段入れない場所や、美術館などを利用した展示が見学の目的となります。だから、訪問先をリストアップする際も、基本的には会場をチェックしています。ふふ、家具およびインテリア全般の見本市を楽しむというより、普段見られない場所とアートのミスマッチを楽しむ感覚です。
18世紀にたてられたお屋敷ということですが、ドゥオモ脇にある王宮と、ほとんど同じスタイルのつくりとなっています。各部屋が、横並びにつながっていて、廊下がなくて、部屋の中をずーっと通り抜けていかないと移動できない作りなんです。 お部屋と、そしてその使用法が、今の感覚と違うみたいですね。おそらく、プライベートなお部屋は、こういう並びには作らないのでしょうけれど。
さて、その横並びのお部屋、18世紀的なインテリアの施されたお部屋に、こんな家具が置かれているんです。
すごく素敵なベッド。しかしこれ、夜中にトイレに行きたいと思ったら、気を付けないと、ぐるりと取り囲み状態の植物風の柵にぶち当たりそうで、笑。
こんなソファが一つあったら、家の居間はそれだけで満杯になって、足を引っかけなければ移動もできないような印象のソファ。ファブリックが素敵でした。
テーブルだと思うのですが、大理石風とか、素材が結構このお屋敷とマッチしています。とはいえ、重厚なのか、現代的なのか、正直コンセプトがわからず、何となし、納得できない内容でしたが。
窓から見えた秘密のお庭。今この宮殿が何に使われているのか知りませんが、おそらくかつては、もっと広大な庭を持っていたりしたんじゃないでしょうかね。そういうことを思い描いたりして楽しむのも、このイベントの特典です。
さて、この日は、雨がぱらつく寒い日だったし、いくつか見て、さっさと帰ろうと思っていたのですが、この後、ちょっと興味のあるイベントに向かったところ、なんと。
何メートルくらいでしたかねぇ。すごい行列だったんです。奥の方、小さくスクリーンみたいのがありますが、そこまでずっと。で、たまたまいた係の人が、申し訳なさそうに、ここだと、1時間は待ちますね、と。 それは嫌だと思いつつ、つい行列の後ろに着いたら、どんどん後ろに人が並ぶもので、どうにも抜けられなくなってしまいました。 結局、1時間強待つことになりました。
Aqua, La vision di Leonardo by Salone del Mobile Conca dell'Incoronata, Via San Marco
今年は、レオナルド・ダ・ヴィンチが亡くなって500年記念の年でもあるということで、このフオリサローネでも、レオナルドへのオマージュ企画が、いくつかあったようです。これは、サローネ・デル・モービレ、つまり見本市の主催者企画ということらしいのですが、レオナルドの描いた水にインスピレーションを得た展示ということです。同時に、私もミラノに住むまで認識していなかったのですが、人生の結構長い時期をミラノで過ごしたレオナルドの、運河への関与にも言及しているものです。 ミラノのナヴィリオ地区といえば、かつてはミラノ一オシャレで楽しい繁華街となっていたわけですが、ナヴィリオとは運河のことなのです。ミラノは、町中を川が流れていないため、遥か郊外を流れる川から水を引いて、運河を作ることで初めて、あの壮大なドゥオモの建造も可能になったのです。 つまり、かつては、町の真ん中を、運河が流れていたのですよね。そして、その運河の建設に、レオナルドがかかわっていたとされているのです。
今では、町の中心部は暗渠となってしまい、南側にナヴィリオ、北側にマルテサーナとして、郊外部分は、当時そのままに流れています。
というわけで、1時間強、寒い雨に打たれながら行列に並び、やっと、扉にたどり着いた時は、本当に嬉しかったです。
実は、この会場となっている場所も、もともと運河で、水が流れていたのだと思います。でも、本線ではなくて、支流のようなものだったのでは。そのため、水を抜いて、今はこの一帯は公園のようになっているんです。この段差の下は、水のあった場所ですね。だから、町のコンテクストとして、ちょっと面白い高低差のある場所なんです。ブラタモリ的です、笑。
1時間以上待ったのですが、見学は、たったの5分です。入れ替え制で、実施され、入り口には、水が天井からぴちょーんと落ちてくると、増幅される代物がありました。なんか、みんなのワクワク感が、いやおうなしに増幅されていきます。
で、奥に入ると、暗闇。グループが入り切ったところで、音楽と水のショウが始まります。
動画をちょっと撮影したのですが、残念ながら大いに失敗しました。 とっても美しくて、動画どころじゃなく入り込んでしまったんですよ。 天井から、粒々になったような水が降ってくるんです、スペースのあちこちで。 一直線なんですが、すごく粒々で、見ていると、降ってきているのか、下から登っているのか、わからなくなるような錯覚を起こさせるんです。
始まる前に、水に当たっても、触っても、それは自由ですが、転ばないように、壁に手を付けているように、という注意がありました。途中で、触ってもいいんだ!と思って、手を出してみたんです。
よく写真が撮れたと思います。実際には、本当に美しかったです。 写真だと、水の粒々が、ちゃんと粒々に途切れて写っていますね。実際は、粒々感はあるのですが、つながって見えていました。
最後に、映像が流されて、イベント終了。正直5分とは思えない密度でした。 行列という意味で、数年前、ミラノ万博で並んだ日本館を思い出しました。日本館のときも、1時間以上並んだと思いますが、そして、あそこのイベントは、もっとずっと長い時間ありましたけれど、正直、このレオナルドの方が、満足感が高かったです。 やはりアートですね~。
見学を終えて、外に出ると、私が並んだ時同様の長さの行列がありました。頑張った甲斐があったように感じました。 外には、運河を模した、小さなプールがありました。
すっかり満足して、ガリバルディ駅まで歩きながら、路上インスタレーションを楽しみました。
通りかかったついででもあるので、おなじみのギャラリーにも立ち寄ってみました。
Corso Como 10, Galleria Carola Sozzani
ここでは、二つの展示がありました。
Chris Ruhs – Calm before the storm
お洒落で巨大な鳥かご的な。すっごくかわいいモチーフの、かわいい素材で、これはほしいタイプのものでした。いや、この大きさは無理ですけどね。
Forme - Umberto Riva, Architetto, Designer
こちらは、著名建築家兼デザイナーであるウンベルト・リーヴァの、レトロなランプシェードの展示で、なんだかとても癒されました。 色々とんがったインテリアの展示が多いせいか、こういうレトロな普通の家具的なものが、目に優しいって言うか。
ブレラ地区、今後も大いに期待できそうです。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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2019/04/15(月) 00:33:44 |
ミラノ・フオリサローネ
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| コメント:2
> Atsukoさん
失われた時を求めてと反対に、風景からお味を…笑。それもボンゴレとは、とてもイタリアンです。
2019/04/15(月) 21:52:00 |
URL |
corsa #79D/WHSg
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