フオリサローネFUORISALONE 2019 その4
季節ものなので、なるべく早めに、サクサクとアップしたい記事なのですが、どうも最近、仕事が忙しかったり、住居の年次総会があったり、と時間は取られるし、エネルギーも萎えることが多くて、思うように行きませんが、どうぞ、気長にお付き合いくださいね。
さて、前回紹介したミラノ中央駅の高架下で展開されているVenturaイベント、続きとなります。
Raytrace by Benjamin Hubert for Cosentino
Dektonという、特殊な素材をフューチャーした展示だったようです。展示のインパクトはなかなかで、大型の美術館などを使用して行うような大型のインスタレーションでした。どうやら、この通路を作っている素材が、そのDektonという素材のようです。
美しいし、イメージ的なインパクトはあるのですが、ただ、通路を歩くだけなので、素材についての訴求力が弱いというか。スタッフもいないので、説明する気もないようだし、こういうのは、ちょっともったいないように思いました。
この素材が、いかにすごいか、というのは、素人には全くわかりませんが、説明をしてもらえると、おお!となるかもしれないと思うからです。
まぁ、商売にならない素人を相手にする気はないというところなのでしょう。確かに、こういう、最終消費者があまり関係ない素材メーカーさんとしては、仕方ないかもね。
この辺りで、もうかなりヘロヘロになっていて、惰性で、次々と展示を巡る状態だったのですが、人だかりがしていると、どうしても、もういいや、という気持ちになれず、何かにとりつかれたように、回っていました、笑。
Bodies in Motion, Designed by Todd Bracher & Studio TheGreenEyl
Humanscale
暗闇に、光でできた鼓のようなものが浮かび上がっていて、なんだと思ったら、光が動いています。
奥の方に、お立ち台のようなものがあり、そこで、音楽に合わせて、人が踊ると、その動きに合わせて、光が変わってくるものらしいのです。
わたしが入った時踊っていた人は、地味ながら、雰囲気のあるゆらゆら動きをしていて、光もいい感じでした。
色々体験するの好きですが、運動音痴の私としては、こういうタイプの参加は無理。でも、皆さん、次々と体験していました。
次は、ネットでちらりと見て、これは、まさにインスタ映え、というやつでは?と期待して訪れた展示です。
Patterns as Time
by Atma (鈴木良、小山あゆみ) / Noiz (豊田啓介、葵) for DNP (大日本印刷)
なんだか印刷しまくっているようなスペースでした。上のが、Noiz作。
この、インスタ映えな様子に目が惹かれて、全体としてとらえてしまうのですが、実は、DNPが取り組んでいる作品は、この展示に組み込まれて、意外と地味にあるオブジェクトだったのです。
展示の片隅に佇んでいらしたスタッフさんを捕まえて、お話を聞くことができて、とても興味深い時間をすごくことができましたし、幅広い製品への取り組みを知ることができて、面白かったです。
そのオブジェクト、一つは、縞々の中に、左の方にグレイの、そして右の方に黒い物体がありますが、これ。
これは、天上から下げられているランプなんですけれど、すごいんですよ。
説明を聞いても、物理とか化学とか数学とか、その辺の学問がとんとだめな頭には、すっきりと入ってこなかったんですが、もらってきたパンフを読んで、ちょっとだけ、そういうことだったのか、と思いました。なんでも、電子ペーパーの鷹揚なんだそうですが、これ、白からグレイ、黒へと色が変わるんです。上の写真にあるグレイも黒も、同じ製品なんです。
そもそも、電子ペーパーがどういうものなのかもよくわかっていない私に、わかるわけもないんですけれど、極小電池が組み込まれていて、それによって色の粒子が移動したりして、それで色が変わるとかそういう説明でした…。書いていて、嫌になるくらいわかっていない感じが明らか。説明される方も、なんかわかんないけどすごい!と面白がる私に、うんざりしていたかも、と思います。
縞々がすごすぎて、わかりにくいですが、背もたれの高い椅子。
この同じ椅子が、この電子的な作用で、こうなるんです。
白黒が反転したりするとおっしゃっていたような。
これらは、まだ商品化には至っていないということですが、電子の世界は、いろいろな可能性があるのですね。まさにあなたの知らない世界が、てんこ盛り。
実用になるんだかどうかわからないで、それでも研究して、そういう何かが、いつかこういった実用品に活用される日が来たりするのだから、実際の研究は地味だと思いますが、すごいことです。コツコツ、私には絶対できないことだ~、と、そういう感心もしてしまいます。
スペースのもう半分は、タイプの違う展示となっていました。
この、釣り下がって、美しい光を放つ作品で、こちらがAtmaの作品です。
お若い二人のデザイナーのユニットで、ご本人も展示にいらっしゃっていて、ちょっとだけお話をしました。とても控えめ。
イタリアでそういう職業の人って、イメージとして、「俺が俺が」という自己中系の人が多いと思うんですが、まぁ、アーティストなら、それでもいいのかと思うところもあるのですが、でも、インダストリアル・デザイナーは、やはり顧客あっての仕事でもあり、クライアントの意図を汲む、という意味で、やはりこういう控えめなタイプの方が、正しい気もします。
それにしても、本当にピュアな初々しい様子のお二方で、イタリアくんだりで仕事したら、オレオレ系の人に、ついて行けないのでは、と勝手な心配をしてしまうオバサンでした、笑。
強化ガラス素材に、江戸小紋のモチーフを、レーザーで彫りこんでいるものです。この物自体は、ただそれだけのものなのですが、光を当てることによって、小紋が、微妙な浮き上がり方をしたり、素敵な反射をしたりして、間接照明的なインテリアとして、面白いものとなっています。
これは、すでに結構引き合いがあるとおっしゃっていました。確かに照明メーカーが飛びつきそうなものだと思います。
小紋は、東京は早稲田にある富田染工芸という100年以上続く老舗に提供されたものだそうです。
2年前でしたか、パナソニックさんが、京都の老舗職人さん達とのコラボで、面白いものをたくさん作って、持ってきていましたが、現代の技術と、伝統工芸とのコラボというのは、意外とはまるものがあるのだろうと、改めて納得です。職人さんが守ってきたものには、やはり何か時代を超えて訴える力があるのでしょうね。
かなり満足して、残りも端折らないで見る元気が出ました。
Unfluencer, De-Sinning the design
Freitag in collaboration with Georg Lendorff
入り口に並んでいる招き猫が胡散臭くて、引き返そうかと思ったのですが、暗闇は、苦手なくせに、引かれるものもあり、ふらふらと入っていきました。
そうしたら、極彩色の照明が当てられて、怪しく光る不思議な空間が現れました。
なんだと思ったら、中に人がいますので、私も入ってみることに。
これ、細くて白い糸が、無数に下がっているんです。行ってみれば、巨大なすだれ、みたいなことになっているんです。縦横無尽で、5x5とか、いや、もうちょっと小さいのかもしれませんが、倉庫スペースの真ん中にしつらえられた四角いスペースに、ぎっしり糸。そこに、派手な光が当てられているという展示です。
言ってみれば、それだけなんですが、中に入ると、実に不思議な浮遊感があり、面白かったです。糸が下がっているだけなのに、見えない壁があるような、変に柔らかい壁を通り抜けているような感覚。左右前後上下が、見分けがつかないような。
照明の無限の可能性みたいなものを感じました。
手を伸ばせば届く場所にいる人も、ずっと向こうにいるように感じられて、ますます自分のいる場所がわからなくなります。
びっくりした!疲れたなんて言って、見ないで帰ってたら、大損でした!
最後は、ちょっと人も並んでいたから、一瞬悩んだのですが、上の直後だし、損したくないし、笑、ちょっとだけ並んで、入ってみることにしました。
A Piece of Sky by Sky Frame
これも、どうやら体験してこそ、という展示だったようです。
ビクターの蓄音機に、音の出るラッパみたいなやつの、内側に光があふれていて、多分そこに立って、踏み方とかで色や音が変わるとかそういう仕組みなんだと思います。
その場にいたのは15人程度で、体験しようと思えばできたのでしょうが、さすがに人々をかき分けて、俺が!と頑張る気力はなく、他の人の立つ様子を見ながら、サクッと出ました。そしたら、なんと私を含む集団が、最後の見学者で、すでに外は店じまいしていました。
そう、気付いたら、会社を18時に飛び出して、18時半から見学開始して、この地区の終了時間20時まで、脇目もふらず、駆けずり回っていたんです。ちょっとびっくりしました。
次は、今回人気の高かった展示を紹介するつもりです。
最近はまっている写真サイト。ロマネスク写真を徐々にアップしています。
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- 2019/04/18(木) 05:53:46|
- ミラノ・フオリサローネ
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| コメント:2
> Atsukoさん
すぐ返信できず、スミマセン。楽しいイベントがたくさんあったので、遅ればせでも、アップしています。
- 2019/04/25(木) 16:37:00 |
- URL |
- corsa #79D/WHSg
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