ベネチアって、とても古い歴史的な、どっちかといえば古色蒼然とした感じなわけですが、ビエンナーレがあるせいか、現代美術が昔からしっかりと根付いている町です。イタリアは、ローマからルネサンスの古いアートが中心なので、現代美術に目覚めてきたのはかなり最近という印象です。最近でこそ、州立や県立、また私立の財団などによって、現代美術館があちこちに出来て、結構活発に活動もしているようですが、ベネチアの現代美術の歴史は、そういう中では、本当に古い、特筆すべきものなのです。
そんな中、つい最近、二つの古い建物が改装されて、改めて現代美術館として復活しています。その建物の設計を行ったのが、日本の誇る建築家安藤忠雄。ということで、このビエンナーレで訪れた機会に、是非訪ねてみたいと思いました。 その一つは、サン・マルコ広場の対岸の、島の先っぽにある、かつての税関の建物(17世紀)です。ここは、おそらくとても長い間、廃屋状態で放置されていたのではないでしょうか。
これがその建物の正面。海に向かっています。その名もPunta delle Dogana税関の先っぽ。なんせ、三角にとんがっている島の先端に立てられている建物なので、裏側は四角い普通の建物っぽいのですが、土地にあわせて、どんどん先細りになり、この本来の入り口前は、小さな三角の広場になっています(下が、裏側、今の美術館の入り口)。
別に安藤忠雄が好きってわけではないし、彼の建築は写真や映像でしか見たことがありません。でも、実際に現場に立つと、単純に、建築家ってすごいよなぁ、と思うものですねぇ。改装改築って、きっと新築よりもずっと難しいと思うのですよ。あるものをどこまで活かすのか、どこまで自分を出すのか、そういうことのせめぎあいがねぇ。 いやいや、なかなかよい建築でした。先細りの全体に細長い空間を、現代美術に合わせて大きな空間で仕切って、装飾的なものはミニマム。それも、おそらくもともとあった窓の形なども美しく活かしていました。
あるものは、まさに現代美術ですよ。ここで初めて!村上隆のフィギュアにも遭遇しました。あれはすごいインパクトですねぇ。それにしても、あれを億の金で購入する人がいるというのは…。素敵なガラスの作品があったり、なかなか充実したコレクションだったと思います。ビエンナーレのあとなので、撮影禁止は、ちょっとストレスでした。
建物の本来の正面玄関の前にある少年像。かわいらしいのですが、なんせ先端に立っているので、全体撮るのも大変。海に落っこちそうで、恐る恐る動きながらです。誰もが、ちょっとへっぴり腰で写真を撮っている姿は笑えます。
そこからサン・マルコ広場を望んだ風景。ヴァポレットで一駅、ヒョイッと運河を渡るだけです。
ショップと、それに併設したバールが充実していたので、のんびりと休みたいときにはお勧めかも。まだ知名度も低いからか、昼時だというのにバールもすいてました。それにお値段も結構リーズナブルなんですよ。あ、美術館の入場料が割りと高いからかな。
もう一つの建物は、パラッツォ・グラッシという、もともと展覧会会場に使用されていたものですが、今回はPuntaだけ見学してきました。一つくらい、次回に残しておきましょう。ビエンナーレの跡は、いつも、よかったなぁ、次回も来よう、と思うんですけど、結構パスしちゃうんですよね。ビエンナーレのない年は、建築ビエンナーレがあるので、来年は行ってみようかな、とひそかに考えています。
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2009/10/22(木) 04:57:32 |
アートの旅
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