fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

マコンの家庭栽培ブドウを味わう寄り道(ソルトレ・プイイ、ビュシエール)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その6

マコン地域の、地味教会、続きです。本当に地味ですが、なんか、回っちゃいましたね、笑。この辺り、小さい場所にひしめいているので、そういうことになっちゃうんですよ。まずは、こちら。

2018 france centre 068

ソルトレ・プイイSolutre'-Pouillyのサン・ピエール教会Eglise Saint Pierre。

近いし、どうせ通り道だし、という感じで立ち寄った場所ではあるのですが、そして、そういうスタンスで立ち寄っていますから、旅の間のメモも、一行どころか一言も書いてないんですが、それなのに、妙に覚えている不思議。
ヒトの記憶って、いったい何に根差しているんですかね?この、ロマネスクの旅をしていると、本当に不思議になりますよ。だって、かなり興奮して、メモなども多数記しているような教会でも、ちょっと時間がたつと、すっかり忘却の彼方、ということがある一方で、こういう、言ってみれば片手間的に訪れた場所のことが、妙に残っていたりするんですから、謎、としか言いようがないですね。

ある意味特筆すべきは、この、現在の地面からのめり込み状態ですかね?
ファサード側に顕著です。

2018 france centre 069

千年にわたるチリも積もれば、という視覚化が、ロマネスク探訪ほど分かりやすい事例はないと思います。場所によって異なりますが、いずれにしても、千年前の地面と今の地面の標高差が、時間を視覚化してくれるんですから、歴史好き必見。いや、歴史というよりは、地形ファン必見なのかな?

ふふ、どういう場所でも、何か見つけようとする気持ちが、そういうところに行くのかもしれませんが、ここ、本当に地味ですが、そういう時間の視覚化とともに、後陣の姿は、結構美しいのです。

2018 france centre 070

ボリュームの違いはありますが、この辺りの後陣と鐘楼の様子、わずかな数を見ただけでも、共通項が、すでにしてインプットされますよね。
後陣側は、高台に建っていた、おそらく当時のままの雰囲気を残しているように感じられました。

2018 france centre 071

中も、特筆すべきはなかったのですが、それでも、やはり入れることは嬉しいものです。

2018 france centre 072

鐘楼につながる階段でしょうか。木製の天井もそうですが、そういう構造的なものには、何かしら心ひかれるものがあります。木は、往時のものではないとしても、構造は、ほぼ、おそらく当時のままと思いますんで、中世の姿を目の当たりにしているという、ちょっとした興奮はあるんですよね、こういう教会って。

それに、これに関しては、フランスいいな、と思うんですが、これ。

2018 france centre 073

現代モチーフのステンドグラス。
勿論、本当に嬉しいのは、創建当時そのままの、窓というよりはすき間みたいな開口部にはめられたアラバスターの板とかそういうものだったりするんですが、でも、半端に修復されているような開口部なら、いっそ、現代的なステンドグラスが好きです。

さて、車で15分ほど移動して、次の教会へ。

2018 france centre 074

ビュシエールBussieresのサン・ポール教会Eglise Saint-Paul (Rue de l'Abbe Dumont)。
田舎っぽい屋根の様子が、とても好きです。

ここは、道沿いに、わずか高台に上る感じで村があるんですが、道と同じレベルに、結構広い駐車場があって、大変ビジターフリーというか、優しい村です。

2018 france centre 075

確か、公衆トイレもあったような気がします。ありがたいです。そして、周辺の景色も、大変美しい地域です。いまだマコンですからね。ワイン産地ですからね。

2018 france centre 076

ワイン産地って、やはりブドウの緑がふさふさしている時期がいいんですよね。上の写真で、手前がブドウの緑なんですけれど、ブドウ畑って、畑なわけで、葉っぱの緑がないと、茶色の地面なんですよ。
この春、白ワインが有名なアルザスに行ったのですが、まだぶどうの葉っぱがふさふさには程遠い季節だったので、風景がちょっとつまらなかったんです。そんなことで、イメージも変わります。夏に行くと、大抵ワイン産地は、秋の収穫を待って、緑が一番ふさふさしている時期なので、文字通り緑のじゅうたんみたいな風景が広がりますね。

何で、教会そっちのけでそんな話になったかというと、この教会については、教会よりも、ぶどうの印象が、圧倒的に強いからなんです、笑。

教会は、小さな村の中心に立っていて、とても美したたずまいなんですけれど、教会を囲む家の一軒の壁に、ブドウのつるが張っていて、それを熱心に手入れしている女性がいたんです。

2018 france centre 077

一本のつるに過ぎないのに、結構立派なブドウの房がいくつも下がっているので、この人、きっと緑の指を持っているんだなぁ、としばし感心して眺めていたら、「小さいけど、結構おいしいのよ」と、三つぶか四つぶ、お手入れのハサミでパチン!と切って、くださったんですよ。早速いただいたら、本当に甘くておいしいブドウでした。

超片言のフランス語で、教会のたたずまいが素晴らしいし、こういう場所に住まって、こういうブドウを楽しむ暮らしの美しさなどをほめたたえたと思うんですが、本当に、豊かな暮らしだと思います。豊かさって、金でも知識でも業績でもなく、日々の暮らしにありますよね。なんか、そういうことをしみじみ感じさせられました。

教会は、とってつけたようでなんですが、中はもう、なんていうか、漆喰ぬりぬりもいいところだし、今のフランスの人たちが好きなような、すっきりきれいな内装にされちゃっていて、ロマネスク的に見るものもないんです。

2018 france centre 078

ちょっと面白いのは、ここでも、木製の天井かな。

2018 france centre 079

船底天井とかいうんでしょうか。確かに船の底の部分を、ひっくり返したような。これは立派な造作だと思いますし、こんなのは初めて見ました。檜皮葺、とか、そんな言葉を思い出しました。トンネル・アーチになっている間は、薄い木の板をびっしり並べて吹いているような構造ですからね。これは、伝統工法なんじゃないですかね。

山間の村だから、木も豊富だし、おそらく木の職人さんが、多くいるんじゃないかと想像します。構造の各所にも、なんか愛らしい遊びがあって。

2018 france centre 080

ね、かわいいですよね。
どこにあるか、わかりますかね。

2018 france centre 081

小さいながらも、存在感があり、忘れがたい教会二つでした。

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログ 建築鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

インスタグラムに、これまでのロマネスク写真を徐々にアップしています。
Instagram, Notaromanica
スポンサーサイト



  1. 2019/06/04(火) 05:48:06|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:2
<<6年ぶり、とうとうリベンジ(ベルゼ・ラ・ヴィル) | ホーム | いきなりワイン・ツ―リズムに転じざるを得ず…(ロシェ、フュイセ)>>

コメント

やはりここのサイトは写真が美しくて良いですね!
1ヶ月も家を留守にしていました!
このサイトのスマホでの設定をしていませんでしたので
ご訪問が遅れました!
ヤフーブログは私が帰宅した6月4日に移行ができるように
なりましたのでFC2に引越していますが
アメーバブログにも引越しできましたので2箇所に過去記事が残されることに
なりました。
ヤフー指定のサイトに移行するとヤフーには記事がかけなくなります。
読むことはできます。
  1. 2019/06/05(水) 21:52:13 |
  2. URL |
  3. Atsuko Rossé #-
  4. [ 編集 ]

お久しぶりです

Atsukoさん
長くご旅行されていたのですね、お帰りなさい。
新しいブログは、以降についても、記事のアップについても、割とすんなりできたのですが、どうも自由度が少なくて、今のところストレスが多いです。
が、見てくださる方は、見やすいと言ってくださったので、使い勝手と見やすさは、別もんなんですね、笑。
今後とも、よろしくお願いします~。
  1. 2019/06/08(土) 10:42:21 |
  2. URL |
  3. corsa #swS.pImU
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する