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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

6年ぶり、とうとうリベンジ(ベルゼ・ラ・ヴィル)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その7

おいしいブドウの味見をさせていただいたビュシエールBussieresから、ほんの10分程度のドライブでたどり着いたのが、この日のメイン・イベント!というのも変ですが、ここは、2012年のイースターに、駆け足で、初めてブルゴーニュのロマネスク巡りをしたとき、訪ねているのです。

ブルゴーニュ その36という記事で、書いています。
2012年の旅

早朝に行き過ぎて、空振りだったので、次回ブルゴーニュに行くなら、必ず立ち寄らなければいけない、と満を持して、というところでした。6年、長いような短いような。幸い、ロマネスク教会は、数年ぶりに訪ねたところ、写真撮影禁止になったいた、とか、美術館になっていたとか、そういうことはあっても、そうそう様子が変わるものでもないですし、また、ここほど有名な場所は、きっといつまででも待っていてくれるだろう、という安心感もあって、6年の間にも、行こうと思えば行くチャンスはあったにも関わらず、無理やり訪ねることはしませんでした。
今回の旅では、まさに旅の途上にあったので、じっくり雌伏で、正解だったと思います。

2018 france centre 082

ベルゼ・ラ・ヴィルBerze-la-Villeのモワン礼拝堂Chapelles-des-Moinesです。
(4月、メーデーをのぞく5月、10月:9.30-12.30/14-17.30、6月から9月:9.30-12.30/14-18.30)冬は閉まっているようなので、注意、です。入場料は3.5ユーロ。

2012年に訪ねた時は、オープンが10時からだったので、少し早まったのですね。事前の調査でも、10時からとあったし、過去の印象もありますので、あまり早く行っても、と思い、11時頃到着したのですが、観光地的な場所となっているので、おそらく早朝一番、というのが、理想的では、と思います。

入り口を入ると、まず、古い構造物を通り抜けていくようになっていて、そこに、教育的なヴィデオなんかが流されていました。

2018 france centre 083

が、私の目的はフレスコ画ですから、ここじゃない!と一瞥して通過し、先に進みます。

で、また一旦外に出て、階段を上って、木の扉を押し開けると、おおお~!

2018 france centre 084

いきなり目に飛び込んできますから、これはインパクトあります。とっても狭い礼拝堂なんですよ。スペースに比して、フレスコ画に覆われた部分がすっごく広いんで、すごく強烈なんです。

まずは、どうしても、この後陣で、アーモンドに鎮座のキリストに目が引き寄せられます。背景の青が何ともいい味わい。

2018 france centre 085

アーモンドの両脇は、十二使徒で固められているようです。例によってわかりやすいピエトロさんは、向かって右の方で、でっかいカギを持ち、文書を渡されていますね。

2018 france centre 086

左側で、祝福を受けて、頭を垂れている筆頭にいるのが、気難しそうなパオロさんでしょうね。うん、なんか、パオロさんのイメージってこんな感じかも。

2018 france centre 087

キリストさんは、優しいお顔で、目張りがばっちりです。この辺は、もしかすると後代の修復入っているのかもな、と感じます。アップだと、ちょっとオリジナルの顔と違うんじゃないの?という印象受けませんか?

2018 france centre 088

私が気になったのは、上から下がっている神の手。変じゃないですか?妙にたくましくて、吊り輪やってるアスリートみたいで、笑。

下半身もアップ。

2018 france centre 089

はだし?と思って要見たら、ほそーい止め紐付きのサンダル履いてるようです。見えるかな。
それにしても、このひだひだはすごいですね。フレスコは、11世紀初期から、と古いものは古いようですが、やっぱり後の手が入ってるよね。

下の方に下がるにつけ、なんとなくビザンチンの影響とかを感じてきたんですけど、どうでしょうか。

2018 france centre 090

植物モチーフの帯とか、そういう装飾的な部分も、まるでモザイクのような。

2018 france centre 091

柱頭の上の部分には、女性の聖人が、描かれていますが、その衣やアクセサリーなんかも、とってもビザンチン風じゃないですか?開口部を囲む部分の帯は、ラベンナのモザイクを髣髴としますし、柱頭から出ているアーチの縁取りも、宝石をちりばめた感じで、やはりビザンチン的な印象を受けます。

手も複数入っているようだし、時代も、結構長く費やされているように感じます。

2018 france centre 092

フードの聖職者の感じは、パヴィアの古いクリプタで見たフレスコにも通じる様子で、時代が下るのでは、という印象です。
それにしても、よくぞここまで残ったもの。

2018 france centre 093

この距離感は、強烈ですよね。

左上の方に、花が飛び散っているのが見えるでしょうか。
天国のイメージとしての、ケシ的な赤の花畑。これは、ロンゴバルドでも、ビザンチンでも、結構共通したイメージで、面白いですよね。
限りなく美しい場所は、お花の咲き乱れる場所、という約束が、広い範囲であったのでしょうか。コーランとかでも、そういう記述があったんでしたっけ、確か?結構直接的で単純ですね、笑。

2018 france centre 094

祈りのスペースの壁や天井は、今は漆喰だけで、何もなし。おそらく、もともとはすべてフレスコ画で覆われていたというやつでしょうね。ここはなぜ、後陣部分しか残らなかったんだろう。というか、後陣だけがこれほどちゃんと残ったというのは、全部が残ったというよりも、さらに奇跡的なのではないかと思います。
2018 france centre 095

ここは、ネットでも多くの写真を見ることができると思いますが、できれば現場に行きたい場所だと思います。

気に食わなかったのは、監視の意味もあるのでしょうからわからないでもないのですが、この狭い本堂の中に、チケット売り場とショップがあるんです。祈りの場所という体裁を保ちながらも、思いっきりぶち壊しているんですよねぇ。入り口は、ちょっと離れた場所にあるのですが、どうやら、人が入る度に、キンコンとチャイムみたいのがなるシステムがあったようで、かなり耳障りに感じました。大勢が押し寄せることはないのでしょうが、三々五々、一般の観光客も含めて、訪ねてくるので、人の出入りは結構あるんですよ。だから、常にキンコンなってる感じで。

ショップで、英語の冊子もあったのですが、一緒に置かれているフランス語版に比べて、明らかに薄っぺらいので、絶対情報量少ないと思って、あえてフランス語版を買ったため、ざっと読むことができず…。また、勝手なことを書いています。読み流していただければ、幸いです、笑。

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  1. 2019/06/06(木) 05:40:33|
  2. ブルゴーニュ・ロマネスク
  3. | コメント:8
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コメント

青の地色派

 再会したブログ、興味深く拝読させていただいております。
 BERZE-LA-VILLE の壁画に関して、思い出したことがあります。
 先般亡くなられた馬杉宗夫先生と一杯やったときに伺ったお話の中に、青い地色派の話がありました。
 青派にはビザンチンの影響が強いこと。特にSANT'ANGELO IN FORMIS のファサードにその痕跡
が見られる、ということなどでした。
 BERZEのキリストの赤い衣の下から、黄色い衣が出て来たことからも、かなり修復を繰り返してきたこと
は間違いない、というお話も印象的でした。
 corsaさんの記事から、故馬杉先生を思い出し、先生が好きだった赤ワインで昨晩献杯をしました。
 
  1. 2019/06/06(木) 03:27:02 |
  2. URL |
  3. ほあぐら #-
  4. [ 編集 ]

ほあぐらさん
いつもながら、興味深いお話をありがとうございます。青が、そうですか。Sant'Angelo in Formisは、いまだ訪問できていないのですが、あの、水色っぽい青、すごく印象的ですよね。ベルゼでは、現場でというより、写真を見て、水色系の青は気付いた感じです。ぎっしりと書き込まれているので、現場では、かなりの時間を過ごしたのですが、どうしても視線があちこちに漂って、見たはずなのに見ていないような、そういう感じでした。
買ってきた本でもちゃんと読んで、自分の勝手なイメージと、研究されたことなどを結び付けていきたいと思います。いつか、ですけど、笑。
  1. 2019/06/08(土) 10:48:08 |
  2. URL |
  3. corsa #swS.pImU
  4. [ 編集 ]

やはり、壁画には関心がむかいます。
青はラズベリーの粉を使いますから
かなり頻繁に使われた色だと思います。

リベンジが叶って良かったですね!
また拝見に伺います。
記事が残されていて一安心です。
  1. 2019/06/12(水) 10:30:46 |
  2. URL |
  3. Atsuko Rossé #-
  4. [ 編集 ]

ラズベリーの青

Atsukoさん
コメントありがとうございます。
ラズベリーって果物の?
鉱物だと思っていました。

あれから6年、長いような短いような、不思議な気持ちになりました。あの時思い切って、ブルゴーニュに行って、本当によかったと思っています。あれがきっかけで、フランスが身近になりましたから。
リベンジは、おかげさまで、嬉しかったです~!
  1. 2019/06/12(水) 21:39:05 |
  2. URL |
  3. corsa #swS.pImU
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御免なさい
時々日本語をわすれます。
鉱物でラピズリーですね!
  1. 2019/06/14(金) 11:10:53 |
  2. URL |
  3. Atsuko Rossé #-
  4. [ 編集 ]

そうですよね!

Atsukoさん
激しく間抜けな反応をして、スミマセン。そうですよね、ラズベリーって、そのまま受ける方がどうかしてますよね。変なところ素直なもんで、笑。
  1. 2019/06/17(月) 21:32:00 |
  2. URL |
  3. corsa #swS.pImU
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また行きたいです

こんにちは。以前お邪魔したことがありますが、新潟の「どつ」と申します。ベルゼ・ラ・ヴィルは12年前にバス+徒歩で牛の匂いを嗅ぎながら訪れた思い出の場所です。当時撮影禁止でバッチリ監視されていたので記憶の中にしか残っていません。再訪したいのですが車の運転が不案内なのでバスかタクシーになりそうです。年1回行けるかどうかのヨーロッパですが。またお邪魔させてください。
  1. 2019/07/06(土) 10:25:39 |
  2. URL |
  3. どつ #-
  4. [ 編集 ]

お久しぶりです

どつさん、訪問及びコメントいただき、ありがとうございます。バスと徒歩で、アクセスできるのですね、それはすごいです!あそこは、徒歩でアクセスしたら、格別な感動があるような気がいたします。
他の方からも、昔は撮影厳禁だったということ、伺いました。少しずつ、解禁されているところも増えている気がします。イタリアも含めて。
再訪がかないますよう、お祈りしています。
どうぞ、いつでも遊びに来てくださいね。最近、激しくさぼり気味ですが、再開しますので、よろしくお願いします!
  1. 2019/07/07(日) 14:52:19 |
  2. URL |
  3. corsa #swS.pImU
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