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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

人間的な器械とセルフ・ポートレート(ジャルディーニ 2)

ヴェネチア・ビエンナーレ2019 10

かなりさらりと流したつもりで、写真もなるべく控えめにしたつもりなんですが、それでも二日間みっちり見学すると、結構見ているもんだなぁ、とちょっと感心しながら書いています。
ジャルディーニ、続きです。

2019 biennale 134

スイス館。
ここも、ほんの時々、おっ、と思った展示があったりしますが、すごくほんの時々のような気がします、笑。
結構大きなスペースなんですが、壁一面の大きなスクリーンで、延々と退屈な映像が流されていました。靴をね、前後ろ逆にはいている人たちが、黙々と歩くんです。
訴えたいのは、発想の転換だったりとか、常識を疑えとか、そんなところでしょうかね。

2019 biennale 135

退屈なのに、しばらく腰を下ろして見入ってしまったのは、どう考えても、靴は前後逆にははけないはずなのに、なんかはいている様子で、普通の感じで歩いているのが不思議で~。そういうどうでもいい点に、結構食いつくタイプです、笑。

さて、各国パヴィリオンは、まだまだたくさんあるのですが、早帰りの同行者のために、やはりテーマ館を見ておきましょうということで、そちらへ。

2019 biennale 136

アルセナーレもかなりつまらなかったので、こちらも期待はできませんが、やはりビエンナーレに来たからには、テーマ館は見ないとねぇ。

2019 biennale 137

入り口。白くて、パステルで、インパクト薄いですねぇ。
これは、圧で、プラスティック的な板に、文字とか模様とか、色々浮きだしてくる仕掛けのやつ。でも、全体がこういう感じなんで、なんていうか、しっかり見てやろう、という気持ちにさせないんですよね。
出る時に、入った時と違う気がしたので、あれ?と思って、ちょっとキャプションを見て、あ、確かに違うんだ、と気付いて。でも、だからって、よく見直すとかもなく、あ、そ、と出てきました。薄い…。

蛍光灯で、文字通り煌々とした廊下。

2019 biennale 138

飛び出してきた男の子の赤いジャケットが、とても良いアクセントになりましたね。
これは、写真で見るよりも、もっとずっと煌々としていて、かといってまぶしいということではなくて、なんというんですかね、こういう電気と反射の効果って、これまでも異なる作品で体験しましたけれど、全体がのっぺりして、遠近感や境目が消えて、視覚が変になる効果があって、面白いんですよ。
でも、そういう効果を狙っているにしては、ちょっとばかり半端ではあったかもしれないです。
確か、アルセナーレでも、光の効果を使っていたRyoji Ikedaさんの作品だったと思います。

2019 biennale 139

シュールレアリズムの絵画。なんかなぁ。もちろん絵画もありですけど、今が今、そして、May You Live In Interesting Timesとか言っといて、これですかねぇ。
テーマ館、入って数秒で、やっぱりだめそうだね、という感じでした。

素敵な雰囲気の坪庭で、自然の色合いにほっとしたりして。

2019 biennale 140

ベンチみたいに並んでいる変な形の物体が、作品だったかもしれませんが、やっぱりちゃんと見ようという気にもならず。
なんかいやんなっちゃうな、というところで、ありがたいことに、心惹かれるドカンとしたものがありましたよ~。

2019 biennale 141

Sun Yuan & Peng Yu
Can't help myself

これは面白かった~!かなり大きなガラスで囲まれた中に置かれたのは、見るからに工業機械です。本体の目的はわかりませんし、違う器械の部品が組み合わされているのかもしれません。
これ、アルセナーレで、やはりガラスに囲まれて置かれていたレシン製の椅子と同じアーティストの作品です。
こういう工業機械の動きって、時として非常に人間的だったりして、見ていて飽きないなぁ、と思ったのは、数年前に、仕事で物流倉庫を訪問し、そこで、箱詰め商品を仕分けする器械に目が釘付けになった時です。ありえない速さだけど、結局やっているのは、人の動きのトレース的な動きだったりするんですよね。仕事そっちのけで、ずっと見ていたかったです。
で、この作品、何をするかというと、最初は、自分の周辺にたまっている色付きの液体を、自らのパレットで、せっせと自分の方に、集めていきます。
それは丹念に、床をこするようにして、ひたすら丁寧に集めるんですけど、ある時突然、発狂したかのように、パレットを持つアーム部分が、暴れだすんです。

2019 biennale 142

それはそれは激しい動きをして、この液体をあちこちに飛び散らせ、「これ以上やってらられねぇ~!」という絶叫が聞こえてくる気がするほど、すごいんですよ。
ところがひとしきり暴れると、ぜえぜえと肩で息をしながらも、頭を低くして、すんません、ちょっとイライラしちゃって、とかぼそぼそつぶやくように、また本来の仕事に戻る、というそういう仕掛け。
いやはや、人間的でした。
皮肉な意味で、テーマに沿う作品だと思いました。

そのそばで、こういうものがあっても、とても駄目ですよ。なんじゃこら、としか思えず…。

2019 biennale 143

建材を着るとか?そういうコンセプト?ミスマッチ?
どっちかというと、サローネ展示向け。アートなんですかね、この感じ?

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ビデオは好きじゃないと、いつも言っているんですが、時々食いつきます。特に疲れているときなんかは、ちょっと座りたいな、というのもあって、そういう時のビデオルームは、休憩所として助かったりします。

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John Rafman
Disasters under the Sun

7分53秒のアニメです。パッと見た時に、画面全体のインパクトがあったので、つい見てしまって、途中からは座って見てしまいました。疲れもあったのですが、引き込まれました。青い人たちが、土地に飲み込まれるようにして、滅亡的な様子となるのが、途中で希望的な光にあふれたり、頑張ってもダメで、それでも努力したり、なんか人生を凝縮したようなストーリーが抽象的な感じで、スピーディーに流れていくんです。
キャプションをメモしたくらいには、興味を持てました。他の作品もあれば、きっと見たと思います。

2019 biennale 146

んん?カーニバル?
なんだろう、変な着ぐるみ。なごむより怖いよ。

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セルフポートレートの作品の人だと思います。もしかして、なんか賞を取った人か?よく覚えてませんが、とにかく好みじゃないことは確か。色彩的に美しいと思いますが、テーマとかそういうもんは、まったく苦手
です。

セルフ・ポートレートといえば、Katayama Mariさんの作品、こちらにもありました。

2019 biennale 148

何でしょうか。見ていて痛い、と感じてしまって、どうも苦手です。何か望んでいないのに、突き付けられている感があるというのか。アート、なんでしょうか。自己表現という意味では、アート以外の何物でもないのか。
そういう意味では、アートの本質は何か、ということを提起しているような作品なのかもしれないと思ったりもします。でも、ここまでおのれを素直にさらけ出すものは、やはり苦手だなぁ。こういう作品だったら、作りこむタイプの方が受け入れやすいです。

続きます。

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  1. 2019/10/11(金) 05:12:14|
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