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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

親方と弟子の競演―空腹のせいか、色々妄想中(サン・ミヨン63)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ+α)の旅その50

空腹を抱えて、20分強のドライブで、次の村に着いたと思ったら、村の入り口にあたる場所に、どう見てもレストラン的なたたずまいの建物が!
大喜びで、急停車したんですが、なんとなんと、クローズでした…。
しばし茫然と佇んでいると、お隣の家から、ぞろぞろと出てきた一族郎党。思わず声をかけたところ、一人のおばさんがとっても親切で、レストランを探しているんだけど、という話を聞いてくださいました。
結局この村には何もないということで、どこそこまでいかないと、とかそういう結論だったように思いますが、しょせんほとんど不自由なフランス語だし、何を話したのかよく覚えていないのですが、すごく親切な女性だったことだけは記憶にあります。
そして、村の名前を見てもピンとこなかったのですが、ノートに書き留めてあったこのエピソードで、あそこだな!と思い出しました。
空腹と結びついているのか何なのかわかりませんが、記憶って、本当に気まぐれ。とはいえ、やはり、周辺的なエピソードだったり、風景だったりは、確実に記憶のよすがになるようです。

仕方ないので、あきらめて、教会へ向かうことにしました。教会の場所も、その方に確認したと思います。
小さい村のはずなのに、車からは見えなくて、確か結構行ったり来たりした記憶があります。

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サン・ミヨンSaint-Myonのサン・メドゥルフ教会Egise Saint-Medulpheです。Medulpheなんて、初めて聞く聖人の名前です。今、聖人辞典(先日、購入したばかり)とか中世辞典とか調べましたが、載っていません。これは、サント・ステファノがサンテティエンヌになってしまうような、フランス特有の名前だったりするんでしょうかね。

これは、わかりにくいです。村の家々の中にすっぽりはまり込んでいる感じで、ひっそり隠れている状態。そのくらい小さくてかわいらしい教会です。

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そして、夏休みのお昼時だというのに、開いているのですから、嬉しくなってしまいます。

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上の方は新しくなっちゃっていますが、小さいのに周歩廊まである、立派な構造です。周歩廊があるということは、聖遺物があったんでしょうか、出自のわからないメドゥルフさん関連の。

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見るからに期待できそうなたたずまいに、こうなると、空腹などは忘れてしまいます。

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うひゃあ、シンプルだけど、愛らしい柱頭。彩色跡まで見えますね。まん丸の眼が、印象的です。
かと思うと、こんな立派な彫りもあるんです。

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ケンタウロス?いや、角があるし、なんだろう。

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これもまた寓話的な。カラス天狗みたいな悪魔っぽいフィギュアがあるから、何か罪を犯した人なのかな、角っこの情けない顔の若者は。

後陣の方は、彩色があります。

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おなじみのアーカンサス柱頭に混じって、こんな楽しいやつらが!

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みんな寓話が盛り込まれているタイプのモチーフですが、いくつか手が違うみたいですね。上の方のが親方作で、この蛇ガジガジは、見習い石工さんとか。
親方作。

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見習い作。

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例によって、勝手なこと言ってますが、いずれも寓話的で、面白いモチーフが多いです。聖書的なものは、一つもないのです。
これなども、意味全然分からないんだけど、何か語っているよな、という面白さを感じます。

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床面、かなり上げられちゃっているようなんですが、修復にしても使われている石の雰囲気がすごく良いです。床面を様子よく仕上げるのって、重要。変に安っぽい床になっていると、がっかりしちゃいます。

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ファサードは、トップの方にアップしていますが、ずいぶんすっきりと修復されちゃっていて、新しくなっちゃっていますが、今入り口として使われている南側扉口の方は、脇の柱頭だけ残っています。しかし、それも、ほとんど溶けてしまっている状態でした。残念です。

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柱頭の一つ、同じような様子で並んでいる三人が、もしかして、マギ?とか思っちゃって。本堂内部にはない聖書モチーフが、外にあったのかも、と妄想。

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実によい教会でした。
空腹でも何でも、やはり先に進まねばいけません。やっぱりこれは修行です。常に、煩悩に捕らわれているとはいっても。

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