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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

美しい村の、不思議な人たち(リュペルサ23)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その68

前回の記事から、ずいぶんと間があいてしまって、ちょっとどうしていいのやら、という気持ちでいます。でも、記憶を探りながら、何とか再開していきたいと思います。
本当は、この2018年の旅、昨年内に終える予定でいたのですが、なかなか思うようにはいかず…。それでも、一応、切れ目は付けといたようです。

今回からしばらくは、初めての地域となるんです。
フランスは、結構州の統合改変が激しくて、在住の方によれば、ロマネスクをやっている人たちは、日本人であろうが、フランス人よりも、昔の区分けに詳しくて驚かれるということです。なぜかというと、ロマネスク、特にフランス・ロマネスクのバイブルともいえるゾディアック叢書が、刊行当時の州に区分されて作られているからなんですね。今では、州の名前としては消滅したものもあるのですが、ロマネスク的な区分では、どうしてもその当時の区分が目安となるわけです。
今の区分けは、政治的なものですが、当時の区分けは、もっと歴史や文化に紐づいたものであったはずなので、正しい方向性だと思います。
というわけで、今では、非情に大きな地域をまとめて、Nouvelle-Aquitaineという州にくくられていますが、今回訪ねたのは、かつてで言えば、Limousinリムーザンという地域、さらにその小さな一角にある教会で、県の区分番号で言えば23のCreuse地域となります。

2018 france centre 855

遠くに、世界遺産の山などを眺めながら、緑の美しいドライブです。でも、結構細い道の連続で、一人だったら、ちょっと不安になるような道もあります。

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このときは、在フランスの友人と一緒だったので、ゆったりと安心して、後部座席でドライブを楽しめました。丘の合間に村が続くといった、ある意味とてもフランス的な土地なんだと思います。

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そういう道を縫うようにして、たどり着いたのが、この、童話のようにかわいらしい村リュペルサLupersatのサントラドゥー教会Eglise St-Oradouxです。

2018 france centre 858

実際、この村のたたずまい、と言っても、道沿いにお家がいくつか並んでいるだけ、というものですが、とっても愛らしくて、教会の姿よりも、そちらの方が強く記憶に残っているほどです。

さて、外側は、ちょっと今一つの教会ですが、中に入ると。

2018 france centre 859

例によっての白塗り状態で、一瞬ぎょっとしますけれど、心配することなかれ。面白い柱頭がたくさんあります。

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惜しむらくは、あまりのすごさに興奮したせいか、多くの写真がピンボケだったことです、涙…。しばらくアワアワした後で、落ち着いて、撮影できたらしいです。毎度のことながら、自分の情けないほどのあせあせアワアワぶり、あきれますし、写真が如実にそういう状態を表しているので、自ら笑っちゃいますよ。

2018 france centre 861

植物と頭のセットが結構あり、うにょうにょっとした彫りです。
それから、人のフィギュアのタイプもあります。

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これなどは、未完の彫りにも見えますね。つい、ミケランジェロの最後のピエタなどを想像するようなありさまというか。建物の中の柱頭ですから、溶けるように劣化することはありえないわけで、やはり未完かな。のはずないよね。

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これもね、特に右の人はどすこい的ポーズなんですが、アトラスですかね?それにしても、妙に余白がありますよね。普通だと、余白にも渦巻き入れてみたり、もうちょっと余白がなくなるように彫るように思うのですが…。
こちらはまた、手が違うような。

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性器思いっきり誇示型。唐突ですよねぇ。無表情で、でもポーズにはやけに動きがあるアンバランスも、不思議。

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こちらは、コルシニャーノのアーキトレーブを髣髴とさせるモチーフ!ツチノコ状の蛇に、両耳かまれていますね。コルシニャーノ(イタリア、トスカーナ)の項、参照してほしいです。意味も同じなんですかね。

これもすごいです。

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余白、ツルツルに磨かれているから、確信犯的に残しているんでしょうけれど、やっぱり不思議。
その一方で、蔓的な植物モチーフなら、余白というより、すっきりしていてそれでありなのに、そこには、無理やり顔を突っ込んだりしてるんですよね~。

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なんか、全体に絶対変でしょ、ここやった石工さん、複数だと思うけど、みんな変、笑。

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これは、さっきの男性器の人と対になるのかな。こういうのも、他とのバランスで言うと、やはりモチーフ的には唐突感否めないです。

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お祈りしながら、ふと見上げて、こういう変なものが目に入ってきたら、なんか不思議な気持ちにならなかったですかね。こういう柱頭を、当時の人々はどうとらえていたんでしょうか。しみじみと思いをいたしてしまいます。

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撮影したすべてを掲載したいくらいですが、きりがないので…。
外のやつらも、ちょこっと。

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外にも、変な奴ら満載ですよ。楽しいですねぇ。

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美しい村のたたずまいとともに、忘れがたい教会。写真を見ていたら、もう一度行ってみたくなりました。

2018 france centre 873

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  1. 2020/02/17(月) 02:32:06|
  2. ペリゴール・リムーザン 23-87-19-24-46
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