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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

思想を感じるヘタウマ系(ビオレ23)

2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その69

次に訪ねたのは、前回のリュペルサから、東方面に40分ほどのドライブでたどり着く村です。ここは、本当にたまげました。

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ビオレBiolletのサン・ピエール教会Eglise Saint-Pierre(教会脇に、トイレあり)。

教会のたたずまいとしては、結構外壁ぬりぬりだったり、さしたる魅力は感じない、大変地味なものなんですが、正面にある、これまた激地味な扉に立っただけで、どひゃあああ!という驚きでしたよ。

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内部もぬりぬり感があるのですが、すぐに、柱頭に目が吸い寄せられて、そんな状態はどうでもよくなります。何あれ何あれ~!?と、いきなり興奮の極みに包まれること、必至です。

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ほら、どうですか、これ!
特に初期、またはプレロマネスクあたりが好きな向きには、もう感涙の浮彫ではないでしょうか。このミステリアスな、そしてハイスペックなヘタウマぶり。

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トスカーナのGropinaを髣髴としたり、はたまたアフリカあたりのプリミティブアートにも通じるような、何とも不思議な、得体のしれないものたちがひしめいています。

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手、なんですかね。とってもフューチャーされているんです。他のフィギュアでも、手が、とにかくでかいです。

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エニグマティックというのか、ミステリアスというのか。おそらく、いろいろな研究、解釈がされていることと思うのですが、ここまで突き抜けちゃうと、もう、見てて楽しいだけでいいじゃん、と思ってしまうタイプです。意味よりなにより、とにかくかわいいんだもん~!

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これは、たとえプレロマネスクだとしても、主流で活躍した石工さんではありえないですよね。技術が稚拙だったり、道具のためもあるのでしょうけれど、ヘタウマ的な中にも思想が感じられるし、こういう縁取りなんかの手法を使ってみたりという多様性もあって、なんというのか、地域に生きた孤高の石工さんがいたのかしら、とか想像してしまいます。

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こういうやつ見ると、デザイン的とも感じられます。すっきりした線で、すっきりと描きたいものを描いて、うさこちゃんのディック・ブルーノ的な、そういうスタイリッシュな。宗教的な意味って、あまり感じられないのですけれど、なんだろう、これ。本当にキリスト教の教会としての彫り物だったのだろうか、と思ってしまいます。
右の人とか、一応十字架持ってるし、そうは見えなくても、やはり何かエピソードを描いているんでしょうけれど。

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聖書に詳しい方なら、何か、これはあれではないか、とわかったりするんでしょうか。サン・ピエトロの逸話とかまでは、ほとんど知りませんが、もしかしてそういうことなのかな。

すっごく長い割れ顎みたいに見えるのは、おひげなんでしょうかね。

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オリジナルには、どうやら彩色があったらしいと思われる、植物モチーフの柱頭もありました。

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不思議な人たちの方にも色がついていたら、なんかちょっと派手な、絵としてはわかりすぎるくらいにわかってしまうどぎつい感じになりそうですけど、さてどうだったんでしょうか。シンプルな彫りは、もしかすると、彩色前提?と思えないこともないですねえ。

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全然調べる気がないので、勝手なことをほざいているのは、毎度のことですが、フランス語で検索すれば、結構情報は出てくると思います。でも、解読が大変なので、あえてやりません、笑。すいません。
でも、意味とか由来とか歴史とか、そんなものは置いといて、絶対見たい!と思わされる柱頭だと思います。これを見ただけでも、リムーザン地域、もっと探求してみたい、と思いますもん。実は、それほど数はなさそうですけれど。

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割と新しくなっている全体像ですが、ちょっとオーベルニュ・スタイルも入っているような雰囲気です。
さて、このときは、お弁当持参だったので、この教会前にあったベンチで、ゆったりとランチをいただきました。友人が作ってくれたのは、鳥そぼろ弁当。

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すっごい田舎のはずだから、きっとレストランなんか見つからない、という危機感で、お弁当持参だったのですが、そういうときに限って、道沿いに結構レストラン、ありました、笑。でも、こういう場所で、何も気にせず、日本飯をガシガシ、というのは幸せです。孤独のグルメの五郎さん的に、本気でワシワシとかき込みました。お米っておいしい。

ちなみに教会は村の真ん中にあるので、村にたどり着きさえすれば、迷うことはありません。

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