2018年8月、フランス中部(ブルゴーニュ、オーベルニュ、+サントル)の旅その78、そして最終回
なんとなんと、やっと最終回にたどり着きました。
開始したのが、昨年5月早々だったので、他の記事も多少は挟まったとはいえ、丸々10か月かかってしまった計算になりますね~!こんなペースでは、他の旅のアップはどうなるのやら。そして、毎年毎年、修行旅には出ているわけですから…。
老後、生活が暇になったら、ちゃんとホームページにまとめるぞ、という目論見がありますが、なんとブログまで老後の楽しみと化しつつあるということですかね、それはまずいです。
さて、最後に訪ねたのは、私の知識空白地帯、ローヌ・アルプ地域にある教会です。これは、フランス在の友人に教えられて、出発直前、旅の最後に訪ねました。周囲に見るべきものが少なくて、効率よく訪問するのが難しい教会なので、ちょうどよいタイミングを得たと思います。

アヴナAvenasのノートルダム教会Eglise Notre-Dameです(村の入り口、教会脇にトイレあり。ただし、明かりや紙はないのでご注意)。
アヴナは、結構な山道をくねくねと走って、谷に降りる感じでたどり着く村で、イメージとしては、どん詰まりの村。いや、ちゃんと通り抜けて先に行けるようですけれどね。
教会は村の入り口にあるので、迷うことも探す必要もなく、それは大変助かりますが、ここは、教会の建築には興味がないので、開いていないと意味がないのです。
遠目でも、扉が開いているのがわかったので、とても嬉しかったです。
ドキドキしながら入場します。

かなり暗い。この日はお天気も悪かったので、さらに暗い感じ。
でも、内陣中央に置かれた、目的のブツは、しっかり見えています!

そうなんです。ここを訪ねた目的は、ただ一つ、この祭壇です。

ここを勧めてくださった友人に、相当すごいということはきいていたのですが、その話から想像していた祭壇の何倍もすごいものです。

何がすごいって、彫りが、かなり繊細で、その上保存状態が大変良いのですよ。そして、祭壇だから、しゃがめば、その目の前にドカン、と彫られた世界が広がるんです。柱頭のように、双眼鏡で見ないと細部がわからない、というのとは、まったく違うアプローチなんです。
これで、興奮しないロマネスク病の人はいないですよね。

アーモンドの殻感がすごいキリスト像。ここまでアーモンド感満載ってすごいですね。これはやはり近くから見るからますますそういう感じなのかなぁ。あ、今だと、イースターのチョコレートの卵を半割にした感じもあり、笑。
上の方にあると、どうしてもデフォルメが入ったりするし、それを計算して彫っていたりするし、そういうのでずれが出るから、違う様子になるんですかね。これは、正面にあるまま、すごくきっぱりしていて、キリストも、とても厳しそうな様子です。まっすぐ見られちゃっている感じで、ドキッとしますよ。
アーモンドは、福音書家のフィギュアの姿で支えられており、四分割されたそれぞれに十二使徒が並んでいる図像となっています。
福音書家が一番愛らしかったこちら。

ルカの聖書にかかっているあんよがめっちゃ可愛い。
左上には、人の姿のマッテオ、そして、一番キリストよりは、カギを持っているので、ピエトロですね。

各使徒の下には、名前が彫りこまれていたようですが、一部は摩滅してしまっています。
保存という観点から、本当は、よくないことでしょうが、どうしても誘惑に抗しきれず…。

お膝の先っぽだけ、ちょっと触れさせていただきました、笑。
それにしても、手まで焼けてるな。イタリアみたいな国にいると、夏は多少は焼けないと、逆に変だから、あまり気にしないのですが、これが、日本で電車に乗ったりすると、つり革をつかまる手の中で、一人だけ黒くてびっくりします。というか、日本人って、いつから白人になったんだっけ?と、他の人たちの手の、あまりの白さに愕然とします。

ちょっと脱線しましたが、いやはや、こういうものに出会うと、気持ちが焦ります。というのも変なのですが、まだまだ私の知らないものが、たくさんあることを、嫌でも思い知らされるからです。知っていても訪ねていない場所がたくさんあるのに、さらに、知らないものもたくさんあると思うと、勿論、すべてを見ることは不可能なんですけれど、その事実に、焦っちゃいます。
同時に、一抹の寂しさも感じます。
こういったことは、過去にも何度も書いていると思いますけれど、突き抜けて素晴らしいものに出会うと、毎回感じる高揚の後の喪失感。この高揚感は、二度と得られないだろうな、というやつです。ここに、これから初めてくる人がうらやましい、という変な羨望感。
この祭壇は、そういうレベルのものでした。
旅の最後を、こういう素晴らしいもので終えることができて、実に幸せでした。
読んでくださっている方も、すでに忘却の彼方でしょうが、なんせ、5月からですからね、旅の最初に、虫さされ被害で、大変な日々を過ごしたわけです。そんな不吉な始まりだったにも関わらず、大満足で10日間、終了です。
おいおい、10日間を10か月。今、かなりあきれています。

ちなみに、この旅のシリーズ、上の写真で、丁度1000枚アップしたことになるようです。
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- 2020/03/07(土) 22:14:43|
- ローヌ・アルプ 1-74-73-69-38-42-7-26
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| コメント:2
毎回楽しく拝見しております。最後までこぎつけられてよかったです。私は 去年四月のギリシャ、草稿はできたのですが、これからhome pageに仕上げるのが一苦労、毎回やり方を忘れるのです。情けない限り。その次が西フランスロマネスクです。ツアーがなくなったので余裕ができたと思ったとたん、怠け癖が出ています。
ところで気がかりなのが、ミラノ近くの新型コロナ感染情報。
CORSAさんはお若いので、もちろん大丈夫でしょうけれど、少し気になっています。
日本と比べて死者数が格段に多いですね。ハグなどの習慣とともにその地域の医療状況もあるのでしょうか。
本当に嫌な世の中。今日newsをみていたら、オーストラリアでトイレットペーパー争奪戦があったとの記事。世の中グローバル化。 日本のトイレットペーパーの棚がからになったnewsが流れたからでしょうか。
人間てほんとに弱く哀しいものだとつくづく思いました。
どうかお元気で
- 2020/03/08(日) 06:27:01 |
- URL |
- yk #C8Q1CD3g
- [ 編集 ]
YKさん、ご心配いただき恐縮です。
後程、別記事で、当地の状況をお知らせしたいと思います。
最後まで見ていただき、ありがとうございます。本当に亀にも負けそうな勢いで。YKさんは、かなりリアルタイムで、HPに挙げていらっしゃるのだから、本当に敬服です。やはり最終的には、HPにまとめたい、というのが、本来の気持ちですから。
そうはいっても、とにかくたまりにたまっていて、自分としても、どんどん整理しないと、記憶がやばいんです。
とりあえず、スポット的な教会をいくつか挙げて、やはり久しぶりにイタリア物を始めようか、と考えているところです。
引き続き、よろしくお願いします~!
- 2020/03/08(日) 13:24:47 |
- URL |
- Notaromanica #-
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