ミラノ北部に広がる湖水地方は、コモ湖を中心に、日本でも知名度が高い著名リゾート地ですが、ロマネスク観点からも、特にコモ湖周辺は大変興味深い地域となっています。中でも、徒歩でしかアクセスできないチヴァーテCivateにある教会は、ロマネスク病の人であれば、一度は訪ねてみたい、と思う場所の一つであると思います。いや、そうはいっても、「徒歩でしかアクセスできない」というハードルの高さが、ネックにもなっており、イタリアを含めて、ロマネスクをやる以上訪ねなければいけない教会、という位置づけにはなっていないかもしれないですけれど、でも、そのハードルの高さが魅力にもなっている教会です。
10年ちょっと前に訪ねて、その時の記録は今は亡きホームページに詳しくアップしたのですが、残念ながら今は亡き。その時は本当に詳しく調べて、時間が経ってから読んだ時、自分でも感心したものです。それっきり、なんとなく行きそびれていたのですが、2018年夏、日本からロマネスク病仲間がいらっしゃったとき、ご一緒して、ほぼ10年ぶりの訪問がかないました。
その勢いで、昨年2019年にも、ミラノの友人に同行を頼まれて、なんと10年の間を置きながら、二年連続訪問となったのです。
徒歩でしかアクセスできないというのは、車用の道が作れない立地だからなんです。登山道は、この10年の間に、ずいぶんと整備が進んだように感じましたが、それでも、結構な斜度なので、たいした距離ではないけれど、なかなかの苦行です。
湖から、斜面に張り付くようにあるチヴァーテの村を出発点に、45分から1時間くらいの歩きとなります(約2.5KM、標高差400メートル)。
時々、コモ湖がのぞいたり、楽しい登山ですが、天辺に着いた時には、結構はぁはぁします。
天辺にあるのは、教会だけで、集落はありません。そのため、教会は、いつでも開いているわけではなく、基本的に、教会をケアする地元の有志団体が、開けてくれる夏季週末だけのオープンです。有志の人々は、登山道を整備することから、教会の掃除や、ガイドツアーまでをこなしていらっしゃって、頭が下がります。
昨年登った時、中庭に食事会でもするような用意がされていたので、何のためか尋ねたところ、年に一回だけ、徒歩でサクセスできない人たちを、ヘリコプターで運ぶというイベントがあるそうで、その日の午後がまさにその日だったのでした。事前に申し込む必要があるようですが、足腰に自信のない人も、アクセスできる可能性があるということ、お伝えしておきます。
ちなみに、以下が、有志団体のサイトとなります。
amici di san pietro 天辺からは、このようなコモ湖のパノラマが広がります。
トイレ以外のファシリティーはないため、いつもおにぎりを持って行くのですが、ここでいただくおにぎりは、「日本人でよかった~」とにんまりしてしまう美味しさです。
さて、観光案内はいい加減にして、教会です。
天辺で、最初に目にするのは、こちらとなります。
サン・ベネデット教会Chiesa di San Benedettoです。小さな小さな教会で、珠玉のロマネスクを表現するとき、イタリア語でもスペイン語でも、「宝石のような」という形容がよく使われますが、この教会ほど、その表現がぴったりするものもないよな、といつも思います。宝石と言っても、キラキラと派手なものではなりませんが、ひっそりとしていながら、絶対に看過できない、そういう教会です。
ここは、ガイドの人がいないと、開けられないシステムになっているようなので、ガイドツアーを待つか、たまたまガイドの人がカギを開けるタイミングを待つか、そういうことになりますが、週末であれば、必ず入れます。
まず目につくのは、この祭壇です。前面、両脇にフレスコ画が施されており、その保存状態がかなりよくて、びっくりするような鮮やかな色を拝むことができます。
修復もされているものと思いますが、それにしてもよく残っています。山の中であるということ、そして、おそらく温度湿度の条件がよかったというのもあるのでしょうね。
さて、見学のガイドツアーは、見どころのほとんどがつまっているもう一つの教会の方から始まり、このサン・ベネデットは、若干付け足してきな感じになります。特に拘束もないので、教会に特段の興味のない大多数の参加者は、ツアーが進むとともに脱落していって、こちらに来る時には、半分以下になったりします。私にとっては、願ったりかなったり、という状況です、笑。
昨年は、そういう状態のツアーで、ここでガイドの方が説明を始めた時は、すでに5人ほどしか残っておりませんでした。
残っていた人の一人が、建築にかなり興味を持つ方だったようで、構造についての質問が出て、それから、俄然、ツアーが興味深いものとなりました。
脇の方は、ヴォルトになっているのに、中央部本体は、木の天井になっていることに注目されたのです。
今ある天井は、勿論修復されているものですが、構造自体は、すでに木製天井である構造となっているわけですが、四隅を見ると、付け柱上の柱が、天井間近で、ぷっつり切れているのがわかります。
確かに!
ということは、こちらもヴォルトだったのかもしれない。そうすると、この教会の壁面は、すべてフレスコ画で覆われていたことがわかっているので、天井も含めて、すごいことになっていたかもしれない、というような話となり、残っていた数人で、大いに盛り上がったのでした。
その時話した色々を、どこかにメモしておいたと思うのですが、例によって見つかりません。シュン。
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2020/03/08(日) 21:21:12 |
ロンバルディア・ロマネスク
| コメント:2
お久しぶりです。いつも読み逃げで申し訳ありません。
ここに連れて行ってもらえてホントに良かったです。corsaさんのお蔭で独りでは得られなかったようなロマネスク体験ができたのでした。ロンバルディアは何処もよかったですが、オニギリも忘れられない思い出です。
ありがとうございました。
2020/03/11(水) 00:40:44 |
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ote #TQU6yXy2
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Oteboxさん、
お礼を言いたいのは、こちらです。最初の訪問以来、10年もたってしまって、毎年再訪を誓いながら実行できなかったのが、Oteboxさんのおかげで弾みがついて、再訪どころか、二年連続登山することができました。
あの時のおにぎり、本当においしかったですよね。
昨年行ったときは、ガイドの方に密着ガイドしていただき、是非、有志の会に参加してください、と懇願されてしまいました。でも、さすがに、月に一度行くのは、ちょっと厳しいです。ガイドするのは、楽しそうだけど~!
また、どこかにご一緒する機会があるとよいですね。
> お久しぶりです。いつも読み逃げで申し訳ありません。
> ここに連れて行ってもらえてホントに良かったです。corsaさんのお蔭で独りでは得られなかったようなロマネスク体験ができたのでした。ロンバルディアは何処もよかったですが、オニギリも忘れられない思い出です。
> ありがとうございました。
2020/03/13(金) 18:47:11 |
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