2017年7月 エトルリアを巡りつつロマネスクもちょっぴり、トスカーナとラツィオの旅 その2
エトルリアとか言いながら、旅の最初は、結構ロマネスクでした。
ロマネスクと言えば、旅のトップはグローピナだったわけですが、実はなぜあそこを訪ねたかと言えば、ランチのためだったのですよね。食事等については、別途まとめますけれど、当初は、アレッツォあたりでランチ、と考えていたのです。
実は、アレッツォは、一度は行かないといけないのに、なぜか縁がなくて、昔々トスカーナに長く暮らしたときも、結構小さな町村を訪ねたのに、アレッツォは行ってないんです。その後も、トスカーナは何度も訪ねているのに、いつもかすってはそれだけで終わる。
なので、今回はランチを兼ねて、と計画していたのですが、移動に意外と時間がかかってしまい、フィレンツェを過ぎたあたりで、このままアレッツォまで行くと、ランチの時間を大幅に過ぎてしまう、という事態になってしまったのです。それで、以前の旅での土地勘があるグローピナ手前の町なら、食べる場所があるのがわかっていたため、そこで高速を途中下車した次第。
アレッツォ、相変わらず縁がない。
そして、グローピナの後、行こうと思えば行けたのですが、同行者が、どちらかというとこっちに行きたい、というので、やはり近所まで行ったのに、アクセスできずに終わりました。アレッツォ、行ける日が来るのか、笑。

というわけで、次に訪ねたのはピエンツァPienzaですが、まずはロマネスク教会を。

聖ヴィートと聖モデスト教会Pieve dei Santi Vito e Modesto di Corsignanoです(オープン時間7-13 / 15-19)。
ピエンツァは、丘に張り付くような町ですが、中心部からちょっと下った場所、やはり斜面の一角に、この愛らしい教会があります。
ファサードは11世紀、一部、崩壊のため12世紀に再建された部分もあるようですが、中でも、ファサードにくっついた円筒形の鐘楼は、最も古い時代に属するものだそうです。
背は低いですが、大きさが半端ないですよね。
円筒形ということで、ピンと来る向きもあるかもしれませんが、ラベンナの影響だと考えられているそうです。

ラベンナのは、基本はもっとほっそりとしてやたら背が高いですが、ここのはずんぐりむっくりでおちびちゃん。本当はもっと高くしたかったのか、地面が斜めだからこれ以上は無理だったのか。いずれにしても、きれいな円形で、好きです。
この教会を楽しく印象的にしているのは、間違いなく、扉周辺の彫り物装飾だと思います。

アーキボルトのギザギザや、植物モチーフのレリーフ帯は、ロンバルディア様式であろうということで、ここには様々な地域出身の職人さんがいたのか、または、そういう知識を得て、ここに腰を落ち着けた職人さんがいたのか。地味ながら、当時の技術の普及や流れを感じさせる教会です。
この、アーキトレーブの彫り物が、面白いですよね。
グローピナの説教壇同様、二股人魚がいて、耳をツチノコみたいな蛇にかまれている人など、やはりエニグマ。これは確か、動物の言葉がわかるとかなんとかそういうやつだったか…。人魚にしても、この地域に多いモチーフで、それ関連の本を持っていますので、また読み返さないとな、笑。このイースターに、トスカーナ再訪予定だったので、教会情報を見るために、引っ張りだして、ちょっと読んでいたのですが…。悔しいので、今は見たくないんで、将来的に、読み返して、またいつか解説しますね、へへ。
右の方、南側にも、扉があり、そちらも、楽しい浅浮彫がびっしりあります。

こちらはアーキトレーブにマギがいます。両脇は、やはり複雑なレリーフで、これもロンバルディア様式ということは、コモ系の石工さん系かな。
写真を見て、今思いましたが、ここも、ファサード側もこの南扉も、なんとなく修復というか、掃除が入ったような気がします。石色がきれいに出ているし、修復もしているのかもなぁ。10年は長いということですね。
内部は、とってもシンプルで、装飾性はほとんどなしです。

小さいながら三身廊で、立派な角柱に乗ったアーチで区切られています。
鐘楼の下部、のぞけるようになっていました。

やはりでかい!
しかし、ただの円筒じゃん。鐘を置く部分もないし、これは、やはり未完ということなのか。
前の訪問については、外側を飾る装飾は、とてもよく覚えているのですが、内部のことは、ほぼ記憶なしなんです。でも、これは見られなかったんじゃないのかなぁ、と思ったのが、この教会で、もっと古い時代の構造物だと書いてあったクリプタです。

この、右身廊の突き当りに、下に降りる階段があります(上の写真の、祭壇の奥)。昔は閉ざされていたように記憶していますが、例によって100%確かではありません、笑。

すごく狭い空間ですが、確かにちゃんとクリプタで、柱頭や、足元の部分にも、素朴な装飾がされているのが、古さを感じさせます。

教会はこじんまりしているとはいえ、それなりに村の人々が集うだけのスペースはあると思います。このクリプタは、祈りの場所としては狭すぎる気がしますが、さて、目的は何だったのかしら。
外光が入る切れ目もないですから、真っ暗ですしね。秘儀?秘密な祈祷?謎ですね。
いずれにしても印象的で、このクリプタの記憶は、当分残りそうです、笑。
結局は、このファサード浮き彫りに尽きるわけですけども。

そうそう、上の方からにらみを利かせている、この堂々とした女性もまた、忘れようにも忘れられないです。

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- 2020/05/02(土) 00:18:13|
- トスカーナ・ロマネスク
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