2017年7月 エトルリアを巡りつつロマネスクもちょっぴり、トスカーナとラツィオの旅 その6
トスカーナとラツィオの州境のトスカーナ側に、二つ、長年行きたかった町があります。この旅で、やっと訪問を果たすことができました。トスカーナを回る旅では、南過ぎ、ラツィオを回った時は、若干北すぎるのと、山がちではないのか、という怖さも相まって、積極的には行こうと思わなかった土地です。いずれにしても、一筆書き的な旅程では、回りにくい場所なのです。
ソヴァーナSovanaという町が、その一つです。
丘の上にちんまりと張り付いているような、とても小さな、町というより村という方がしっくりするくらいの規模なんですが、そのような土地に、なんと重要な教会が二つあるんだから驚きです。
さらに、郊外には、エトルリアの有名遺跡もあるんです。
その上、村の様子は大変かわいらしくて、トスカーナの雰囲気が好きな人であれば、絶対に気に入ってしまうような、イメージにはまる村なんです。
まさに観光地ですから、すべてきちんと整備され、景観すべてが美しく保たれています。
まずは、一つめの教会へ。とても地味で、外側は、ほとんど中世の面影もなくなっています。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会Chiesa di Santa Maria Maggioreです。
今ある教会のもとになっている建物は、12世紀のものですが、正直、魅力はないですよね。でも、ここは必ず中に入って、見なければいけないものがあるんです。
中に入っても、がらーん、とした感じだし、やはり中世の面影はほとんどないんですが、祭壇に見えるアレ、アレなんです。
なんと、9世紀から10世紀ごろのものとされているチボリオがあるんです。
チボリオは、個人的には特に好きなアイテムではないのですが、時として、大変興味深い装飾がほどこされているので、そうなると話は別、笑。ここのは、まさにそれ系です。
ほらね~!分かりますでしょ、ドンピシャ、私の大好物。ロンゴバルド彫り物ですよ~!
この一面だけなんですが、一面だけ、これほど完璧に残っているのは、なぜなんでしょうか。いずれにしても、典型的なモチーフがちりばめられていて、実に愛らしいですよね。
もともとはもう一つの教会、カテドラルに置かれてあったものらしいですが、そちらを修復するか何かで、こちらに移されて、もう中世からずっと、こちらに置かれているそうなんですよ。ということは、カテドラルの方は、起源が、チボリオと同じような、大変古いものだということですね。
構造が武骨で古さを感じさせられます。四隅の円柱も、なんだかずんぐりむっくりで、妙に愛らしいというのか。サイズもとても小さいですから、こういうサイズに合う小さな教会にあったということなんでしょう。
柱頭も素朴ですが、とても味があります。大好きです、こういうの。
他の面があったとしても、似たり寄ったりな彫り物だったかもしれませんが、似たり寄ったりでも、やはり好きなもんは好きで、絶対にかわいかったに違いありません。
一面しかないということは、おそらく、上の部分が崩壊していたとかそういうことなのでしょうが、実に残念なことですねぇ。
それにしてもかわいらしい。
線画だけの鳥は、初めてかも。アーチに並んでいるのはイチジクですかね。扇風機のような渦巻きは、ロンゴバルド系で、よくあるモチーフですし、縄目は、この時代、あちこちで使われていますね。かなりプリミティブな感じなので、この地域の石工さんだったんだろうなぁ。鳥も、縄目の延長な感じが、なんともうっとりです。
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2020/05/10(日) 01:55:16 |
トスカーナ・ロマネスク
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