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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

知らなかったマルタ騎士団本拠地(アスティ、サンピエトロ遺構群)


2020.06.ロックダウン明け、ピエモンテ日帰り訪問 その2

さぼり癖を克服するのは、容易ではないなぁ。
Covid-19で、どこにも行けなくなった分、ブログを更新しながら、バーチャルな旅を楽しむのもありだよなぁ、とずっと考えているのに、Covidとともに、何もせずにひきこもる、という癖がついてしまった感じです。
欧州では、今も、そこここで小さな感染源が発生していて、それでも、夏の間は経済優先で、積極的な対策が取れませんから、こういう状態が続くのでしょうし、なんとなくもやもやした気分で、皆が悩みながら夏休みを過ごしている状態だと思います。
びびりのミラネーゼは、普段なら海外ばかり行くくせに、今年に限っては、ほとんどがイタリアでの夏休みを選んだ上、ミラノにいる人たちは、前にもまして、マスク装着をきちんとしている様子が見られます。私も、すっかりびびりの仲間入りをしています、ことCovidに関しては。

さて、アスティの一日。前回のクリプタとの共通チケットで、アクセスできる中世サイトが、他に二つ。
まずは、こちらです。

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サン・ピエトロの遺構群 Complesso Monumentale di San Pietro Corso (Vittorio Alfieri2,10-13 16-19 月休)

アスティには、過去に何度か来ていますが、ほとんどがワインがらみというか、食べ物がらみで、そういえば、中世を探しに来たことがありません。アスティ周辺域には、かなり集積しているので、数回に分けて訪問しているし、未訪の教会も数ありますので、今後も訪ねなければならない土地の一つなのですが、その地域の中心であるアスティそのものは、中世の街、という印象に薄くて、前回紹介したクリプタのことを知るまでは、まったく興味を持っていませんでした。
そして、クリプタの訪問を思い立って初めて、意外と中世の遺構が残されている現実に気づいたという情けない話です。
この遺構には、ですから純粋にびっくりしました。

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この姿、ボローニャのサント・ステファノを髣髴とします。
皆様には、すぐにわかると思いますが、もちろん、サン・セポルクロを模した円形スタイル。創建は1110-1130とされています。やはり古い。

この一連の建物群は、この時期に、なんとエルサレム・ヨハネ騎士団によるものらしいんですよ。エルサレム教会、またの名をマルタ騎士団。アスティの壁のすぐ外側に位置するこの場所に、救護所や教会を作り、1798年まで、本部をここに置いていたそうなんです。騎士団の歴史上、非常に意味のある場所なのですね。

騎士団の歴史は、中世史上欠かすことのできないものだと思いますが、あまり勉強していません。教会巡りをしていると、騎士団の中でも勢力が強く、今でも存在しているマルタ騎士団が管理していたという教会には、結構出会います。彼らが運営した救護所、病院などは、中世の社会では、非常に徳の高い行為であり、また、その建築美術的な価値を今に伝える常用な遺構だったりもしますね。
でも、騎士団の繁栄は、ロマネスク時代よりも後付のこと、そして、キリスト教がある意味最もファナティックだった時代の話であることから、あまり勉強する気がしないサブジェクトだったりもします。とか言いながら。イタリア語の本は、割と買っちゃいます。要は、各種書籍が出版されるだけの対象であるということですね。

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長々とすみません。内部はこういう感じです。すっきりと美しい。
ピエモンテらしく、レンガと石のツートンカラー。
中央部の円柱は、かなり修復の様子が激しいのですが、壁のつけ柱の方は、もうちょっと古びがあって、気に入りました。

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柱に、ギザギザ組み込むなんて、憎いですね。めっちゃ可愛いです。
そして、入ってすぐのトンネル・ヴォルトが、これまた遊び全開。

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すっごくかわいいですよね。語彙が貧しくて恐縮です…。
レンガの幾何学的模様だけでも美しいのに、古そうなレリーフはめ込みまで。

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おそらく、色が濃いのが、レシンで再建したものかな。いずれにしても、本当にこういう風に装飾されていたんだとしたら、ここ作った親方って、すごくセンスありますね。

入り口もチャーミングですよ。

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こんな透かしの彫り物が、タンパン部分にはめ込まれています。
で、ファサードも、やはりレンガで飾られているんです。レンガ好きだよね!

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かわいいといえば、内部に、こんなに愛らしい墓石が置かれていましたよ。墓石に愛らしい、というのも、ちょっと違う気がしますが、この方、本当にやさしいお顔で、眠ってらっしゃいます。

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1460と書いてあるようです。

もっと古い彫り物が、おそらく本来の入り口だったかもしれない場所に掲げられてます。トップの写真で見える、小さな扉の上になります。

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とても典型的なロマネスク・テイストで、もともとどこにあったものかは不明ですが、間違いなくオリジナルの教会に付属するもので、マルタ騎士団の方々も、日々目にしていたかもしれない変な者たち。
そういう往時の人と同じように、応じあったものを見ていると認識するとき、ドキドキざわざわした気持ちになります。

扉近くには、こんなやつも。

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摩耗しちゃっているとはいえ、それを差し引いても、ちょっとプリミティブすぎて、笑、騎士団の人も、あまり目に留めなかったのでは、とか考えちゃいました。哀れなやつ。

このサン・セポルクロ以外は、15世紀以降の再建建築となります。この回廊や、付属する住居も。

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13世紀の、アスティの街中住居にあったという美しい二連窓が、移築されていたりもしました。普段は、考古学博物館の役目もあるようでしたが、私が訪問した時は、そちらは開いていませんでした。

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アスティ周辺を回される際には、どうぞアスティ訪問も忘れずに。

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  1. 2020/07/26(日) 20:11:50|
  2. ピエモンテ・ロマネスク
  3. | コメント:0
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