(2020年7月訪問)
Covid-19のせいで、生活がいろいろ変わりましたし、数か月はひきこもり生活となったわけですが、それでも何かしら良いことはあるもので。いや、良いかどうかはわかりませんが、なかなか遠方に行けない分、ロックダウン後に、日帰りのお出かけ頻度がアップしました。別にストレスを感じていたわけでもないのですが、単純に外出したい気持ち、そしてまた、ロマネスクに浸りたい気持ちが、どこかにあったせいもあるとは思います。
で、日帰りですと、当然ミラノ近郊となるわけで、そういえば、しばらく近所の訪問をしていなかったなぁ、と気付いてしまいました。
この数年、夏休みなどの長い旅は、フランスやスペインなど外国中心で、そもそもイタリアは、おろそかになっていたし、近郊は本当に行かなくなっていたんですが、考えたら、ロマネスク修行を始めた当初は、日帰り訪問が基本で、情報を探しては、まめに出かけていたのですよね。
それっきり行けてない場所が、実は結構あります。写真も、以前はCDやDVDに保存していたのですが、パソコンが変わるにつれて、そういう媒体を読み込むことができなくなっていたりして、古い写真は、もはや取り出せなかったりもします。だから、今後は、近郊の再訪もして、新たに撮影するのも大いにありだな、と改めて思う今日この頃です。
今回は、そういうロマネスクの一つ。いや、ここは、実は存在は知っていたけれど、なぜかこれまで訪ねるチャンスに恵まれなかった場所だったんです。

ある日、ミラノからピエモンテに用事で行くという友人に同行しました。時間もあるし、高速を使わないで行く、ということで、地図をたどりながらののんびり旅。
途中、まだロンバルディア州内ですが、地図に、ずいぶん昔に印をつけた町に気づきました。その地域で、印がついているほとんどの町は訪ねているのに、ここだけは記憶がありません。
せっかくなので、ちょっと立ち寄ってもらうことにしました。
それがこのブレーメBremeという町です。

見るからに小さくて、実際も小さい町なんですが、そんな中に、中世の教会と洗礼堂と、そして、他の教会のクリプタがあるんです。びっくりです。なぜ、過去に訪ねていないのかもびっくり。たぶん、当時は、あまり情報が出てこない場所の一つだったのではないかと思います。
ロンバルディア州とピエモンテ州との境目、パヴィア地域となり、米どころゾーンですが、この一帯には、小さくて地味で、でもかわいらしいロマネスクが点在しています。
まずは、今は住宅街に埋もれたようになっている教会。

サンタ・マリア・アッスンタ教会Chiesa di Santa Maria Assuntaです。起源は10世紀と古いものの、往時の面影を残す部分は、ほとんどない様子です。でもおそらく、往時も、こういうレンガ造りではなかったかと思います。
中も、全部新しくなってしまっています。

なのに、後ろ側、つまり後陣側に位置する洗礼堂は、古い時代の建物が、しっかりと残っているのですよ。

そちら側に回り込むと、こういう様子です。

こ、こりは…!
すっごく私好みの古さ。私好みのロンバルディア・アーチ、うっとりものです。
8世紀から9世紀とあります。
もともとレンガと、川石をミックスした建材でできていて、三つの後陣を持つ立派な建物だったそうです。お隣の教会とはそれぞれ独立した建物となっていて、ブレーメの人々はもちろん、近郊の人々の先例に使われた、地域唯一の洗礼堂だったのですねぇ。
今は、教会と一体化されちゃって、教会内の礼拝堂のようになっているようです。今回は、残念ながら開いていなかったようですが、まさか礼拝堂のようになっているとは思わなかったので、きちんと確認できていないのは残念ですが、おそらく、また訪ねるチャンスがあると思っています。

もう一つ、というより、おそらくもともとこっちの方が気になっていたものだと思いますけれど、修道院Abbaziaです。

一部が、今は市役所として使用されているようですが、この正面向かって左側に、結構大きな修道院施設が、おそらくかなりオリジナルに近い様子で残っているのですよ。

ロックダウンが終わった直後だし、なんだかいかにも開いてなさそうな施設なのに、とりあえず、鉄扉は開いています。わくわくしながらも、中は閉まっている可能性があるから、過度に期待しないように気持ちをセーブしながら、中へ。

すごくわかりやすい!
その上、閉まっていても驚かないような扉、全開!
この通路を通り抜けた先に、地下に降りる狭い階段があり、なんと親切なことに手動の電灯スイッチまであって、アクセスできました!10世紀のクリプタです。

雰囲気、すごく10世紀。レンガ、こういうのって味があります。
床面は新しくなっているし、全体に修復がかなり行われた様子ですが、それでもなお、古い時代の雰囲気が残されており、うれしい邂逅でした。

脇に、アクセスはできないけど、覗けるようになっているスペースがありました。

アクセスできないようになっているのは、後代の構造で、この、左手に見えているのが、本堂からのアクセス階段なんだと思います。今は、上にあるはずの修道院教会はアクセスできなくなっているので、荒れ果てているとか、いずれにしても、もう教会として使っていない建物のはず。だから、本来のクリプタの構造ではなく、ほんの一部だけが残っているという形なんだと思います。

その上物、サン・ピエトロ修道院の、わずかな名残が、この壁部分です。どうやら、屋根も落ちちゃっているんでしょうね。残念。でも、よくぞクリプタが無事に残ったものです。
修道院は、17世紀まで活動していたようなので、没落してからは早くダメになったのですね。教会以外の構造は、結構きちんと残っているので、一体何が起こったのか疑問もありますが、単純に戦時中に損壊したとかいう単純な理由かもしれません。
地味ですが、ミラノから日帰りで行ける範囲、結構数がありますので、すでにブログでも紹介している場所も含めて、今後は再訪が目標です。
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- 2020/08/09(日) 00:51:44|
- ロンバルディア・ロマネスク
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| コメント:2
いですねえ。 このレンガの」コボコ感。
クリプタがレンガって珍しいのでは?
コロナ、コロナで鬱になりそうなのに、近くでこういう素敵なものにであえるなんていいですねえ。
- 2020/08/09(日) 01:08:31 |
- URL |
- yk #C8Q1CD3g
- [ 編集 ]
ykさん
Covidで遠出ができない分、この初夏には、ずいぶんといろいろ近場を回りましたので、マイナーな小さな教会、徐々にアップしていきますね。住んでいるからこそ行けるような場所は、ある意味貴重とも思いますので。
レンガ積みは、ロンバルディアやピエモンテの古い建物には多様されています。ぼこぼこ古い様子、なかなか良いですよねぇ。
- 2020/08/18(火) 18:59:35 |
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- Notaromanica #-
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