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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

柱だけが目的というのも、いかにも地味で…(サンタッピアーノ-バルベリーノ・ヴァル・デルザ)

2020.08 コロナ禍中、炊飯器持参の夏休み(エトルリアとロマネスク)4

旅の二日目の午前中は、タイヤの交換で終わってしまいましたが、のんびり旅なので、そんな顛末も楽しみながら、焦ることもなく、意外と早く何とかなった、という感謝の気持ちでホテルを後にしました。ホテルのおじさんには本当にお世話になったので、わずかですが、お礼をしたら、大変喜んでくれました。こういう時、イタリア人っていい人たちだよなぁ、と素直に思います。

この日の予定は大雑把なものだったので、予定に沿う形で、まずは、ホテルから南下する位置にあるロマネスクを目指しました。

バルベリーノ・ヴァル・デルザBarberino Val d'Elsaという町の郊外に当たるサンタッピアーノSant'Appianoという村にあるサンタッピアーノ教会の洗礼堂の遺構が見たかったのです。

etruria romanica 018

ここは、同行者が一枚も撮影していないため、やむを得ず、ネットから拝借することとします。要は、ロマネスクに特別の思いがない場合、撮影をするほどのインパクトがないものである、というわけですね、笑。
これはちょっと面白い判断基準になりますね。そういう人にとってどういうものかって、わかりにくいですから。もちろん、一人ひとり好みが違いますから、わかりませんけれど、確かに、ここは、ちょっと地味だと思います。

そもそも、興味の対象は、教会本体の前にある、四本の柱です。地味さがさらに増しますよね、笑。
教会の創建は、地域でも最も古い時代にさかのぼるらしいのですが、でも、結構改変改築が激しくて、今ある本堂は、あまり興味を持てない姿に変容してしまっています。創建時の古いたたずまいを髣髴とさせるものは、この四本の柱だけといってよいのだと思います。

これは、洗礼堂の名残なんです。教会のファサード前に、結構でかい洗礼堂、というプランは、ロンバルディアでも、いくつかありますから、特に11世紀あたりには、割と作られたスタイルなのかな。ここの場合は、ファサードと洗礼堂の距離が、20メートルくらいあったような記憶があります。ミラノ周辺で、二つほど思いつきますが、どちらも、ファサードにくっつかんばかりの位置関係だったと思います。土地のあり方とかに関係するのか、思想的な意味があるのか、どうなんでしょうか。

洗礼堂は、なんと4世紀にさかのぼるものだそうです。ロマネスクどころか、初期キリスト教の時代のものですね。とすると、洗礼も、全身水に浸かって行われていた時代、とすると、立派な浴槽があったのですね。だから、柱も、こんなに立派なのかな。この立派な柱の真ん中に、立派な洗礼の浴槽があったんですかね。

残念なことに、洗礼堂は、1805年の地震で倒壊したそうなんです。
この辺りは、そう何度も来ていないので、地域の歴史には疎いですが、1805年に大規模な地震があったのですね。
イタリア中部は、最近たびたび地震に見舞われていますが、実は、過去にもあったということなんだ、とびっくりしました。北部では、建物が倒壊するほどの規模の地震は、12世紀ごろにさかのぼると思うのですが、トスカーナでは19世紀にあったのですね。つまり100年周期くらいということなのかも。怖いな。

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かなり立派なサイズの柱で、それぞれ、素朴な彫りが施された柱頭が乗っかっています。

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これも、初期キリスト教なのか、またはロマネスクとかの時代になってからなのか、どうなんでしょうね。素朴さからは相当古そうな印象ですけれど。

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車では、ぐるりと後ろの方について、後陣側から回り込んでアクセスしましたけれど、実はこの教会の場所は高台になっていて、道から、立派な階段がありました。

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かなりの高さです。私は、もちろん、階段を下りて、また上がるという愚行というか、普通の人はわざわざやらないよね、的な怪しい行動、もちろんしましたとも。
階段上って、アクセスがどうなのかな、と興味があったからです、もちろん。

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もし、洗礼堂が今でもちゃんと立っていたら、この階段からアクセスした場合、教会は、まったく見えないことになるみたいです。高台にあって階段でアクセスって、すごく結界的な感じがして、神聖さが増す印象で、洗礼堂として大いにありですけど、最初のアクセスで教会が見えない位置関係というのも、ちょっと不思議ですね。

ちなみに、この教会のお隣に、考古学博物館があり、そちらの入り口に、おっさんがどっかりと座っていました。博物館の方は、週末の夕方だけ開くように、事前に見ていたし、特に興味はなかったのですが、一応おっさんに、鍵を訪ねたところ、にべもなく、ほとんど無視するようにして、建物の中に入ってしまいました。
うーん。愛想のない人だって、イタリア人にもいるとはいえ、かなり激しく愛想がなくて、びっくりしました。
その代わりというわけでもないでしょうが、やけに人懐こい猫がいて、しばし、そこらの雑草を使って遊びました。
また、写真を撮りには行きたいけれど、ここは、再訪、あるかなぁ。確信なしです、笑。

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