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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

残念なこともありますな(コルトーナとヴィテルボ)

2020.08 コロナ禍中、炊飯器持参の夏休み(エトルリアとロマネスク)14

トスカーナとラツィオには、多くのエトルリア遺跡がありますが、誰が行っても、ほぼ感動する遺跡と、すっごく想像力とか知識がないと感動しにくい遺跡と、玉石混交。
それは、残っているもののボリュームとかインパクトによるものが大きいとは思うのですが、加えて、見せ方とか、あとは見てもらいたいという熱意みたいなものも関係してくるのではないかと思います。
今回の旅では、これまでになく、エトルリアをフューチャーしたので、そういうことをより感じさせられました。

前回紹介したポプロニアは、遺跡の中でも有名な場所で、規模も大きく、その分人も集まりやすい場所でもありますが、実際は結構地味なんですよ、あるものは。
でも、ガイドツアーのガイドの中身が充実していて、わくわくと想像力が刺激されるので、実際に残っているものを見る以上の感動を味わうことができるんだと思うんですよね。これは、遺跡を見せたいという考古学者たちの熱意のたまもので、そういう風に遺跡を運営している母体の方向性が正しいと思うんです。

一方で、なんかちょっと違うよね、という遺跡もあるってことで、今回は、そういう意味で、もっと何かできるよね、と思った場所について書いてみたいと思います。

まずはコルトーナCortona。ここは、エトルリア、というよりは中世の町という観光イメージとしては強いのではないかと思います。中世というくくりでは、それなりに魅力的な町であろうと想像しつつ、ここもアレッツォ同様、私には縁のない町でした。いつかこうして、中世ではなくエトルリアを目指して、わざわざ訪ねる日がこようとは、という気持ちで訪ねました。

etruria romanica 078

MAEC(Museo dell'Academia Etrusca e della citta' di Cortona)-エトルリア学術博物館及びコルトーナ市博物館。
町の中心部にある立派な建物に入っていますが、運営は、なんというか旧態依然という様子でした。

エトルリアの遺跡は、ネクロポリは多いので、町として存続している場合でも、当然現在の町の郊外にあることとなります。それはもうどこでも同じ。というか、多くのエトルリア起源の町が、今でも存続している事実に、結構驚かされます。
で、ここコルトーナも同様で、郊外にネクロポリがあるため、どちらも見学したい人のための共通チケットを販売していました。
この博物館の見学だけなら10ユーロ、共通券は13ユーロだったので、迷わず共通券を買ったのですが、郊外にあるネクロポリの場所や内容を聞いても、明確に教えてもらえないんです。「そのフライヤーにあるでしょ、そこよ、そこ。内容はフライヤーに書いてあるから。」と、かなり面倒そうに言うだけ。ま、いいですけどね。

実際に、ここの見学の後ネクロポリに向かったら、フライヤーに乗っている地図も、サイトで確認した場所も、古くて、たどり着けませんでした。以前入り口であったらしい場所に、原始的な地図が掲げられていたので、それを頼りに移動する羽目になり、我々以外にも、うろうろしている観光客が数人いました。
なんだか、そういうところで、印象って簡単に悪くなります。

博物館だけで10ユーロ取るだけあって、内部はそれなりの展示を工夫していましたが、でも、他との釣り合いを考えても、正直10ユーロは高いな、と思います。

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おなじみのエトルリア。

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例によって、何でもかんでも遊び心満載で、楽しくなる品物ばかり。
さて、この博物館、目玉がありまして、これは確かに目玉でした。

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これ、わかりますか?
なんとね、エトルリアのシャンデリア。
紀元前4世紀のものって、もうそれだけでのけぞるんですけどね、シャンデリアってなんかすごいですよね。
かなり装飾的なんですよ。サイトからお借りした写真。

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博物館は、市の一般的博物館と一緒だから、エトルリアのものは一部。その一部の多くが、郊外にあるネクロポリの説明に割かれていましたが、見学しているときはそうとはわかっておらず…。なんかね、そういうこと、わかりやすい説明もないんで、そういうのも不満。

で、移動して、ネクロポリに向かって、前述した行方不明不具合に遭遇するわけでした。

MAEC Parco Archeologico - Localita' Sodo di Cortona

何とかたどり着いたネクロポリは、結構広い敷地で、小さいながらも非常に新しい様子の受付がありましたよ。中はクーラーもきいていて快適で、清潔なトイレもあり、これは助かりますが、受付の係員二人、ほとんどの人は共通チケットで来るから、お仕事ほとんどなし。ただおしゃべりしているだけにしか見えません。
そして、遺跡関連のフライヤーの一つもないので、これまた唖然です。

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ここのネクロポリは、三つくらい固まって発掘された墳墓だけです。古い時代の、盛り土系の墳墓で、上のは、一番大きなやつへのアクセス用の立派な階段。ほとんどは再建ですが、手すりのくるりんとした下に、ライオン君がいるんですよね。これは、結構は部分が残っていて、博物館に展示されていました。
神聖な場所に、ライオン君を設置。なんかさ、ロマネスクのスタイルだったりするんで、驚いちゃったよ。
スフィンクス的なものだったのかなぁ。
エトルリアは、結構同時期文明と交流はしていたらしいから。地中海世界って、面白いよねぇ。

規模は小さい遺跡だけど、中に入れるのは嬉しい。

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こういう盛り土系は、発想としてはピラミッドに近いのかな。あそこまで計算されているようには思えないんだけどね。墓によって、内部のあり方がすっごく違うし。円形の盛り土の中に、墓によって一つだったり、複数だったりのお部屋があって、それぞれに棺が並んでいるっていう構造です。

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ここは大きくて、入り口からまっすぐ突き当りがメインのお部屋で、左右に二つずつくらい並んでいたと思います。全部で5室とか、おそらく地域の有力家族のお墓だったのでしょう。
一室の壁には、文字が残されていました。

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この墓は、だれだれの墓ですって書いてあるそうです。

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Arnt MeanateとVelia Hapisnelという名前らしいですよ。なんかエキゾチックというのか、エトルリアの名前には、まだなじみがないのですが、ここ起源でラテン語化した名前とかもあるのかな。
そして、この程度は解読できているのに、まだ全部は解読できないっていうのも、不思議ですよねぇ。

この遺跡は、一角にまとまっているし、中に入って、ぐるりと回っておしまいですから、見学は15分くらいで終了。物足りない気がしました。ここも、考古学者がいて、ガイドしてくれた、おそらくかなり面白いはず。そういうのを企画するのも難しいとは思いますが、特にほぼやる気のなさそうな両受付を考えるとね。でも、13ユーロ取るなら、もうちょっと頑張ろうよ、と言いたい…。

でも、コルトーナは、まだ許せるんですよ。
今回かなり腹立たしかったのが、実はヴィテルボViterboの地下ツアー(10ユーロ)。

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Viterbo Sotteraneoヴィテルボの地下ツアーという形で、やたら宣伝しているんですが、こういう写真見ると、そそられちゃいますよね。
同行者が地下好きだし、これは、事前に予約して、かなり楽しみにしていました。
実は私、昔ヴィテルボに滞在した時、これを目にしたのですが、ツアー主催の店が、どうもうさん臭い感じがして、参加しなかったという経験があるんで、若干懐疑的だったのですが…。

18時に集合だったので、律儀な我々は、10分以上前に到着。
地下ツアーだから、あまり大人数は密になっていやだね、と言いながら待っていると、主催者らしい人が、親しげに話しかけてきて、日本人の団体を案内したこともあるし、ビデオをアップしてくれた人もいるよ、みたいな営業トーク。その間にも、店の前では、あからさまに客引きをしている人もいるんです。もはや私の中では疑惑で真っ黒という感じになりました。

その上、待てど暮らせど始まらず、どうやらガイドの人が遅れているらしい。結局18時20分に、ガイドを待たずに説明が始まったのですが、なんだかどうでもいい町の歴史とかそんな話で、エトルリアはどこに?という状況で、10分くらいたったころ、やっと大御所登場。
店の人達は、プロフェッサー(通常は高校とか大学の教師とか、実際に学位を持っている人への敬称)と呼んでいる白髪痩身のじいさんでした。火のついていない葉巻を持ち、遅れたことを詫びるでもなく、では移動しましょう、と地下への入り口に移動です。
私、すでに怒り気味です、笑。

途中の広場で、輪になって話を聞きますが、じいさんの声が小さいうえに、広場の噴水の音もあり、まったく聞こえず。ツアー参加者がたびたび聞こえないといっているのに、無視して同じ調子でしゃべるじいさん。

やっと地下へ降りることができました。
確かに、冒頭の写真のような場所も一部ありましたが、「地下を歩く」というイメージは見事に裏切られて、ただ、階段を下りて、そこに広がっているがらんとしたスペースの一角に、冒頭の写真のような場所があり、さらに、昔水道を通していた細い水路の跡があり、というだけのことで、移動、ほとんどなし。狭い水路などは、アクセスが二人しかできないので、20ほどの参加者が、順番に見るだけで、半時間経過、とかそういう状態です。
じいさんの説明に代わって、店にいた若者のガイドもあったのですが、彼の方がよほどわかりやすくてよかったのに、なぜかプロフェッサーが出しゃばってきて、うっとうしいことこの上なし。自分は岩のベンチに腰掛けて、自分の話したいことだけを話しています。私が、何か忘れちゃったけど質問したことにも、明確な答えはなし。おそらくわからなかったんだと思います。
でも、イタリア人て、意外と小心者かつ大人なんで、話が違う!と怒り出すような人はいません。正直、苦行でした。

最悪だったのは、実はさらにその先。
やっと地上に戻ったのですが、この地下への入り口になっているのは、すでに機能していない教会の建物で、今はマルタ騎士団の博物館になっていました。実はこのプロフェッサー、おそらく自分の専門は、そちらなんです!

いきなりマルタ騎士団の話が始まったんで、もう目が点でした。
中世は私の専門ですから、一応展示してある物を一通りは確認しました。でも、うさん臭いプロフェッサーの話を聞く気は全くありませんので、おそらく20分以上は我慢しましたが、もう無理だと思い、同行者にも了解を得て、プロフェッサーの話の腰を折って、悪いけれど、この後予定があるので、ここで失礼します、と申し出ました。教会の扉は閉まっているし、勝手に離脱できる雰囲気じゃなかったんですよ。
そしたら、彼、おお、ガイドはどうだったか、楽しめたか等々、すごく親身に聞いてきました。私も大人になって、大変良かった、ありがとう、と対応しましたが、心の中では多いっ切り、毒づいてました、笑。

で、無事に辞去したわけですが、なんと、他三組ほどの参加者が、私に続いて出てきたのには、笑いました。みんな、気が弱いなぁって、イタリア人の小心ぶり、再確認です。

とにかくすべてがうさん臭いツアーです。
主催の店の店頭には、オーディオガイドなら4ユーロとか堂々と書いてあるんですが、オーディオガイドはなくて、必ずプロフェッサーのガイドに誘導されることになっているみたいです。事前に予約とかうたっていますが、現地で、客引きするくらいですから、その場で何人でも追加しています。
サイト上では、すっごく評判が良いことになっています。まぁ、こういうことにほとんど造詣がないとか、知識がないとか、そういう人だったら、楽しめないことはないかもしれませんが、他とのバランスからいって、この内容で10ユーロはぼり過ぎ。とにかく私には時間の無駄以外の何物でもなかったです。
昔、うさん臭いと思ったのは、正しかったのですね。当時、ふと参加しようなんて思わなくてよかったです。一人だったら、ちょっとやりきれない腹立たしさでしたから。

ということで、色々思うところのある二か所でした。

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  1. 2020/09/26(土) 18:46:49|
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