2020.08 コロナ禍中、炊飯器持参の夏休み(エトルリアとロマネスク)17
ルッカからミラノへの帰り道は、こんな感じで北上することになります。

地中海沿いのラ・スペツィアあたりから、山中の高速を通ることになります。ルッカを正午過ぎに出たので、どこか立ち寄って、例によって、おにぎりのピクニック・ランチをする心づもりでした。山間の高速沿いに、素敵な石積みの教会(フィラッティエラ)がありますが、ピクニックポイントが思いつかなかったので、その先で、立ち寄ったことはないものの、結構な町だと思われるポントレモリPontremoliを提案しました。ちょいと気になる博物館もあったんです。
しかし出発してしばらくしてから、にわかに曇ってきて、途中、結構な雷雨に見舞われたので、これは、ぶらぶらピクニックどころではないかも、と思いながら走行。最悪、どこかドライブインで車中おにぎりかと思っていたところ、ポントレモリ直前で、ちょっとした晴れ間となったので、当初の予定通り、高速を降りました。
私はもちろん、同行者もかなり晴れ女だったので、ダブルの威力ですかね?
町の入り口の無料駐車場に止めて、降りてびっくりでした。水たまりもあったので、すでにひと雨は降ったようで、かなり気温が低かったのです。
上着を着こみ、おにぎりをもって、まずはランチの場所を探しました。
この町、結構な川がありまして、素敵なローマ橋風の古い橋がありまして、その橋の下がピクニックテーブル完備の公園で、うってつけのおにぎりスポットでした。

これは、グーグルからお借りした写真。
時々、メモってなかったレストランとか、気になっていた風景とかを探して、グーグルマップで検索しますが、今ってホントにすごいですよね。大抵探し当てることができちゃう。今回のように資料写真がなくても、ネット探せば、大抵のものは出てきますね。
でも、だから人はどんどん横着になってメモもしなかったり、おそらくいろんな本能だったり記憶力だったりが衰えていくような気がします。
それはともかく、おにぎりランチに大満足して、目的の博物館に向かいます。
といっても、以前から行きたかった、というようなものでもないんですよね。走行中に看板を見て、あ、あれは、以前フィラッティエラの教会にあった写真でちらと見たブツだな、ちょっと興味があるな、ということで、私の中で目的地化しただけのことなんです、笑。

ルニジャーノ石碑博物館Museo delle Statue Stele Lunigianesi
Castello del Piagnaro, Pontremoli
開館時間は、季節によって若干変動するようですが、概ね、10/18時という様子です。入場料は7ユーロ。
町の高台にあり、歩き用の道と、エレベーターもあるようでしたが、そちらはどこからどうなっているのか、まったく不明でした。かなりの急坂で、結構ぜえぜえしましたが、距離は大したことありません。
坂道が辛かろうが、入場料が若干高く感じられようが、笑、ここは、行く価値、大でした!大の大型です。イタリア語だと、最上級の上でBellississimoとか言っちゃいますね。

Aタイプ
ぎゃあああ、と叫ぶレベルでかわいくないですか?

なんなの、これ?と知りたくなるでしょう?
もう本当にびっくりしました。まずはそのあまりの愛らしさに。そして見学順路にある説明やビデオで、由来とかの面白さに。
知らなかったんですよ、これって。
実は、先述したフィラッティエラの教会を訪ねた時、このブツに関する資料が並んでいたんですが、ちゃんとは見なかったんです。それに、その写真では、そんなに悶絶するようなかわいさは感じられなかったんで、ほぼスルーしちゃってたんです。あの時、もっとちゃんと見ていたら、きっと、もっと前から興味を持てたと思います。
フィラッティエラ、ソラーノ教会の記事
https://notaromanica.blog.fc2.com/blog-entry-1670.htmlさて、このStatue Steleって、うまく訳せないんですけれど、何かといえば、先史時代の巨石文化に通じるものなんです。巨石?と思われると思いますが、この石像、平均的に、人の背丈前後の大きさです。160センチの私よりは、ちょっと小さいのが多かったかな。でも、結構な大きさなんです。
先史時代、銅器、青銅器、鉄器時代にわたるもので、紀元前3500年から1000年くらいの長期にわたって、作られていたようです。本当の最後の方は、ちょっとエトルリアの萌芽が見られる時代に触るか触らないかという感じみたいです。
そう、こういう愛らしさって、エトルリア、そしてローマ時代を飛び越えてロマネスクに通じるような気がします。ロマネスクが好きな人には、絶対訴えるものがありますよ。
アジアの方から、ヨーロッパ一帯で発掘されているものだそうですが、イタリアで最初に発掘されたのは1827年で、かなり近年になって初めて知られたものなのですね。このルニジャーノ博物館の開館も1975年と、比較的新しいのです。研究も、まだそれほど掘り下げられていない状態で、この者たちが、何に使われていたのかすら、分かってないみたいです。

見つかる経緯も、多くが、工事現場でたまたま、ということが多かったようなんです。博物館で印象的だったのは、近所の道端に突き出していた一部が気になり、一人で、時に友人と二人、コツコツと掘って、とうとう完全な形で掘り出して二人でびっくり、という地方のおまわりさんの話。
どうやら、いかにも建物とかの遺跡があるような場所にあるということがなくて、この人たちが複数出てくることはあっても、それはそれだけ、というものらしいのですね。つまり、この人たち自体が、巨石の石というんですかね。

この7体は、まさに同じ場所から発掘されて、おそらく博物館をオープンする原動力になった人たち。
ここは、見せ方もすっごくドラマチックで、うまかったです。印象的でした。
パット見わかると思いますが、お饅頭のような胸がついているのが女性、そして、剣や弓などとがった武器を体の前に抱えているのが男性。とがったものは、男性器のシンボル化ということのようです。
長期にわたって作られた石像たちですが、大きく三つの時期に分けられていて、一番古い時代の子は、トップのやつが代表選手で、全体がのぺりと区切りなく続いている、要は妖怪一反木綿みたいなやつです。
その後の時代に、頭部と身体がくっきりとしてきて、トップのやつ以外は、横並び7人組も含めて、Bタイプ。
この下の、AやBに比べると、もうかなり写実的になってきているのが、Cタイプとなります。

私は、古い時代のやつらが、お好みです。

Aタイプ。
いいよねぇ。
イタリアでは、この辺り中心に発見されているものですが、フランスやスペインにのあるようなんです。でも、どこでも、あまり研究はされていないかも。巨石としては地味だし、位置づけが難しいものかもしれません。
でもね、すっかりお気に入りなんで、この辺りに行ったら、また会いに行っちゃいそうです。
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- 2020/10/03(土) 00:29:39|
- 旅歩き
-
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| コメント:4
BS日テレの番組にてポントレモーリが取材されており、貴ブログへ至りました。
番組では石人の話題はありませんでしたが、貴ブログ楽しく拝読しました。
イタリアはウクライナ出身の方も多いと伺っていますので、別にコメントして贈らせていただきました。
これからもご健筆ご健勝を祈念致します。
- 2020/11/29(日) 04:29:50 |
- URL |
- マサムネ #-
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訪問及びコメントありがとうございます。
ポントレモリの特集があったのですね。そのテレビ番組は、ほとんど見たことがないのですが、かなり丹念に取材をしているようですね。
申し訳ありませんが、他のコメントへのお答えは控えさせていただきます。
- 2020/11/29(日) 18:01:20 |
- URL |
- Notaromanica #-
- [ 編集 ]
拝復
一見サンですし、素敵な記事に感謝するばかりの者にて、ご健筆を妨げるコメント返し何卒ご無用に願います。
次のような記事など紹介して、ささやかながら応援に替へたく存じます。
造山古墳で埴輪列を初確認「地域治めた王の墓」 岡山
産経2020.11.29
全国4位の墳丘規模を誇る岡山市北区の造山(つくりやま)古墳(前方後円墳、全長350メートル)で埴輪(はにわ)列が初めて確認され、岡山市教育委員会は29日、発掘現場を一般公開した。市教委文化財課の寒川史也主任は「埴輪列の発見で、古墳築造時の具体像が分かる。多くの人の手がかかっていたとみられ、地域を治めた王の墓にふさわしい」としている。
古墳は3段築造。1段目の平坦(へいたん)面では5個、2段目の平坦面からは4個の円筒埴輪が並んだ状態で見つかった。2段目の別の発掘区でも2個並んで見つかり、そのうち1個は朝顔形埴輪とみられる。埴輪はいずれも直径30センチぐらいで上部はなく、底部が残っていた。すぐそばで古墳を覆う葺石も出土した。
造山古墳は墳丘に立ち入れる古墳としては最大で、5世紀前半の吉備地方を支配した王の墓とされる。
- 2020/11/30(月) 04:03:41 |
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- マサムネ #-
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マサムネさん
古代文明にご興味がおありのご様子ですね。
当地でも、先史時代の遺跡は、巨石中心にいろいろあり、興味はあるのですが、そこまで広げられないというのが本音なんです。
どうぞ、引き続きよろしくお願いします。
- 2020/11/30(月) 22:00:45 |
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- Notaromanica #-
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