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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

彩色柱頭について、なんちゃって考察(トゥールーズ31、その2)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その2

トゥールーズのサン・セルナン聖堂Basilique Saint-Sernin、続きです。

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後陣からアクセスして、後陣と南側の見学というか、観察というか、じっくり見ていると、気持ちが焦ってきます。こういう気持ち、よく書いていると思いますが、見るものがあるほど、うれしい半面、すごく困ってしまうっていうか、困惑するっていうか、先にどんどん進んで、早く全貌を見たい気持ちと、気に入ったものをじっくりと見ていたい気持ちのせめぎあいみたいな気持ちで、どっちつかずの引っ張り合いになっちゃうんですよね。

それもむべなるかな、このサン・セルナンは、当時のクリュニーと並ぶロマネスク最大規模の教会だというんですから。

現地で仕入れた書籍を紐解こうと格闘したのですが、フランス語はやっぱりなんとなくしかわからないので、イタリア語情報を頼りにしたところ、今ある教会以前は、すでに4世紀ごろ、最初の教会があったのだそうです。初期キリスト教時代ですね。それはそれで、おそらく私が好むタイプの教会だったに違いないと思いを馳せます。そこに、5世紀になって、聖セルナンのレリックが持ち込まれます。
その後、教会を中心とした修道院が作られ、そこはアゴスティーノ派修道士の管理で、15世紀まで生き延びたそうです。
その間、この地がサンチャゴ巡礼路の主要路となったことで、当時の教会では小さすぎるということから、1070/1080年の間に、教会建設が始まりました。同11世紀の終わりごろに主要な部分(後陣、翼廊)が完成し、その後、徐々に他の部分が完成。また、後代の付け足しや改装も含めて、今の姿になった、ということらしいです。

そういう結果として、ファサードは後代の建築で、ロマネスクばりばりの後陣や南側面にある数々の装飾を見てきた後では、気が抜けます。

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正直、やっと中に入れる、とほっとした気持ちもありました、笑。

こういう壮大な教会ですから、中は、想像通り。

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キラキラ。シャンデリアまで下がっていて、キラキラ感が増しますが、スタイルは、とてもロマネスクな感じです。イタリアだと、この手の、後代、特にバロック時代に手が入った教会では、柱頭が削られちゃったり、彫り物は残されても金箔が張られちゃってキラキラ、というケースが大変多いのですが、フランスはどうだったのでしょう。

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と思ったのは、素晴らしい彫り物が、かなり良い状態で見られたからなんです。
修復もされているでしょうし、もし変な彩色があったとしても、最新の技術できれいにしているということなのかな。

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彩色は見えますね。もともと極彩色だったのかもしれないな。

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柱頭などの彫り物に関しては、全部彩色されていたという説と、必ずしもそうでないという説があると思うのですが、フランスでは、多くの柱頭に彩色の跡が残っているケースが実に多いですね。イタリアでもありますが、彩色跡の残るケースは少ないと思います。金箔はがしも、もしかしたら、少しは関係しているのかしら。

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フランスだと、かなり山奥の辺鄙な教会でも、彩色柱頭が多くみられるから、なんとなく基本がそうだったんだろうな、と思えるんですが、イタリアでは、めったに見ないから、全部彩色説は、フランスに限っての議論かな、とも思います。
金があったとか、材料の有無、そして、美的センス…。

でもさ、彩色の絵の具を化学的に分析しているのでしょうけれど、フレスコ画なんかも、正確な年代を確定するのは非常に難しいという話を聞いたことがあるし、100年や200年の差の区別って、もしかしてすごく難しい可能性があるから、そう考えると、オリジナルに彩色されたのか、例えばゴシック期以降とかの彩色とか、そういうのもわからないかもしれないってことになるよね。

ふふ、色々想像するのは楽しいですね。
先史時代ほど遠くない中世だって、現代の技術の粋を尽くしてもわからないことがあるというのは、やはり歴史はロマンです。

さて、いきなり床に目を転じて、こんなものがあってびっくり。

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これはいつの時代のものなのか。古び度合からいって、さほど新しいものとは思えないし、結構細かいテッセラの本格的なモザイクだから、古そうな気もする。でも、無造作に踏みつけられるし…。

また上に目を転じて、別のお宝発見。

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フレスコ画、12世紀とされていますが、タッチ的には、もうちょっと下がるような気もします。
1970年代に発見されたんだって。それ以前にここを訪ねた人は、見ることができなかったんだね。そういうものって、結構あったりするから、やっぱりロマンだなぁ。
こんな高いところにあるから、細部は肉眼では見えません。

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中も、外と同様、これでもか、状態。
なんと、柱頭なんかは、外側で435個、内部で443個もあるんだそうだ。相当高い位置にあるものも多くて、とても見えませんが、彫りはしっかりしていて、保存状態も良好なので、ドローンとか飛ばして、接写してみたい感じです。

実は、この教会で最も有名なお宝は、これから。教会は早朝からいているけれど、その場所は、有料で、10時から、ということなので、開くまでの時間を無駄にしないため、カテドラルや美術館を先に回って、再び戻ってきました。
いつでもどこでも、小走り状態、笑。

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  1. 2020/10/10(土) 18:44:45|
  2. ミディ・ピレネー・ロマネスク 31-81-82-46-12-48
  3. | コメント:0
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