2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その3
トゥールーズのサン・セルナン聖堂Basilique Saint-Sernin、続きです。
前回までの記事にも書いたと思いますが、ここ、教会は8時半から19時まで、常にノンストップでオープンしているようですが、内陣部分には鉄柵があり、有料の博物館扱いとなっており、そちらの時間は10時から18時となっています。
そのため、一旦、他の見学をしてから、改めてこちらに戻ってきました。
入場料2.5ユーロなりを支払い、鉄柵の内側へ。
実は私、見るべきものはクリプタにあるものとばかり思っておりました。そのため、鉄柵を超えてすぐ右手にあった階段を、勇んで降りてゆきましたとさ、笑。

しかし!何もない。変に新しいしつらえだし、11世紀の彫り物なんか、影も形もないじゃないですか。事前に調べたメモでは、「クリプタの壁」としていたのに…。
狐につままれた気持ちで、階段を登って、やっとわかりました。

自分のメモ、間違いまくり。クリプタじゃなくて、周歩廊の内壁にあったんです。この三つの浮彫、11世紀のもので、Bernard Gilduinという石工さんの作とされているもの。
真ん中の祝福するキリスト、アップ。

ちょっと怖い馬面系。失礼ですな。
髭がなくて、長髪できれいに整髪されているのが特徴的と。確かに、きれいにくしが入っていますよね。身近な人をモデルにしたんじゃないの?というのが印象です。第一に手が、とってもごつごつしていて、変に写実的で、働いている人の手っていう様子だと思うんです。
お顔も角度によって印象変わりますけれど、堂々と見ると、ある意味エキゾチックというか、色々血が混じっている雰囲気もあります。

写実の人っていうことですかね、マエストロ・ベルナール。
キリストの左側、つまり向かって右側にはセラフィム。

この人の髪の毛もきっちり。なんか、ひも状のもので結んでいますけれど、この辺がちょっと違和感あるのかなぁ。鼻筋、ピーン。

扉口の横顔専門の人たちは、もっと団子鼻なんで、手が違いそうです。
とはいえ、彫りの細かさとか、手のごつごつ写実間には、共通するものが感じられるので、同じ工房の人たちなのかな、やっぱり。

一方、キリストの右側、つまり向かって左側にいるのは、ケルビムとあります。

それぞれ、上のアーチに彫り込みがあるのですが、セラフィムの方は、書籍にそう書いてあったのでそうかと思ったまでですがこちらは、同じ伝で、アーチの彫りこみを信じるとすれば、ケルビムのようです。

この子は、短髪で、天パー(天然パーマ)的な。くしけずり二人の後では、ちょっと新鮮な写実です。ちなみに、天使の階級では、セラフィムが最上級で、ケルビムがそれに次ぐ地位となっているので、天使界のトップに囲まれている、という図になるわけですね。
かなり硬度のありそうな石への彫り物で、こうして改めてみると、とても立派な作品なのですが、個人的にはあまり訴えてくるものがなくて、写真数も最低数でした。
この彫り物を置いても、この周歩廊は、お金を払って見学する価値があります。

立派な構造と、たくさんの見るべき柱頭があります。

彩色跡がありますし、天井や柱、壁なども、すべて様々な意匠が施されていた様子が残っています。色がオリジナルの状態だったら、実に驚くべき極彩色な派手派手ですね。

大好きな市松フリーズも、こういう風に色が入っていたとすると、様相が変わってきます。これはこれで、やっぱりかわいいですけども。
確かこの部分だったと思うんですが、もう一つ、ちょっと古そうな天井フレスコ画があります。

色が褪せているし、この、白のぽつぽつは、このフレスコ画の上に、もう一枚フレスコ画というか、漆喰が塗られていた跡だと思います。顔は全部なくなっていますし、細部は残っていませんので、前回の記事に乗せたフレスコの方が、保存状態は相当いいようです。上に他の漆喰が載っていたのに、なぜ、顔がないのか不思議。
長くなりましたが、この旅しょっぱなの教会は、実に見所豊富で、アワアワの幕開けとなった次第です。
アワアワは、実はまだ継続します…。
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- 2020/10/11(日) 20:26:00|
- ミディ・ピレネー・ロマネスク 31-81-82-46-12-48
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