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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

研究の切り口?(レスキュール・ダルビジョワ31 その2)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その8

レスキュール・ダルビジョワLescure d'Albigeoisのサン・ミシェル教会Eglise Saint Michel、続きです。

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中入ってびっくり。なんか、地域のアーティストなのか、または素人のグループ展なのか、なんか展覧会中。ここって、もう教会じゃないのか?
教会としての機能をなくして、こういうイベント会場になっているケースは、決して珍しくないですが、墓地の教会でこれは、珍しいように思いました。
しかし、展示品のあるおかげで、ライトが明るくて、見学には助かりました。風情はないですけどね。
そして、熱心に柱頭を見ていたら、おばあさんが寄ってきて、非常に立派な教会の冊子をプレゼントしてくれました。写真も美しくて、売っていてもいいようなものですよ。最後に、ちょっぴり小銭を献金してきました。

その方、こっちが苦労してフランス語で質問をしたところ、さらりと英語で答えてくれたんで、正直すごくびっくりしました。フランスは、お隣の国でもありますし、ずいぶん昔から定期的に訪ねているわけですが、近年、徐々に英語力が高まってきたと肌で感じます。それでも、フランス愛が強すぎるのとコミュニケーション能力及びコミュニケーションしたい気持ちの欠如で、イタリアに比べると、英語普及率が遅いように思いますし、特に若者には何度もがっかりさせられた経験がありますけれども、そうは言いながら、やっぱり少しずつは変わってきているのですね、きっと。

おっと、つい脱線してしまいますが、この教会、小さいけれど、なかなか立派な柱頭がたくさんあり、保存状態も良いのです。

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私が大好きなモチーフの一つ、ライオンの穴のダニエルさん。
ライオンが重なって、わざと怖そうなふりをしている感じが、チャーミングです。ダニエルさんの手が、縮尺無視の大きさなのも、なんか好きです。
そして、副柱頭と壁につながる例のチェッカー帯。うっとり。

角っ子からライオンをフューチャーすると、こういう感じ。ヒールを演じている感がたまらないです。見方、ゆがんでますかね、笑。

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こちらは、ダニエルさんと向き合って、いわゆる勝利のアーチみたいな位置の根元にあるものです。

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いただいた冊子があるから、説明は簡単です。いや、フランス語なんで、一応辞書なんか要るんですけれども。
ヤコブとエサウの会見とあります。恨みつらみにまみれて一度は別々の人生を送った双子の兄弟が、おそらく多くの葛藤ののちに再会するというお話、あれでしょうかね。握手しているから、和解したシーンなんでしょうね。

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双子なんだけど、微妙に違う横顔。なかなかドラマを描き出す石工さんです。

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こちらは、犬の柱頭とされているやつと思いますが、あまりわんこには見えないかもね。正直、可愛さ今一つです。
こっちも、可愛さはないけど、もうどう見たってしこ踏んじゃってますっていう姿勢が、思わず、ぷぷっと…。

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こっちは、何だろう。ドラゴンと思ったら、角っこで二枚舌の変な怪物になっている。顔が重なりきってないんですね。

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角で腕が置かれている下にあるのは、顔みたいですね。

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これは結構怖いやつらかも!

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これは、ごちゃっとしてわかりにくいけれど、アブラハムの犠牲の場面。
この教会、変な者たちと、こういう聖書の場面が、結構バラバラな配置で置かれているのが、なんか独特。

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これ、いただいた冊子にあるプランなんですが、それぞれの柱頭も番号を振って、解説してくれています。本当に親切な冊子。
配置がね、12がダニエルで、向かいの15が双子の邂逅。これはまぁ、内陣の入り口ということで、聖書エピソードね、と納得ですが、アブラハムのごちゃごちゃしたヤツは、7に置かれているんですよね。
そういう配置の意味までは、とても分からないし、分かろうとしたこともないし、そもそもこういうとても親切な紙ものでもないと、確認もできませんし。でも、きっとそういうところの意味を考え続けている人なんかもいるのかもねぇ。

ということで、規模は小さいながら、なかなか充実の教会です。

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  1. 2020/10/21(水) 04:57:49|
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