2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その22
この日は、あまり広い範囲ではないのですが、同じ場所を行ったり来たりという感じで、やったら走り回っていて、この時、そろそろ一日の終わりが見えてきたにも関わらず、長い道のり、それも、なんだか行っても行ってもたどり着かない、みたいなイメージで、泣きそうになりながら走っていた記憶があります。

それもそのはず、というか、改めてグーグルで確認すると、こんな山の中の道を走っていたのですねぇ。一番の近道ではなく、当時持参した紙の地図を見ると、56分かかる国道的な道を行ったようですが、なんだか延々と谷底を走る感じだったと記憶しています。
ガラスの反射があったりして、写りが悪いのですが、現地にあった航空写真です。左側を上下に走っているのが、延々と走ってきた街道で、右に入った一本の田舎道の先が、目的の教会です。

モストゥエジュールMostuejoulsのノートルダム・デシャン教会Eglise Notre-Dame des Champsです。
事前に調べたのは、サン・ピエール教会だったので、教会前の説明版を見て、首をひねったのですが、モストゥエジュールの村に直結する教会は、どう見てもここしかなさそうだし、これなんだろうと思うしかありませんでした。
ちなみに、村は、道の反対側の斜面にあります。

ここ、墓地教会ですが、墓地のエリアから、遠く村が見えました。
ちょっと教会っぽい尖塔なども見えたので、もしかしてあれ?と思わないでもなかったですが、事前に調べたとき、道を隔てた反対側、ということはわかっていたので、やはりここだろうと納得しつつ。
しかし、人里離れた墓地教会という地味さにも関わらず、なんか、人が出入りしています。

入って納得。現代美術の展覧会中でした!

現代美術は大好きで、こういう古い入れ物での展示会も、決して嫌いではないのですが、教会を目的にはるばる訪ねた場合は、その限りでは…。
まぁ、変な電飾があるとか、その手の陳腐な作品じゃなかったし、展示のために、明りがいい感じにつけられていたのは、ちょっとだけラッキーだったと思います、笑。
いずれにしても、外も中も、ずいぶんと変容してしまっていることは、すぐわかりますね。
小さな教会ですが、こんな感じです。

赤い部分(壁の一部)が11世紀、オレンジ(色がわかりにくいですが、おそらく四本の円柱のみ)が12世紀で、それ以外は、15世紀以降の構造となります。
11世紀の構造物である後陣、ここでも円形じゃないのですね。そういうスタイルの地域だったんですね、きっと。
外からだと、こういう様子です。

脇の構造物は後付で、かなり邪魔ですし、おそらく開口部があっただろうから、勿体ない付け足しですが、円形ではなく、多角形ですね。
上部の鐘楼も、きっとこんなに横幅広げたのは、後付だと思います。
中では、12世紀のものらしい円柱が、いい味でした。

ブルゴーニュのトゥールニュとか、イタリアのガルダ湖畔のバルドリーノとか、ただ積んである感じの無装飾な円柱って、結構ツボなんです。ここはちょっと背が高いけれど、でも、上の方はオリジナルじゃないし、全体がオリジナルの構造物で残っていたら、かなり好きな教会だったのではないか、と想像できます。
上の写真で、左の方に見えているの、気付きますか?

ここも、ほっそりペア円柱です。好きだよねぇ、この仲良し二本組。
並べられたら、私は明らかにどっしり一本派、ということがよく分かりました、笑。
古そうな洗礼槽が片隅にあったりしましたが、装飾性は、ほとんどない、いわゆるシトー派系となるのでしょうかね。修道院があってもしっくりするロケーションですが、修道院という記述は、説明版にはなかったと思います。

人がいたので、この辺に、他にロマネスク教会があるか、一応尋ねてみました。最後まで疑惑を持っていたんですね、私。そしたら、お隣の村にあるわよ、ほら、あっちの方に見えるのがそうよ、と言われたと思うんですが(フランス語だったので、半分も分かってない)、実はここから、この日の宿までは、1時間以上の道のりだったので、もはや時間切れもいいところ。この時点で、18時は過ぎていたはず。

苦労してきた割には、得るものは少なかったんですが、それでも中に入れたし、田舎の素敵なたたずまいは、悪くなかったかな。

しかし、時々、なぜここを目的に選んだか、分からない時があります。フランスの場合は、大体いくつかのサイトを参照して、複数で取り上げられている場所を目安に選んでいると思うんですが、ここは、どういう経緯で選んだのか。場所が結構行きにくいし、周囲にどうしても行きたい場所があったわけでもないので、すごく疑問。まぁ、四年近くたって、疑問といっても仕方ないわけですが、笑。

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- 2020/11/25(水) 05:56:15|
- ミディ・ピレネー・ロマネスク 31-81-82-46-12-48
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| コメント:2
フランス冒険旅行記、楽しんでいます。
ルエルグの NANT 周辺は歩いたことがありますので、懐かしく読ませていただ
いております。あたしはミオーの橋、家内はロックフォールのチーズに興味があ
りましたんでね。
ロマネスクは大した遺構は残っていないと思って数か所しか行きませんでした
ので、とても Mostuejouls までは手が回りませんでしたよ。
corsa さんの選ばれたルートは大正解で、一旦 MILLAU の町近くまで出て、
Tarn 沿いに行かれたんですが、La Roque からの山越えはきっと凄い難路
だったと思います。
Notre-Dame と St-Pierre は同じ教会だと、Zodiaque には書いてありまし
た。
イタリアのコロナ、心配ですがくれぐれもお気を付けて。
- 2020/11/26(木) 05:21:36 |
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- ほあぐら #-
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ほあぐらさん
そうでした、建築、ご造詣深かったですよね。確かにこれはすごい橋です。今だと、自然破壊だのなんだのと反対運動がおこるから、簡単には作れないタイプの巨大建築かもしれませんね。
ロックフォールって聞いたことあります。この辺りなのですね。私は、お子様向けの臭みのないチーズ専門なので、その点でも門外漢です、笑。
教会の名前につき、情報ありがとうございます。聖母とサンピエール、なんという大胆なささげ方でしょう。でも、なんとなくですが、田舎の教会ほど、ノートルダムって多い感じもしますね?フランスって意外と聖母信仰が強いということなんですかね。考えたら、ノートルダムと呼ぶのも、そういう表れなのかな、などと思ったり。イタリアは直接的にサンタ・マリアですからね~。
いずれにしてもこの地域、本当に再訪がかなえばいいなぁ、と夢見ております。
東京も相当広がっている様子なので、どうぞお気を付けて、お過ごしください。
- 2020/11/28(土) 12:39:51 |
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- Notaromanica #-
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