2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その55
毎日、地味さがいや増す行脚、という様子ですが、本日は、こちら。

ヴェルノルVernolsのサン・ジャン・バプティスト教会Eglise Saint-Jean-Baptisteです。
見た様子は、美しく整備されていて、実際きれいなんですが、だからどうか、というものですよね、ロマネスク修行的には、笑。
このあたり、どんな様子だったかと、グーグル・マップで確認してみました。

左側が、今回の記事のヴェルノルで、右にある教会が、前回記事のアランシュとなります。グーグルでも、黄色でD9とある道はストリートビューがありますけれど、細い道は農道程度なので、ビューはありません。もうこの一帯全体が、グーグルストリートビューの存在しない土地となっています。まだまだグーグルが撮影しなければいけない道は、もちろんたくさんあると思いますけれど、なんとなく、この辺りは撮影したところで、見る人もほとんどいないのかとか納得する部分もあります。
全然関係ない話ですが、ストリートビューに移っている我が家。ついこないだまでは、確か4,5年前の映像で、昔の車が写っていたのですが、好奇心から確認したところ、なんと2020年7月に撮影しなおされていました!そして、今回もまた、マイカーがしっかりと写っていました。二年前に買った新車です。
さすが、ミラノあたりになると、結構まめにアップデートするんですね~。
または、コロナで人も車も少ないことを利用して、すごい勢いで各地の撮影を実施したのかもしれないですねぇ。
おっと、話をヴェルノルに戻しましょう。

カンタルに典型的なスタイルで、石も、屋根もおなじみ。そろそろ飽きてきましたね?
でも、ここの扉口のアーチの激しさは、ちょっと特筆ものだと思います。

地味です。地味ですが、この執拗なリピート感と質実剛健感。頑固者のカンタル出身じゃぁ~と、腕をぶんぶんしている石工のイメージです。
ここまで頑固感はないですが、こういう隅切りの深い扉アーチ構造って、スペインにもよく見られるように思いますが、どうでしょうか。

ギザギザのライオン歯は、光の加減で違う様子に見えたりして、なかなかデザイン的に面白いものだと思います。素朴なお団子は、好きなアイテム。お団子の大きさはまちまちの割に、並び方はすっごく均等です。
ギザギザの外枠の石のあちこちに、文字がひっかいてあるようでした。これは、おそらくオリジナルの、石屋さんか石工さんのイニシャルなのでしょう。
扉のある外壁に、こんなかわいらしい頭部が飾られています。

大きさとかから、軒持ち送りにぴったりサイズのように思えますが、でも、この近辺で見てきた不思議シュール系の軒持ち送り彫刻を考えると、ちょっと違うようにも思えます。

どちらも、やさしさや優美さが漂う女性のお顔にしか見えません。
さて、この時お昼時ど真ん中、みたいな時間でしたが、扉はしっかりと開いていたから驚きです。

中は、ほとんどデジャヴという様子です。天井など、新しく木でふいちゃってるし、なんか全体暖炉みたいな様子(石の感じが、なんか暖炉っぽい、笑)。
無理やり探し出した古いもの、その一。

古いアーカンサス柱頭さかさまに、聖水盤載せてるやつ。

その二は、天井のヴォルトリブの真ん中にはめ込まれたやつ。メダリオンとかでいいんだっけか。位置はさかさまながら、人に見えますが、どうでしょう。セロ弾きのゴーシュみたいに見えるんですが、変ですかね、私の目?
ここでは、新しいものが、ちょっと面白かったです。

木製の磔刑像なんですが、Benoit Mauretという現代作家さんの作品のようでした。二つありましたが、なかなか好みでした。
細かいところまで彫ってあるんですが、その程よいデフォルメがセンスよし。
何を見に来たんだか、一瞬忘れますね。

それにしても、千年近くも昔の建物に、現代の磔刑像。キリスト教というつながりで時間を軽々と飛び越えてしまうこと。磔刑像でなくとも、現代を生きる自分が、昔の空間に入れてしまうこと。
ただそれだけでも、なんだかおもしろいことです。
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- 2021/02/07(日) 01:26:11|
- オーベルニュ 03-63-15-43
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| コメント:2
この磔刑像、いいですねえ。 顔がない方がもっといい。
この教会階段あがって 妻入りではなく平入り、というのでしょうか? こういう教会の入り方って スペイン(カスティリャ・イ・レオン)によくあるような気がします。
この入口アーチ、 柱頭がなくてそのまま 弧をえがいているのが珍しい気がします。
飾りのない多重ブシュール カンタル地方から少しとおいですが、火山岩系かとおもわれるような黒っぽい石が使われているル・ドラ、ここは多葉形archですが、 しつこくくりかえされていました。 ここの塔の窓もけっこう飾りのない何重にもなった archが ありました。
彫刻などのぽちぽつ決行味がありますね。・
- 2021/02/07(日) 06:15:55 |
- URL |
- yk #C8Q1CD3g
- [ 編集 ]
ykさんも、スペインを髣髴とされたのですね。
確かに、階段を上がって、というのは、結構スペインのイメージがありますし、こういう多重のアーチ扉も、そうで、なんとなく、端々にスペイン・ロマネスクが…というのは、このあたり、あるように感じられて、不思議です。
ルドラ、知ってるなぁ、と思うけれど、どこのどんな奴か、思い出せず、フランスは、土地の名前や教会の名前が、なかなか記憶に定着してくれなくて、苦労します。
- 2021/02/07(日) 17:52:03 |
- URL |
- Notaromanica #-
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