fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

金持ちの村と、そうでもない村だったのかな(ラセル―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その60

前回のサン・シルグで次の目的地をナビに入力したら、1分、と出てきたので、嘘だろう、と思ったら、本当に1分で到着しました。

midipirenee 787

ラセルLascelleのサン・レミ教会Eglise Saint-Remiです。

前回に引き続き、街道沿いにある村なんですが、イメージはこんな感じ、ということで、グーグルの写真をお借りしました。ちょうど、雪景色で、ちょっときれいだし。

midipirenee 788

サン・シルグの教会と、ほぼ同じスタイルです。

midipirenee 789

鐘楼の部分に屋根がついていて、こっちの村の方が、お金持ちがいたのかな、とかそういうことだと思います。後、装飾的な部分も、あちらよりは多いので、やはりお金持ちがいたんだと思います。

質実剛健な様子の扉口。

midipirenee 790

消えそうな浅浮彫装飾があるんですよ。

midipirenee 791

ね。
石そのものも傷んでいるし、彫り物もちょっとダメージが激しいです。でも、こういった地味目な装飾も、出来立てほやほやのことは、石だってピカピカしていたんでしょうから、今見て感じるものとは全然違う豪華さがあったんじゃないか、と思います。

というのも、つい先日、ミラノの町を歩いていて、あまり近くから見たことのなかったネオロマネスクの教会の前を通ったんです。レンガ積みの建物で、ブラインドアーチなど多用しており、軒持ち送り的な彫りものまでちゃんとあるような、しっかりしたネオロマネスクなんです。
おそらく、レンガも、今どきの新しい素材で、単純に土を焼いただけのものではないと思いますし、だからレンガといえど、ピカピカしています。アクセント的に置かれたアーチを支える白い石の柱が、レンガを背景にすっきり感を出していて、そんなすべてが、出来立ての教会って、当時だったこういうピカピカしたイメージがあったんだろうなぁ、と、結構急いでいたんですが、しばし立ち止まって、ファサードを眺めてしまいました。

ロマネスクを回っていると、当然のことながら、実際に建物が作られた時から千年近くも経た状態になっていて、それが好きなわけではありますが、できたときどんなだったか、と考えるのも、なかなか面白いことかも、と思いました。
まぁ実際は、いつだって、目の前にあるものを受け止めることに忙しすぎて、そういう見方があることなんか、思いつきもせずにアワアワしているんですけどね。

midipirenee 792

軒持ち送りにも、いくつか楽しいやつらがおりました。傷んではいますが、ちゃんと石工さんを雇えたんです、ここでは。

midipirenee 793

そして、あちこちに、小さい装飾があって、まさに宝探しです。
トップの写真が、後陣なんですが、とんがりアーチのブラインドで、こじゃれた仕上がりになっていますよね。
そこにも、こっそりと彫り物があるんです。

midipirenee 794

素朴でかわいい。
それにしても、ここらでは、鼻の穴にこだわりがありますね、なんだか。かわいいんだけど、この、ぽちっと二穴。

midipirenee 795

外は四角い後陣ですが、中はちゃんと円形になっています。

midipirenee 796

これは、どうしてなんだろう?四角い方が立てやすかったとかそういうことなのか。より古い時代のものが、そういうことらしいですが。

内部は、ほとんど装飾らしいものもなく、という様子です。というより、後代の手が入っており、現代の宝物、として説明盤で紹介されているのは、いずれも16世紀以降のオブジェクトばかりで、我々には興味のないところです。

midipirenee 797

なめるような視線で探しても、なかなか。これは後陣部分のものだったと思いますが、縄目に、古さを感じます。

midipirenee 798

この市松も、数少ない名残。

ここは、お金があった分、本来結構あったはずの彫り物なんかも、傷んだとかの理由で、もしかすると替えられちゃったりしたのかもしれない、と勝手に想像しています。17世紀以降に置かれたものもたくさんあるようなので、ルネサンス期あたりに来ていれば、全然中も違ったかもね。石に聞いてみたいもんです。

midipirenee 799

夕方が迫ってきています。先に進みます。

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログ 建築鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

インスタグラムに、これまでのロマネスク写真を徐々にアップしています。
Instagram, Notaromanica
スポンサーサイト



  1. 2021/02/20(土) 20:21:24|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | コメント:2
<<サレール赤牛に舌なめずり(ラロクヴィエイユとジルゴル―15カンタル) | ホーム | 延々と続くカンタルの田舎の村(サン・シルグ・ド・ジョルダンヌ―15カンタル)>>

コメント

感謝

corsaさんありがとうございます。COVID-19の所為で手足をもがれたような日常に唯一開いた窓であります。
ロマネスクフリークといっても圧倒的に少ない私の経験値ですのに、corsaさんの案内にはいつも共鳴して聴き入ることができるのです。
これからもよろしくお願いしますね。
  1. 2021/02/21(日) 01:14:16 |
  2. URL |
  3. ote #TQU6yXy2
  4. [ 編集 ]

Re: 感謝

oteboxさん、コメントありがとうございます。
どうでもいいことばかり書き飛ばしておりますが、楽しんでいただけるものがあるなら、とても嬉しく思います。感じたこと中心で、知識的深みのない内容なので、そんな風に言っていただけると、恐縮です。
Covid、終息が見えず、国外に出ることも当面ままなりませんが、待つしかなさそうなので、この夏休みもイタリアだ!と計画を立て始めつつあります、気が早いですが。今後も、楽しい旅を紹介して行けたら、と思います。こちらこそ、よろしくお願いします~!
  1. 2021/02/21(日) 17:26:42 |
  2. URL |
  3. Notaromanica #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する