fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

石工の性格などを夢想(モーリアックその2―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その63

モーリアックMauriacのノートルダム・ド・ミラークル教会Eglise Notre-Dame-des-Miracles、続きです。

midipirenee 826

ここに至るまでの、地味な割にアクセス大変じゃん、という辛い行程を、補うように、見所豊富ですね。といっても、ディーテルが豊富なだけで、上の差審のように、教会の姿とか、全体のテクスチャーとしての感動は薄いんですけどね。
しかし、遠目にも、お、あのタンパン、あのアーキトレーブは、と感じさせられますでしょ。

midipirenee 827

ドカン、とはみだし系アーモンドが迫力です。タンパン、アーキボルト一体型ですね。アーキボルトに並んでいるのは使徒なのかと思いますが、漏れなく頭部が欠落しているのが痛々しいです。

midipirenee 828

向かって左、つまりキリスト視点からは右手の一群。使徒と、一番キリストに近い場所は、祝福ポーズの聖母かな。相当細かい高度な彫りと見受けられるので、頭部欠落は、残念なことです。しかし、キリストと両脇天使君は、なぜ助かったのかな。もしかして再建なのかしらん。

向かって、右、キリストの左手の一群。

midipirenee 829

キリストに近い位置にいるのは、おなじみ、鍵を抱えたペトロン、ピエトロさんですね。

写真って、相当アップで見ることができるので、正直今気づいたのですが、これ、ちょっとオリエント風味入っているような。
カギを確かめるために見ていたら、ピエトロさんのおなかがやけに出てるんですよ。横に流してみると、みんな出ている。腹が出ているというより、なんかポーズというか。そして、このヘレニズムっぽい衣の流れるようなドレープとか、ちょっと観音様系というか、顔がない分、国籍不明っていうか。
だってね、一体外して、独立像としてお寺に置かれていても、これ違和感ないような気がするんです。

特に右側の一群に、そういうテイストを感じます。

midipirenee 830

こういうのが、オリエントに流れた、ということなのかな。美術史分かってないから、本当に頓珍漢なことを言ってそうです。良い子の皆さんは、ちゃんと自分で調べてね、笑。

キリストはどうかというと。

midipirenee 831

やっぱり腹が出ている…。これはやっぱり今まで見たことないタイプかも。
この人、浮遊感がすごくあるように思うのですが、その割に顔がサラリーマン…。七三的な整髪をしているのが斬新です。衣装をスーツに置き換えてみたら、荒びっくり、ピッタリじゃない?と脳内変換してしまいましたわ。
でも、スーツだと腹出せないし、浮遊感はどうなるだろう。いや、腹のせいじゃないとは思うけれど、何がそういうふわふわした様子を醸し出しているのだろう。
あと、すっごくきっぱりと開けられている穴も気になるんです。
光背部分は、宝石はめ込みみたいなイメージですが、玉座の位置の大きいのは、何でしょうか。

そして両脇の天使ちゃん。

midipirenee 832

めっちゃノリノリです。
スペースありきのポーズで、こういうの大好物。ちょっとブリオネあたりの仲間を思い出します。キリストと違って、浮遊感というよりは、動きが前面に出ていますねぇ。アップで見ると、彩色の跡があるようです。

midipirenee 833

こっちの子も、負けてないです。ほとんどトランス状態ですよね。目がやばい、笑。
頭部は、再建には思えないので、やはり破壊しなかったということらしい。下に並んでいるやつは、破壊しやすかったとかそれだけの理由でしょうかね。それにしてもひどいことをしたもんだ。フランス人が、今やたらに文化に入れ込むのは、こういう黒歴史の結果かもねぇ。

タンパンは、すぐ目がひかれるから、見逃すことはないと思いますが、それを囲むアーキボルトは、一見すっごく地味で、ただ幾重にもなってるなっていうだけの印象なんですが、地味にひっそり、変だったりかわいい人たちがいますので、お忘れなく。

midipirenee 834

姿形からは、いわゆるライオンとしか思えないのですが、顔が…。

midipirenee 835

人面というものでもなく、なんかやばい人、みたいな…。

midipirenee 836

キメラ的な。この頭部がないのは、ただの自然損壊だと思います。
想像上の動物と、実存動物が、仲良く共存しています。

midipirenee 837

かなり写実的な魚。サケに見えます。

midipirenee 838

これまた写実的な羊の群れ。
普通だったら、一頭ずつ浮彫するだけなのに、わざわざ重ねて奥行き感まで出して、自分の技術に絶大な自信があって、俺を見ろ!的な石工さんの自慢気な作品。または、羊を彫れといわれた下っ端石工が、必要以上に頑張ってみた、みたいなストーリーも考えられます。
実際、これは珍しいです。

人もいました。

midipirenee 839

ペアだし、アダムとイブかと思いましたが、よく見ると、どっちも男。ふたご座?

midipirenee 840

てんびん座みたいのもあるから、これは黄道十二宮の星座が彫られているのかな。
イタリアだと、農業に関連した各月のシンボルが彫られることが多いので、それかと思ったのですが、違いましたね。

上を見た後は、お足元の確認もお忘れなく。

midipirenee 841

きゃわいい…。
ひっそりともぐもぐしています。

うっかりしていましたが、柱頭では、こんなやつらが、ちゃんと仕事しています。

midipirenee 842

これもキメラっぽくて、しっぽだか後ろ脚だか、もうわけのわからない絡み具合です。表情も、気持ち悪。足元のほのぼの系とは、まったく違うタイプの人たちで、不思議ですね。

向かいのも、なんか不気味な様子。

midipirenee 843

つる草にからめとられて、呆然とした表情ですが、無表情でもあって、シュールな印象です。

なかなか入場に至りませんね。

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログ 建築鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

インスタグラムに、これまでのロマネスク写真を徐々にアップしています。
Instagram, Notaromanica
スポンサーサイト



  1. 2021/02/27(土) 19:57:18|
  2. オーベルニュ 03-63-15-43
  3. | コメント:0
<<珍しい彩色、ごまかし疑惑(モーリアックその3―15カンタル) | ホーム | 久しぶりに可愛さ全開に遭遇(モーリアックその1―15カンタル)>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する