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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

今更好物だと言っても(イド・ブール、その1―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その65

次に訪ねた教会は、村のはずれにあったと記憶しています。

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イド・ブールYdes Bourgのサン・ジョルジュ教会Eglise Saint-Georgeです(当時は、オープンが午後14/19時)。

公園の緑の中、一人たたずむ、という大変美しいたたずまいです。
もしかすると、居住地が、時代とともにずれていって、気付いたら孤立していた、といった歴史なのかと想像します。
まぁ、今でも小さな集落で、どこが中心なのかもよくわからないような規模ではあるんですが、でも、こういうロケーションって、なんとなく教会としては使われなくなった時代とかあるんじゃないかな、と思います。イタリアだと、放置された教会を、農家が納屋に使っていたとか、そういう歴史が結構あるんですけど、フランスではどうだったでしょうか。

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この教会で、見るべきは、まずは扉あたりの装飾です。

実は、事前にも、午後オープンという情報は持っていた節がうかがえるのですが、にも関わらず、午前中に訪ねてしまいました。なかなか行程と訪問のタイミングを合わせるのは難しく、開いていない可能性が高くても、どうせ通るのだから、と訪ねてみることはあるのですが、メインの見学目的が外側なら、さらに、入れなくてもよいと思って、訪ねたものと思います。

上の写真で、扉前のスペースがわかるでしょうか。アーチ天井で設けられた場所、両脇の壁に、素晴らしい彫り物が残されているんです。

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受胎告知ですね。間柱があるのが斬新です。さして広いスペースでもないし、ここをアーチ構造にして支える必要は、建築的にはないのではないか、と思うので、装飾的なアーチ構造であり、柱だと思うのです。
床の間的な空間で、違和感はあるのかないのか、いずれにしても、珍しいように思われます。

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でも、やっぱりちょっと変。柱をないものとして見ないとだめですよね。柱ありきだと、ガブちゃんが、扉とか押してる風にしか見えないし、聖母の方は、いやだわこんな時間に誰?的なシチュエーション。あ、でも聖母的には、これはこれで正しい心情風景か、笑。
それにしてもガブちゃん、腰高。顔はちょっと御用聞き入ってる粗野な感じもあるのですが、スタイルは、モデル並みです。

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一方、聖母の方は、現地では傷みが気になったうえに、全体の妙にすっきりした風に、実はあまり好みではなく、かなりさらりと見ていたんです。
でも、今こうやって見直すと、そのすっきり感も結構いいのでは、聖母のお顔も、傷んでるとはいえ、なんというか、楚々とした表現も感じられて、これはこれであり、という気持ちで見ています。

受胎告知の向かい側、扉に向かって右側の同じスペースは、こうなっています、

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左側にいるのは、どうやらダニエルさんみたいですね。

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ダニエルさんのモチーフは大好きなので、出会うと結構小躍りしちゃうんですが、ここは、溶けちゃっているし、インパクトが薄かったように思います。興奮の様子が、感じられない日記の記載でした。確かにね、これだけ溶けちゃってるとね。
でも、この場所って、一応屋根があるし、それなりに雨風からは、守られていると思うんだけど、なんでここまで。

ダニエルさんの右側にいる人は、何だったでしょうか。絶対に他でも見た組み合わせだもんね、と思うのですが、情けない記憶力で、思い出せず、思わず検索してしまいました。

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ハバククさんでした~!食事をお届けしている親切な預言者さんです。今からこんなでは、将来の記憶力が心底心配になります、涙。
それにしても、パンと飲み物でしょうか。ちょっと微笑ましいっていうか、ご相伴にあずかりたくなるような大きさですね。

ちなみに、こういう時は、現地語で検索するのが一番ですね。願わくば日本語で何か出てくれば、一番うれしいのですが、難しいです。今回ヒットしたのは、イド・ブールの町のページだと思うのですが、教会の説明がなかなか良いので、サイトを貼っておきますね。読みたい方は、どうぞ自動翻訳機能などで読んでみてくださいね。私は、フランス語を斜め読みするだけなので、ここでは詳しくは書きませんので~笑。

イド・ブール教会情報

扉周囲では、アーチボルトにお注目しましょうね。

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グレーの石で、アーチに、うにゅっと押し込められたような様子が見られる部分です。ここも、傷みが結構激しいですし、どうせあれだろ、変な動物だろ、みたいな印象ではあるのですが…。

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いやいや、そんなことなく、つぶらな瞳を教会訪問者に向けているこいつは、今年の干支っぽいですよ。

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と思ったら。

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これは双子ちゃん。ここでも黄道十二宮が並んでいるみたいです。
それにしても、この双子ちゃん、右の子はポコちゃんぽいし、お手手つないでいる様子と、なんだか膝を曲げて、コマのようなものの上でバランスをとっているみたいな様子もめっちゃくちゃかわいくないですか。おちゃめな子役アイドルみたいです。

いて座さんは、両性具有的で、ちょっと怖いですが、身体の文様が、古代文様ぽいのが魅力的です。

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おそらく、アーチの部分に十二宮がいて、脇の方は無関係な人たち、ということになっていると思います。

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そのわきの方で、むにゅっと押し込められている人。頭部がないので、なんだかわからないですが、鋭い爪をもった肉食系ですよね。このぬめぬめ感、半端ないです。

見所豊富じゃないですか。続きます。

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