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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

出た~やばいやつ(セニェ、その4―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その71

今週は、びっくりでした。
なんと、フィギュアスケートの世界選手権、開催してたんで。何度か言及してると思うんですが、フィギュア、ミーハーレベルで好きなんですが、今シーズンは、大会もほとんどなくて、競技をテレビ観戦することもなく、しょせんミーハーレベルですから、存在すら記憶から消えていた状態だったんですが、さらりと女子ショートが…なんてニュースが出てきたんで、えええ!とびっくりした次第です。
開催地がストックホルムのため、おかげさまで、ライブ観戦。

さて、調べるのに手間取って、すっかり時間かかりまくりですが、セニェSaignesのサンタ・クロワ教会Eglise Sainte-Croix、続きです。

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後陣の方を、見ていきますね。

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ここの装飾としては、見るからに、軒持ち送り、それから、小さな窓の側柱に置かれた柱頭などがありますが、どれも面白いんです。建物が人間的なサイズ感なので、肉眼でも、結構ちゃんと見ることができます。

まずは、窓の部分の小さな柱頭から行きますね。
窓は二つあって、上の写真の方は、植物系のモチーフで、右奥、位置としては北向きとなりますが、そちらがちょっと面白いです。

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二人の人物がいるが、傷みのため、解釈が難しい。そのうえ、私の写真の撮り方が半端で、ダメですけど。
一人の男性が、立っていて、その向かいにもう一人がいるようなんですが、上半身が欠損してしまっています。見える人は、自分の手で、自分を守るように身体に添えていて、もう一人の人が、それを包み込むようにしています。上が背中を抱くようにして、肩に出ているのが分かるというんですが…、なんで一枚しか撮影しとらんのじゃ、おれ!
なんだかんだ言って、単純な抱擁の場面であり、ちょうどこの真上に置かれた軒持ち送りと違って、性的なほのめかしは全く見受けられない、と。

ちょっと~、抱擁で済むじゃん。腕を背中の方に回して云々って、抱擁の説明かい。行数稼ぎなんですかねぇ、研究者として、どうしても難しく書きたくなるんですかねぇ。

一応、結論的に、軒持ち送りの方は、間違った形の抱擁で、この柱頭の方は、正しい抱擁、つまり、善と悪の対比として置かれているのではないか、ということで、これはまぁ納得できますが、抱擁の説明はいらんね。
この柱頭の方は、正しい抱擁らしいので、欠損しているフィギュアは、単純に女性で、ちょっと熱い抱擁を表現したということになるのでしょうかね。すっごいぎゅーってしてますもんね。

軒持ち送りの方は、これです。

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これね、「口づけ」と呼ばれているそうです。
柱頭の抱擁同様、ギューッとしています。
本当に、なぜか一枚しか撮影してなくて、これじゃわかりにくいですよね。どうぞ、ネットで他の角度からの写真も探してみてくださいね。絶対出てくるので。

一見男女が逆に見えるのではないかと思いますが、右側が女性で、左が男性です。男性の頭髪は、なんかちょっと聖職者風というか、トンスラにも見えないことないみたいな様子になっています。そんでね、短めのチュニック来ていて、下半身、なんか開けまくりの、やばい人みたいなポーズになっているみたいなんですよ。あら、恥ずかしい。

右の女性は、頭をスカーフみたいな、なんかそんなもので覆っているので、顔の周りに飾りのようなものが見えますね。イスラムのヒジャブみたいな感じです。その右手、やけにでかいですが、男性の肩にガシッと見えますね。

これね、男性側から見ると、女性のサイズがやけに大きいみたいな感じになっています。この写真だと分かりにくいですけどね、特に男性の体、女性に比べると小さく彫られています。この辺も、何か意味を持たせている可能性があるようです。

女性の左手は、男性のお股の方に伸びていて、なんかつかもうとしていると、うわ~、やばいやつだわ。本の人も、さらりと、「チュニックと男性の膝の間から飛び出している何か玉のようなもの」とか書いているんですが…。

性的なものなのか、はたまた何らかの寓意的なものなのか。寓意的なものとする場合、前述の玉は、カバンとか貴重品みたいな解釈がされるそうです。え~…。

読みだすと、やはりそれなりに面白いので、今回は、いつもよりは圧倒的に写真少なめ、解説中心です。
次は、参照している本の著者が、カンタルで最も面白く興味深い軒持ち送りだと絶賛のやつ。

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ネコ科系の動物が、エクソシストのリーガン状態で、180度首を回していて、とまぁ、ここまでは割とあるタイプですよね。しかしここでは、なんか髭の男性の顔が。髭がご丁寧に、きれいに二つにくしけずられています。
下から見ると、動物のフィギュア、前方から見ると、動物の体を持つ男性、という様子になっています。
ハイブリッドか?というと、そういうことでもなく、顔は顔、動物は動物で、すっぱりと分割していて、男性の顔は、どっちかというとマスクみたいになっています。
で、解釈としては、人と動物の違いはさして大きくなくて、人はどんなときにも動物のようになることができるということではないのか、と言います。

人が尊いとするキリスト教思想の反映ということでしょうか。動物はやっぱり人に比べると下、という考え方。

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しかし、畜生的な扱いをされているやつですが、なんか愛らしい体系で、とてもとても、人が豹変する、みたいなコンテクストで語られても、豹変して、かわいいやつになるとしか思えないです、笑。

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後はさらりと行きます。
これは、一見ぬめっとした半魚人的な頭部に見えますが、ライオンみたい。これもリーガン状態で顔を回して、自分の背中をなめているようですよ。前足は、いじらしいくらい頑張って軒送りをつかんでいる様子。力いっぱいプルプルしながら背中なめんでも…。

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植物系でも、ここの石工さんは、独特です。内部でもパン屋さん的なバリエがたくさんありましたが、見てくださいよ、このロゼッタそのものの彫り。
あ、ロゼッタというのは、確かローマのパンなんですけど、こういう花型なんでバラという意味のロゼッタと呼ばれるんです。外はパリッとしていてきつね色、中はもっちりで、こればかり食べていた時期がありました。ドイツとかにもありそうなタイプです。
それを囲むのも、なんかちょっと甘みのありそうなねじりパン。

本当の意味は、ロゼッタじゃなくて、太陽で、それを囲むのは蛇を彷彿させるネジネジ。だそうです。どこまでも善と悪がテーマになっているようですね。

これはまた。

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なんか、小学五年生の男子が作った粘土細工的な。
なんか食べてるのかと思ったら、舌らしいです。これも聖職者っぽようですが、意味とか解釈はされていません。しろよ、ですよね。

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こちらは、この地域、かなり多くの教会で見られるモチーフと。でも、割と普通にあるモチーフのバリエではないかと。この地域に特徴的なのは、人が、ひじ曲げた無理な姿勢でうつぶせになっているということなのかな。ギュッと、辛そうにうつぶせになってますよね。
そんで背中に、どっしりとライオン系の肉食動物がのしかかって、ガジガジしていこうという図ですね。
例によって写真悪いですが、人の顔はないものの、ギュっという腕の様子から辛さがわかりますし、ライオンの嬉々としたガジガジスタートはわかります。要は、罪びとの断罪ということで、ある意味わかりやすい。気の弱いしけた犯罪者だったんだろうな、この人。

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まだいくつかあるんですが、この辺りで、この教会の装飾が、如何に癖のある独特なものかわかりますよね。何度も書いていますが、こういうの見ると、これら彫り物の内容は誰が決めているんだろう、という疑問。教会全体の棟梁から、石工さんが任されるのですかね。大変興味があるんですが、そういったことが書かれた本などは、見つけたことがないのです。

長々とどまってしまいましたが、やっと次に移動です。

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  2. オーベルニュ 03-63-15-43
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