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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

オートとバス、地理の時間(サン・セルナン―15カンタル)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その84

次に訪ねた教会は、ほぼ記憶になかったのですが、写真と当時の日記で、かすかに思い出しました。記憶のよすがになったのは、教会の近くにあった小ぎれいな公園です。

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小ぎれいっていったって、住宅街の中にある、こんな何でもない公園なんですけどね。この日は、ホテルの朝ご飯で、バターだけのサンドイッチを作っておいたので、それを食べる手ごろな場所を探していたんでした。この公園は、素敵な木陰と程よいベンチで、そんな簡易ランチにうってつけだったんです。
それにしても、主目的の教会そっちのけで、バタつきパンが記憶に残ったりするんだから、ヒトの記憶、いや、一般化してはいけないんですかね。私の記憶の情けなさ…。

目的は。

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サン・セルナンSaint-Cerninの村の教会です。

残念ながら、構造の大部分は、15世紀以降の再建となっています。

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黒っぽい部分だけがロマネスク時代12世紀のもので、それ以外のグレー部分は、15世紀ゴシック時代の再建となっているようです。
そういうわけで、中に入っても、ほぼ感動なし。

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わずかディテールに、当時がしのばれる、そういうタイプの教会となっています。いわゆる宝探し系、ですね。でも、中は、本当に何もなかったと思います。扉口にわずか。

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と言っても、ゴシック時代のものと混じっていて、正直よく分からない…。

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これは、間違いなく12世紀産。変に複雑で、妙にきちんとした彫り物です。市松の緻密さもなかなかのもんですし、技術のある石工さんの作品ではないでしょうか。扉周り、結構装飾的な彫りものがあったのだろうと思われますね。ほとんどなくなってしまって残念。

外側を見学します。

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おっと!いらっしゃいますね、どうやら。

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めっちゃめちゃ写実的なお馬。びっくりしますね。

馬って、もともとかわいく表現するのが難しい動物だと思います。
実は、乗馬をやっていたことがありまして、その時期は、かなり馬にはまったんですが、馬グッズって意外とないし、あってもかわいくなくて写実的なタイプばかりなんです。猫や犬とは偉い違いなんです。
そもそも、欧州では馬ってかなり身近な動物ですが、日本ではそこまで身近じゃない分、需要も少なくて、グッズになりにくいというのもありそうですし…。今でも大切にしている唯一の馬グッズは、エトルリア時代風の青銅の馬くらいかも。ちなみに、実際の馬はすっごくかわいいんですけどね。いやグッズ云々にこだわるわけじゃないんですが、それにしても、この馬はかわいくないやろ、ということが言いたかったわけです、笑。

しかし変に写実的なのは、馬だけじゃないんです。

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こ、これは。およそロマネスクっぽくないやつ。どっちかというとギリシャとかエトルリア的な…。
騎士らしいですが、髪型とかも、なんか、古代風な…。

一応現地に、簡単な説明がありまして、それによりますと、「その写実的で繊細な表現からは、オート・オーヴェルニュHaute Auvergneの性質が見られず、ちらかと言えばBasse Auvergneバス・オーヴェルニュで見られるものとの共通性が強い」とありました。

フランスの地理には全く詳しくないので、ここで地理の勉強です。ついついこういうマージナルな興味が出てきちゃって、本筋から外れてしまうので、本筋だけ見たい方には、うざいかも。その際は、飛ばしてくださいね。

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ちょうどわかりやすい地図が見当たらなかったので(じっくりと探すとかしないのが、またいい加減な私のやり方なもんで、さらにうざいかも、笑)、グーグルマップを適当に加工しましたが、いわゆる過去の行政区分のオーヴェルニュが、ピンクで過去回れ部分です。
理解したところでは、おおよそですが、緑の線を入れたあたりで、上がバス、下がオートということになるみたいです。この区分は、歴史家によって使われていたもので、13世紀頃からの社会のタイプによる区分らしいんです。オートの地域は、明文化された法律規定にのっとって社会が回っていた地域で、一方バスの地域では、慣習法が取られていたという違いらしいです。そのあたりの状況は、フランス革命前夜までそうだったらしいですけど、多分今ではそれに関係なく、なんとなく地域を表現する記号みたいになっているのではないかと推測します。
ただ、ここでの彫り物について、オートとバスの違いで石工さんの出身地が語られるということは、社会の在り方が、表現のあり方にまで結びついているということで、かなり明確な地域性というものがあったということになりますね。

ちなみに、オートとバスの名称が、本来の地図上の位置関係からは、逆に思えて不思議なんですが、というのは、オートはHighなんで、なんとなく地図上で北にある地域の方に当てはまるような気がしたんですけどね。
オートは、中世初期、というときにもOlderという意味で使われる言葉でもありますから、最奥部とか時代がより遡るとか、そういった意味でそうなっているのかとも思いつつ、本当のところは不明です。 

いずれにしても、フランスは、一番小さい行政単位の上は近年かなり再編しており、すでに独立したオーヴェルニュは存在しないし、かつてゾディアック叢書が使用した区分けは、壊滅していますので、なかなかわかりにくいことになっています。

ということで、地理の時間、終了です。勉強になりました。

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それにしても、えぐい。写実的すぎて、逆に現代的にも見えてきますね。

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各地でこれでもか状態にかわいいフクロウにたくさん出会ってきたわけで、コリは…。ある意味愛嬌ありますが、そして、馬や牛たちに比べれば、まだデフォルメ入っている感じもありますが…。

ちょっとだけ、テイストの違う人たちもいました。

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どうですかね。

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写実とはまたちょっと違う感じですが、不気味さが出ています…。この、ヒトのフィギュアは、なんかどっかで見た役所の窓口系、それもホラー系で、魂抜かれたけど、要はゾンビ系だけど、日常業務を機械的にこなしている窓口の人ですね。設定細かっ、笑。

というわけで、バタつきパンの公園が、最も記憶に残ったサン・セルナンでした。

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