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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

カメラ目線的な?(スイヤックその2―46ロット)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その88

スイヤックSouillacのサント・マリー修道院教会Eglise Saint-Marie、続きです。

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こんな鳥観図は、ドローンでもない限り、決して見ることはできないわけで、これはパンフレットとかから拝借した写真ですが、美しいですね。グレーの、ドームを覆う部分でしょうか。何とも言えず愛らしいし、きっちりとした円の緻密さといい、うっとりします。トルコだったか、宗教的なダンスで、クルクルと回ると僧服の裾が円形になっている、そういうやつみたいな円形並び。

さて、こちらでは、またちまちまと、内部に置かれた緻密な彫り物を見ていきましょう。
まずは、ここの両脇の、大き目な人物フィギュアですかね。

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右側が預言者イザヤ、左は、やはり預言者でホセアとなるんでしょうか。預言者とか聖人の名前は、イタリア語が一番わかりやすく、英語とか、ましてや日本における通称が分かりにくくて、困ります。

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このイザヤのたたずまいって、多分すっごく有名で、ロマネスクやったら、絶対どこかで写真見てる、ってやつだと思います。でも、それが、ここなのかモワサックなのか、よくわかってなかったと思いますけれども。
実際、モワサックの同様の彫刻と、作者は同じではないか、という説が濃厚のようですね。モワサックは、この後回りますので、楽しみにしててくださいね。
そういった経緯から、このソリヤック、この時の旅の行程としては、ちょっと外れていて面倒だったのですが、ぜひ、見比べてください、というフランス在住の友人に強く勧められて、来た次第なんです。

大きいです。縦が1.76メートルで横が0.86メートルということですから、ほぼ等身大と言ってよさそうです。
でも、正直、ここの全体って、この人よりも他の部分のインパクトが強すぎて、この人の印象は、あまりないんですよね。
今改めて見ると、それにしても、スタイルいいなぁ、と感心します。モデル体型ってやつでしょう、完全に。ほぼ八頭身で、適度に筋肉もついてる風ですよ。

そんでもって、感じたのが、この、衣のふんわり感ですかね。
そして、絹的な、ふんわりしつつも体にまとわりつく様子の中で、実はしっかりとすごい装飾が施されているこの衣。

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これ、身体の左側の方で、たっぷりした衣がふわっと垂れ下がっているものと思いますが、すごい縁取り刺繍らしきものがあります。決してふわふわの羽衣的な衣じゃなさそうですよね。明らかに金糸銀糸、ちょっとビザンチン入っている風だったりするのかも。
あ、テオさんもビザンチン起源とか、なんかそういうインスピレーションがあるかも、というのはうがちすぎですかね。

それから、手の位置も、なるほどと思いました。
スペースに合わせるロマネスクの面目躍如とでも言いますか、本当にスペースに合わせて図案が決まったんだな、ということが分かるじゃないですか。っていうか、ここまでスペースにこだわったポーズって、あまりないんじゃ…。

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柱につかまっているポーズですもんね。ちょっとカッコつけすぎて、おっと、とよろけているような…。冷静に見ると、相当変なポーズなんじゃないかとも思います。そんな変なポーズしながら、ちょっと問いかけるように、どうかな、このポーズ、的な視線。なんか「聖お兄さん」入ってるな~笑。
なんといっても、髪の毛はかなりドレッドですしねぇ。

そして、よく見たら、首元、デコルテの部分も、すごい装飾ですね!これはたまげたな。写真じゃなきゃ、およそ気が付けないディテールです。キラキラ感まで出ていて、これは刺繍のみならず、宝石が縫い付けてあるやつですね。超豪華なお衣装ということです。さすが預言者。

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イザヤは、旧約聖書に出てくる預言者としては、四大預言者の一人とされているようで、彼以外は、エレミヤ、エゼキエル、ダニエルとなります。それだけ偉大な預言者の一人であり、特別扱いされるのもよくわかります。
そういえば、似た感じの彫り物をイタリアで見たな、と思いましたが、それはエレミヤだったように思います。
なんとなく、それなら、イザヤの並びには、その四大預言者の他一人を置いてもよさそうな気がしますが、並んでいるのは、ホセア。

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不勉強で知らないのですが、イザヤとホセア、コンビで活躍みたいなものがあるのでしょうか。よく教会で、聖コズマとダミアーニというのがあるんですが、由来は今のところ調べたことないですが、いつだってコズマとダミアーニなんですよね。ああいう関係があるとか?
ホセアは、イザヤよりも時代が古いみたいだから、そういうこともなさそうですが、どうでしょうか。

さて、イザヤの像に比べると、このホセアの方は、ほとんど工夫の見られない直立の像で、彫り物としての面白さも、衣装やスタイルを観察する楽しさも、ほとんどない感じです。というわけで、独立写真は、この一枚しか撮っていませんでした。

衣装も、なんかドレープはいっているけれど、平面的で、ほとんど包帯まいてる状態ですよね。これ、絶対作者違いますよね。
あ、場所も変えられちゃっているわけだから、もしかすると、全然違う場所にあったものが、たまたまイザヤと対のように置かれちゃった可能性もあります。
しかし、お対のホセアがこれじゃ、イザヤの見せポーズ、恥ずかしくなっちゃいますよね。

おなかがすいたので、一旦切ります。早めに続きをやりたいと思います。

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  1. 2021/05/03(月) 02:23:49|
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