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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

タンパンが宝石箱とは(カルンナックその1-ロット46)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その91

修行旅も、いよいよ佳境ですが、このあたり、見所目白押し。いわゆるドルドーニュ地方として、独立していくべき土地だと思うのですが、見られるときにほんのわずかでも見ておいた方が、今後にもつながるので、駆け足で回りましたが、この辺りを重点的に回る修行ができる日が来るのを、期待したいものです。

それにしても、のっけからビビりましたよ。
前夜、在フランスの友人たちと再会し、楽しい夕食。そして、朝食での、一日が終わってしまいそうな勢いのよもやま話にあきれつつ、朝から連れだって教会詣でをして、またの再会を期してお別れし、9時過ぎにはスイヤックを出発しました。

前日、スイヤックに向かった道を、一部遡るような40分余のドライブで出くわしたのは、なんと…。

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んん?なんですか?

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ひえ~!!!
何ですか、これ?まさかのつり橋?
それも、信号もないけど、一方通行にも見えないけど、大丈夫なのか?の狭さ!
めっちゃくちゃビビりましたわ。
対向車来たらアウトのパターンって、旅の割と最初の方にも、田舎の小さなトンネルでありましたけど、あの時は、引き返したうえに、しばらく待って、様子を見てから、意を決してくぐり抜けたオレ。
こんなんもっとビビるわ。

でもこの時は、この、グーグルからお借りした写真同様に、私のすぐ前を先行する車がいて、躊躇なく橋に入ったんで、私も、必死で後をついていきました。

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最初から最後まで、ひたすらまっすぐなので、そして大した距離ではないので、見晴らしは良く、入ったもの勝ち、ということなんでしょうけど、これは、慣れていなければ、車が入っていいのかどうかも躊躇するような橋です。今、念のために、グーグルで確認しましたが、やはり一方通行ではなく、反対側にも信号も何もなし。通過する車の数が少ないんでしょうけれど、ちょっと勘弁してほしいわ~。

このあたり、ロマネスク的には重要なので、ついそれなりに観光地ではないか、と過剰に思ってしまう傾向があるのかもしれませんが、要は、田舎なんですよね、すごく。
この日最初の目的地である村も、中世の雰囲気がばっちり残る美しい村ですが、駐車もし放題な感じで、びっくりです。

イタリアと違って、フランスは国土も広いし、人々がそれなりに分散するとかあるんでしょうか。駐車禁止とか入場禁止とかの交通規制は、いまだに非常に緩いと思います。イタリアでは、今や国中カメラだらけで、スピード違反は、かなりの田舎でも引っかかりますし、田舎の小さな村の中心部は、進入禁止になっているケースも増える一方です。違反すると、しっかりカメラに撮影されてしまうので、絶対に罰金が来ます。そのシステマティックなやり方に、ある意味感心します。
前も書いたかもしれませんが、免許を取ってから、15年ほどは無事故無違反で来た私ですが、そのようにカメラが行きわたった頃、5年から10年ほど前からになりますけれど、それからは定期的に、何らかの違反で罰金を食らっています。(周囲に誰一人走っていない道での)10キロのスピードオーバー、田舎道での赤信号無視と交差点でのスピード違反(これは引っ掛け疑惑があり、ポイントまで取られて腹立たしかったです)、進入禁止違反等々…。
正直、慣れない土地でもあり、土地勘もないフランスでの方が、明らかに自分自身で「しまった」と思うことが多いのですが、フランスでは、まだカメラやスピードガンの設置がイタリアほどではなさそうで、いまだに無傷です。いつかはイタリアのようになるのか、またはフランスは性善説が続くのか。

また脱線。
目的地はこちらです。

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カルンナックCarennacのサン・ピエール修道院教会Eglise Ancienne Prieure Saint-Pierreです。
今、写真を見て思い出しましたが、最初、教会の門ではない場所で、ヒトのうちの庭みたいなところからアクセスしてしまい、どうなっているかわからずに、上の写真を撮影したのだったと思います。

この教会、正面ファサードのアクセスが、非常にインパクトあります。教会全体は、ありがちなスタイルで、ふーん、ですけれども。

教会の名称にもあるように、ここもまた修道院があったのですね。そしてこの村は、今でも門前町の名残そのままで、まさに修道院そのものが、そのまま村になり、今町となっているというたたずまいなんです。
壁の中に、住居がぎっしりと軒を並べ、見通しのきかない小路が続きます。最初に教会の姿が見えても、さて、どこから入るのやら、と小路を進みます。

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で、さらに進むと、石造りの立派なもんがあり、ひょいっとのぞき込むと、いきなりファサードがあるんです。

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写真が今一つですが、これ、手前に門があります。本当に、あ、なんか開いてるなって感じで、まさかいきなりここにあるとは思わずに、気軽にのぞき込んだ感じです。
それなのに、中のスペースがかなり限定的なのに、遠目にも、なんだか恐ろしく手の込んだ様子のタンパンが見えるから、たまげること必至。

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狭いなりにプロポーションは考えられていて、正面からもちゃんと全体が撮影できるサイズでした。

この当時では、中規模の修道院とされていたサイズらしいのですが、かなり豊かな修道院だったようです。川沿いであること、そして土地が豊饒であること。そのために、修道院内部の生活も豊かで、修道士の生活が、外に出る必要が一切ないままに遂行されえる、ある意味完璧な修道院環境だったようです。

タンパンは、モワサック(スイヤックに続き、ここでもモワサックが出てきましたね。やはりこの辺り、同じタイプまたは同じ石工集団が、移動して仕事をしていたということになるのでしょうかね)のものよりも小ぶりですが、保存状態は良好。

中央に、アーモンドの中のキリスト、周囲には、四福音書家のシンボル。

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すごく細かいのも印象的ですが、何よりも、保存状態の良さは奇跡的だと思います。
スイヤックの預言者イザヤの衣装も、非常に装飾的でしたが、ここのキリストの衣もすごいです。

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光背にも、宝石はめ込みっぽいし、胸の宝石ギラギラ、腕輪もなんだか金に宝石がはめ込まれたような様子になっていますよね。ビザンチン的というか、これはちょっとびっくりします。
衣の裾の方もまた、イザヤ同様、すごい丁寧な宝石はめ込みの金糸銀糸刺繍の様子です。

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キリストの左右両側は、各二段になっていて、どうやら使徒たちが、座っておしゃべりしている図。

向かって左には、素敵なカギを抱えてピエトロさんがいますね。

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あれ、よく見ると、ピエトロさん、腹が出てるかも?ほかの教会でも、布袋様のように腹が出ている人たち、いましたね。

とすると、向かって右側にいるのは、パオロさんとなるのかな。こちらは、腹は見えず、足を組んだ、やけにおしゃれなポーズを取っているようです。

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全体、本当に保存状態がいいのに、ピエトロさんのお隣だけ、見事に消失しています。この状態を見ると、この像は、浮彫というより、浮彫をはめ込んだものなのですね。わたしのイメージとしては、土台の石を、彫り込んでいくものだと思っていたのですが、別に彫ったものをはめ込むというか貼っている様子ですね。

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あと、ピエトロさんの右上は、有翼の福音書家マッテオとなりますが、翼に彩色跡が見えるようですね。ここも、往時は、極彩色だったのかもしれません。いや、他の例からも、彩色があったと考える方が、自然ですね、おそらく。

こんなに宝石キラキラ系で、彫りですら、キラキラが見えそうなもの、彩色があったら、なんかすごいものだったかもしれないです。想像すると怖いような、笑。

長くなってきたので、一旦切ります。

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  1. 2021/05/10(月) 02:06:40|
  2. ミディ・ピレネー・ロマネスク 31-81-82-46-12-48
  3. | コメント:0
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