fc2ブログ

イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

煩悩にまみれて、やっとこさ、最終回です(モワサック その7-タルン・エ・ガロンヌ82)

2017.08.ミディピレネー及びオーベルニュはカンタルの旅、その108(最終回)

最後に、もうちょっとだけ、モワサックMoissacのサン・ピエール修道院教会Ancienne Abbaye Saint-Pierre、続きです。

midipirenee2 471

天井が印象的な塔から、本堂へ。

midipirenee2 472

本堂は、全体構造が新しいですから、見るからに、何もないなぁ、と思ってしまうんですが、平気で重要なものを見忘れる私なので、一応ガイド的なものを確認して、やっぱり危ないところだった、と思った次第です。

midipirenee2 473

解説によれば、「ピレネー地方産の大理石で作られた石棺。中世初期、4世紀ごろの作とされている。1245年に亡くなった修道院長Raymond de Montpezatの棺として再利用された。中央部に、クリスモン。キリストChristの最初の文字を表すX(CH)とR。そして、アルファとオメガは、ギリシャのアルファベットで最初と最後の文字となり、それは、神は、すべてにおいて、最初であり最後である。棺は、初期キリスト教時代の柱頭の上に載せられ、一つのグラスから水を飲む鳥が彫られている。それは、古く聖体の秘蹟のシンボルである。」

midipirenee2 474

イタリアではいたってありがちな石棺。初期キリスト教も、普通な感じですが、フランスではやはり珍しいですよね。このプリミティブな感じの彫り物は、つぼです。クリスモンの円も、ちょっとぐらぐらしている線が、結構好み。
そもそもクリスモンの意味なんてすぐ忘れちゃうので、久しぶりにわかりやすい解説で、助かりました。こうやって、何度も何度もドリルのように繰り返して読んでいかないと、本当に忘れちゃうから、もうびっくりです。公文ロマネスクバージョンとかないもんか?

それにしても、でかい柱頭を足にしたもんで、なんというか、石棺とのバランス悪くて、ダサくなってませんか。美意識的には、石棺の彫り物を生かして、台はシンプルにしてほしかったですね。13世紀のテイストがこうだったのかな。ゴシックに行こうという頃だから、とにかく飾り立てるトレンドだったのかな、とか、余計なことを想像してしまいます。

他にも何かありそうな気がして、皿目状態でうろつきますと、こんなものが高みからこんにちはしてました。

midipirenee2 475

ちょっと後の時代になるのでしょうけど、遊びっぽくてかわいい。

midipirenee2 476


というわけで、最後に一番しょぼい本堂の紹介となり、尻つぼみな感じですが、そして本当は、回廊をもうちょっと紹介したいとも思ったのですが、もうきりがないし、体力もないので、ここで終了とします。
なんと、通算の記事数も、108って、すごく煩悩な数字だし、笑、ある意味、なんかきりがありますね。煩悩だけど私は好きな数字なんで、なんかいいことあるかも。

日本は、千秋楽という言葉もあるように、舞台でも最終日に向けて盛り上がる的なものがある気がするんですが、こちらではなんといっても初日が重要で、初日にすべてをぶつけた結果が、舞台の成功につながるっていうか、最終日に向けて、逆にどんどん盛り下がるっていうか、ちょっと逆な感じがあります。
で、私の旅の記録も、どっちかというとイタリア的に、最初ぶち上げ、どんどん疲れてきて、端折ったりいい加減になったり、そんなトレンドですね、っていうか、そうなってしまいます。

今回は、旅から時間がたっていることもあり、ずいぶんと忘れてしまっている場所もありました。写真を見ながら、思い出せる場所や出来事などもありますから、そういう意味で、ブログは記憶のブラッシュアップとしての役には立っているんですけれど、ちょっとね、4年は長すぎですわ。それでも、ブログに残したいと思うのは、いつか絶対、ほとんど忘れてしまうに決まっているので、その時に見返したら自分が楽しいだろうなと思うのと、もちろんまだしばらくは修行を続けるので、今後の修行のための記録という意味を持っています。

この時の旅は、飛行機でトゥールーズに入り、9泊10日、レンタカーで2100キロ超を走破し、60超の町村をめぐりました。
まさか、近い将来に、外国に行けないとか、予約しなければ博物館にも入れないとか、そんなことが起こるなんて、夢にも思っていないとき。これまでのすべてがそうですが、やりたいと思うことは、やりたいと思ったときに実行すべし、ということが、今ほど実感される時代はないですね。フランス詣でも、ある時思い立って、不安ながら実行したことが、こうしてつながってきて、あの時、不安に引きずられずに、頑張ってよかったなぁ、としみじみ。

今後はどうなるか、今のところ、分かりませんが、フランスもスペインも、まだ行けてないところがたくさんあるので、何とか近い将来に、元のように普通に旅ができるようになることを祈るのみです。
今しばらくは、地元イタリアを地味に回りつつ、過去の修行の記録を続けていきます。
長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 美術ブログ 建築鑑賞・評論へ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ
にほんブログ村

インスタグラムに、これまでのロマネスク写真を徐々にアップしています。
Instagram, Notaromanica
スポンサーサイト



  1. 2021/06/25(金) 17:35:31|
  2. ミディ・ピレネー・ロマネスク 31-81-82-46-12-48
  3. | コメント:2
<<リベンジでいきなり見逃し疑惑(ローマ、サン・ロレンツォ教会その1) | ホーム | 目が泳いでいます(モワサック その6-タルン・エ・ガロンヌ82)>>

コメント

完走、お見事!

 長期の連載、それもフランス中央高地を巡る、壮大で緻密な記録の数々には
感動しました。
 小生が初めて Auvergne や Quercy を訪ねたのは 1986 年のことでした
が、正月休みの旅ゆえに時間も足らず、その後何回か再訪はしましたが、突っ
込み不足や消化不良のまま今日まで来てしまったようです。
 最大の原因は語学力に尽きるでしょうね。資料はかなり揃えてはいますが、
翻訳の煩わしさから、ついつい表面的な部分に触れるだけで終わってしまって
いるようです。
 ”corsa 好み” の ”可愛い figure” の面白さを教えていただいたことも含め、
あらためてロマネスクの魅力の奥深さを気付かせていただきました。
 これからは、日本からなかなか行けそうにありませんが、地の利を生かしこれ
からも探訪を続けてください。
  1. 2021/06/26(土) 09:21:24 |
  2. URL |
  3. ほあぐら #-
  4. [ 編集 ]

Re: 完走、お見事!

ほあぐらさん
ありがとうございます!

もう息切れもひどく、やっとの思いですが、なんとか終わりまで来て、良かったです。
今回は、能力もないのに、資料を結構読んでしまったので、それがどんどん大変になってしまって、ちょっと辛い時期もあったのですが、どうせ忘れちゃうことでも、調べると楽しさが倍増する、というのもありますね。癖になってしまった感じです。

こちらにいても、なかなか自由に動けない日が続いておりますが、近郊には日帰りで出かけており、いまだに発見の日々です。遠出できない分、青い鳥状態やっていて、考えたら、そういうものほど、多くの人は行けない場所かもしれないなぁ、とも思ったりしています。
フランス、この夏にちょっとだけでも行けるかどうか。というより、個人的には自由に一時帰国して、冷酒やりたいところなんですけどねぇ…。
  1. 2021/06/26(土) 12:11:17 |
  2. URL |
  3. Notaromanica #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する