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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ローマに来たらコズマさん(ローマ、サン・ロレンツォ教会その2)

2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その2

サン・ロレンツォ教会Basilica di San Lorenzo fuori le Mura、続きです。

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この教会、前回でも歴史に触れたように、相当長い歴史がある場所のため、構造も非常に複雑というのか、一見、何がどうなってるの?という様子になってしまっています。
上が、内陣部分になるんですが、なんだか不思議じゃないですか?私など、最初に訪ねたときは、本当になんでこんなになってるのって感じで、わけがわかりませんでした。

あまり良い写真が撮れていないのですけれど、上のは、割とわかりやすいかも。
この内陣部分が、おそらく、オリジナルの教会部分のはずなんです。といっても、創建当時は、今はクリプタとなっている聖人の墓所を覆うような形で建てられた小さな教会だったはずです。
それが、バジリカ様式になったのが、上の写真で、内陣部分を囲うような形で、壮大な柱が建てられているところなんでしょうね。ローマ市内にあるサン・サビーナとかを彷彿とします。

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この柱、すごいですよね。左右6本ずつ、並んでいるようです。柱に支えられているアーキトレーブは、2世紀から3世紀ごろ、つまりローマの建物に使われていたものの再利用ということ。やりたい放題ですよねぇ、まったく。

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柱だって、もちろん、ローマのものでしょう。
こうなると、とても中世ではなく、ローマ、なんならギリシャの眺めですよねぇ。

この、内陣の持ち上げとか、チボリオとかは、11世紀から12世紀にかけてのものらしいです。

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チボリオは、四本の蛇紋岩によって持ち上げられる構造で、1148年、パオロ・ロマーノの四人の兄弟によると記されているそうです。この家族は、サン・クレメンテやサンタ・クローチェ・イン・エルサレム教会でも活躍した大理石職人なんだそうです。ちなみに、上部は、後代に交換されたもの。
蛇紋岩の独特の色と、ローマ風の柱頭というシンプルな装飾です。もともとの屋根構造がどうなっていたのかは不明ですが、あまりごちゃごちゃしたものではなかったのではないか、と勝手に想像します。

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チボリオのお足元は、Cosmatiモザイクの床となります。
ローマに来ると、このコスマーティはおなじみですね。この一家の作品が、あっちにもこっちにも見られます。ここでは、床以外にも、チボリオの後ろにある司教の椅子が、コスマーティでキラキラです。

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1254年のものだそうです。コスマーティは、13世紀に華やかな作品が多く残っているように思います。
金色が入って、妙にきらびやかで、軽薄なイメージもあるんですが、このモザイク装飾、個人的には結構好きなんです。
近くから見ると、華やぎは同じでも、すごく職人的な仕事である様子もわかり、ただ見とれてしまうっていうか。

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かつては、後陣とかにも、残されていたらしい壁モザイクは、今では、内陣手前にある勝利のアーチの部分に残されているだけ。それも、あまりケアされていない様子で、ほとんどくすんでしまっています。

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これ、暗いっていうのもありますけれど、掃除したら、もうちょっと見えるんじゃないかと思うんですよ。これじゃモザイクだかフレスコだか、まったくわかりませんよね。
図像は、中央に玉座のキリスト、肥大にサン・パオロとサン・ステファノ、サン・イッポリート、そして右に、サン・ピエトロとサン・ロレンツォ、彼らと一緒にペラージョPelagio(6世紀に教会を創建した皇帝)が、教会のモデルを寄進しているものとなっているようです。
下の部分は、修復されたんでしょうか。華やかな宝石や花のモチーフです。

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歴史が長いし、色々の手が入っているので、各所に、これはいつのもんだろうなぁ、と目に留まるアイテムがあります。

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宝探しのような楽しさがあります。

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下の、鋳鉄の門は、多くの教会で目にするアイテムですが、これって結構曲者。っていうか。ぱっと見、さほど古いものに見えないケースがすごく多いんですよね。

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でも、そう思っても、多くが、中世のものだったりすることが多いんです。で、毎度びっくりします。
ここのはどうかわかりませんが、おそらく古いんじゃないのかな。
これ、作りがよいと、絶対に錆びたり朽ちたりしないらしいんですよねぇ。まさに職人技満載アイテム。
これは、クリプタの柵だったようです。

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きらっきらなクリプタの様子。でも、下に降りたら、かなり地味な…。

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すり減った床モザイクが、つるつるして良い感じでした。

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続きます。

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  1. 2021/07/04(日) 15:23:01|
  2. ローマの中世
  3. | コメント:0
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