2017年12月の週末旅行、ローマの古代から現代まで、その4
前回の記事で訪ねたサン・ロレンツォは、確かテルミニ駅近くから、バス1本で行けたのですが、なんか帰りは違う路線じゃないと、テルミニに素直に戻れないとか、そんな話だったような記憶があります。
いずれにしても、昔に比べれば、かなり良くなったとはいえ、インフラ関係が比較的整っているミラノから来ると、ローマのバスは、いまだにかなりわかりにくいと思います。
それでも、どのバス停でもバス待ちの人は結構多いし、実際にバスは混雑しているので、本当に市民の足なんでしょうが、時間に余裕がない場合に使いこなすのは、厳しい。この時も、ここで待てばいいんだろうな、というのは分かったものの、時間が読めないので、結局歩き出して、とうとうテルミニまで歩いてしまいました。
歩いた方が早い、っていう発想が原始…。でもね、今ミラノのバス停は、ほとんど、あと何分で着くっていう表示があるので、待つ決断をしやすいのですが、時刻表もなく、あと何分で着くか分からないバスを待つのは、リスク高いんですよね。30分待ってこなかったら、予定が確実に狂うので。
というわけで歩いて駅に行き、もちろん駅前のホテルに行くわけではなく、直接、次の目的地に向かいます。
一旦ローマを出るんです。短い週末旅行なのに、予定はびっしり。時間の無駄遣いが許されない旅です、笑。
行先は、アナーニAnagniという町です。

ローマから、ローカル線で約1時間で目的の駅に着き、そこから町までは、ローカル・バスという旅になります。
最近は、こういう公共の交通機関を使う旅、あまりしないですが、車で動くのに比べると効率は下がるものの、移動に緊張したり、時間に繊細になったり、特に、人とのふれあいっていうか、大げさじゃなく、交流するのは、楽しいものです。
この時も、駅前から乗ったローカル・バスの運ちゃんが、すごく親切で、ほんの短い会話だったけど、なんだか楽しくて、こういうのが面白かったから、イタリアが好きになって、気付いたら30年住んじゃったんだよなっていう原点みたいなところあるんで、時々はいいもんだなと思ったり。
それにしても、漠然とした記憶ですが、ここのローカル路線バス、とんでもなく古かったなぁ。

最寄り駅は、確かにアナーニという駅名なんですが、イタリアではありがち、実際の町村は、はるか遠方の丘の上、というパターン。丘の上ということもあり、15分から20分くらいはかかったでしょうか。
そんなわけで、旅気分というんでしょうか。遠足を楽しむ状態で、一番前に座って、運ちゃんとしゃべりながら、楽しいバスでした。

この週末、お天気は今一つ不安定だったのですが、腫れ女健在で、ほとんど雨に降られることはなかったのです。でも、この日はどんよりって様子で、昼過ぎなのに薄暗い状況ながら、ヤコブの梯子?車窓から、なんと4本も同時に見えて、びっくりの美しさでした。
運ちゃんは、カテドラルなら、ここで降りて、それ、そこを行って、と道までしっかり教えてくれて、去っていきました。
車なら、ピュッと目的地に到着ですが、公共の足で動くと、たどり着くまでに物語ができちゃいますよね。

サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂Cattedrale di Santa Maria Assunta di Anagni(9-13/15-18。クリプタは博物館見学ルート内で、見学時間が30分毎の入れ替え制)。
トップにある写真が、町の入り口となるのですが、そこからカテドラルには自動的に行ってしまう感じの小さな旧市街です。でも、広場に面しているのは、地味な側壁で、あれっ?って感じになります。

右側が教会の一部で、正面の、ちょっと縦長の四角っぽい建物に、ツーリスト・インフォメーションが入っています。
私がここについた時、教会はまだ閉まっている時間だったので、まず、このオフィスを訪れて、資料をもらったりしたんですが、よさげな本があったので、つい一冊購入しました。カテドラル情報が大半を占めるとはいえ、アナーニの全体情報というか、そういうタイプの本で、確か10ユーロでした。でもね、教会に入ったら、そちらでは、アイテムごとのガイド本が、確か各5ユーロで売っていたと思います。
紙ものは、現地でしか入手できないと思うので、手ごろなものはつい入手しがちですが、正直、読むか読まないか不明なところもあり、なるべく容量の少ないながら意味のあるものが欲しいし、お値段は安いに越したことがないので、こういうのって、結構悔しさが強いです、笑。
とはいえ、今ちゃんと読んでいますので、結果的に意味があるので、よし、ですけどね。
まず、外側から。

最初にアクセスしたツーリスト・インフォメーションの建物のすぐ後ろにあるのが、この、なんというか、四角い箱から、ポコっと飛び出したような後陣です。建物全体からいうと、なんとなくサイズ感は小さいようにも思えます。背は高いですけれども。
ちょっと独特な感じですよね。

規模は違うけど、トスカーナのファルネータとか、あとどこだったかな、マルケのどっかにも、こういうタイプの後陣、あった気がします。普通は、半円のこの後陣としての構造がどどん!って感じになるのに、なんか変に取ってつけたような不思議な存在感のタイプ。
解説によりますと、ここに、この教会で使われたロンバルディア様式が明らかになる場所とあります。この建設を担当したのは、ここよりもちょっと南、地域としてはローマと同じラツィオになるのですが、モンテカッシーニという大規模な修道院を拠点とする土地の職人さんたちとされています。その職人さんたちは、もともと南部出身の人たちらしく、ロンバルディア様式がどうして採用されたのか、その辺は不明。当時先端的なものだったのか、単純に、北部出身の職人さんがいたか、または、その地場の職人さんの中に、北部でも仕事をした人がいるのか。
ロンバルディア様式は、遠くスペインまでもいっているわけですから、当時のそういった知識や技術の普及というのは、今のようなメディアがないことを考えると、驚異的です。ローマ帝国は帝国を広げることで、己の文化や法律を広げていったわけですが、中世期では、ローマの遺産である街道などによって、情報や流行や技術が国を超えて広がったわけですね。強制ではなく選択的な普及とでも言いましょうか。いずれにしても、歴史を感じるところです。
さて、ぱっと見かなり地味目ですが、丈夫の方は、ブラインドアーチで、装飾的アイテム満載。

地上からこんなに遠い場所なのに、細部まで繊細な彫り物がたくさんあって、相変わらず職人さん、腕が鳴る的な仕事をしています。

この、シナモンロールみたいなフリーズ、久しぶりに見た気がします。フランスではあまりないタイプなのかな。これも、実にかわいらしいんですが、その下のアーチの部分、いわゆるアーキボルトですが、ここにも、それぞれに組紐とかのモチーフが飾られているのは、驚きです。
もしかして、昔の人は目がよくて、今の人よりももっと良く見ることができたなんてこともあるのかしら、と思ったりします。

脇の小さな後陣は地味ですけれど、窓のところに、こんなデザイン的な素敵な浅彫りがあったりします。これはセンス良いですね。
この後陣側に、扉がありますが、解説では、その扉から広場に降りる階段の優美さに言及していました。

緩やかな坂道を、階段状にした、階段というよりは坂道に限りなく近い構造。なるほど、こういうのって時々あって、確かに上り下りが楽なような気はしますが、Cordonata(イタリア語)という単語は初めて認識した気がします。やはり、たまにはちゃんと本を読むもんですね。何て言いながら、すぐ忘れるんですが。
続きます。
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- 2021/07/11(日) 10:53:09|
- ラツィオ・ロマネスク
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