今日は木曜日、恒例のアートの日です。実は仕事が忙しくて、残業する、という選択もあったのですが、残業は明日でも出来るけど、アートの日は木曜日だもんね(美術館やギャラリーが夜営業しているのは、木曜日だけ)、と思って、そそくさと退社。大体やったところでサービス残業。喜ぶのは会社だけだしね!
で、昨夜から、何を見ようか、と悩んでいたんですが、結局ドゥオモの近く、13世紀の建物を利用した展覧会場で開催中の、この写真展に決めました。
写真は、実はよく分かりません。かなり変な現代アートでも、好きか嫌いで一刀両断、自分流で楽しむわたしなんですが、写真は、どうも、ゲージツとして自分の中での位置づけがあいまいというか、分からないところがあります。
たとえば、マグナムで有名なロバート・キャパが好きですが、なぜ好きかというと、写真もすごいと思うけど、好きになった理由は彼の「ちょっとピンボケ」という本のためなんですね。思いっきり、それ違うだろう、と純粋写真派の人には言われそうです。
彼は戦争写真家で、第二次世界大戦、スペイン市民戦争とかの戦争現場ですごい衝撃的な写真を一杯撮ったんだけど、戦争から離れてからは、どうもぱっとしなくて、そんで、ベトナムとか行って死んじゃったんじゃなかったですっけ。
写真って、現場ですよね。対象であって、事実。その辺がゲージツにどう昇華するのかが、自分の中で分かってない。小ざかしいですね。写真でも現代アートでも、見て感じれば、それでいいんですけど、多分。
で、このマッカリーという人は、名前は知らなかったですが、かつてナショナル・ジオグラフィックの表紙を飾った、アフガンの少女のポートレートですごく有名な写真家なのです。これ。
いや、よかったです。
写真の展覧会で8ユーロかよ、高いんじゃないの、と思いながら実は入ったんだけど、価値はありました。
やっぱり分からん、と思いつつも、絵画や彫刻に比べれば、当然数が多い。その展示にまず圧倒されました。そして、すごく大きく引き伸ばしたものがたくさんあって(1メートル近くとかそういうサイズ)、迫力がすごい。カタログで小さい作品を見るのとは全然違うのは、絵画や彫刻など古典的アートと同じ。
この人は、ポートレートが結構たくさんで、それも、アフガンとかパキスタン、中国やインド、そういう土地が多いんですね。そういう土地の人たちと正面から向き合ってポートレートを撮る。あ、これはすごい、と思いました。相手が子供でも少女でも、老人でも、真正面から向き合うというのは、すごいエネルギーがいることではないか、と。風景を切り取るにしても、先進国の風景と、そういう土地の風景に注ぎ込むエネルギーって全然違う気がします。
いやはや。
面白かったのは、このアフガンの少女を撮って17年目にして、彼女を探すたびに出るマッカリーを、ナショナルジオグラフィックがドキュメンタリーにしたテレビ作品。立ちんぼで、30分以上見てしまいました。こういうの、フツーのテレビでやってほしいよ、全く(日本だったら、NHKとかが買ってそうです)。
写真展は、実は結構盛ん。ミラノには写真専門のギャラリーもいくつかあります。
わかんないし、なんとなく興味が湧かなかったけど、これからはちょっとのぞくようにしてみようか、と思いました。やっぱりなんでも見てみることですね。
ミラノおよび近辺にいらっしゃる方には、お勧めの展覧会です。
Palazzo della Ragione - Steve McCurry
2009.1.31まで。
木曜日は夜10時半までオープン。人気があるようで、わたしの行ったときも、続々と見学者が来ていました。ある意味、現代アートの中では、絵画とか彫刻とかインスタレーションよりは、すごく分かりやすいって感じで、それなりに万人受けするのかもしれないですね。なんか目からうろこ。
マッカリーさんのサイトも、とてもきれいです。
http://www.stevemccurry.com
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- 2009/11/27(金) 06:06:37|
- アートの旅
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