2021フオリサローネ その8
ついアウディに寄り道しちゃいましたけど、アウディのショールームのあるファッションディストリクトに来た本来の目的は、こちらでした。

バガッティ・ヴァルセッキ博物館Museo Bagatti Valsecchi
ここは、ここ何年も、フオリサローネの際に必ず何らかの展示会場になっていますが、本当に素敵なお屋敷です。前の記事で紹介した邸宅博物館よりは、ちょっと前の時代のものとなりますので、お屋敷っぽさ全開ですよ。これまで、その由来を調べたことがなかったので、ちょっと調べてみました。どうせすぐ忘れちゃうんですが、近代史つまみ食いみたいで、そういうのも面白いなって思います。
ここは、名称になっているバガッティ・ヴァルセッキ男爵一家の
お住まいです。いわゆる貴族階級の方々ですね。1800年代の終わりごろにいらした二人のご兄弟、ファウストとジュゼッペによって、今あるようなお屋敷になったということなんです。

このお二人、一族のお家を改装することを思い立ち、1400年代から1500年代の美術品の収集を始めたんだそうです。というのも、お屋敷に、1500年代ロンバルディア様式にインスパイアされた内装を作りだそうと思いついたから。

彼らは、装飾品のみならず、暖房や照明、水回りなども、その当時の様式にするというような、徹底した改装をしたそうです。びっくり。まさかそういう経緯だとは知りませんでした。
このご兄弟がなくなった後も、一族は、1974年まで、ここで住み続けていたそうですが、その年に、財団が作られ、その20年後の1994年に、博物館として開館したという運び。ひゃあ、とすると、私がミラノに住みだして頃には、まだなかったんだなぁ。

ちなみにファウスト及びジュゼッペの兄弟は、大学で法律を勉強されたそうですが、その資格を使うことなく、このお屋敷の改装にすべてを投資したということdす。今では死語ですかね?いわゆる高等遊民っていう結構なご身分だったわけですね。憧れの高等遊民。やはり高等遊民は、何かした高尚な趣味を持たないとだめですよねぇ。
最後の相続人は、1974年に財団を作る決意をした人らしいですが、おそらく、その時代まで、財産で食っていたんでしょうねぇ。っていうか、その時代に、こんなお屋敷に住まう方がいたんだ、という事実にぼーっとしちゃいます。まぁ日本でも、冷泉家とか、そういう信じられない一族がいらっしゃったりはしますけれどもさs。
ま、そういう歴史遡るみたいなお屋敷の雰囲気の中、フオリサローネ関連の展示は、基本わけのわからない現代美術だったりするので、そのミスマッチが結構ゾクゾクするんですよ。

Palazzo delle Meraviglie - Le Temps des Cocus by Decluuz
上の、左下ににょきにょきした金色の物体が展示品です。

あまり趣味じゃなくて、よく見てないんですけど、これ多分特殊な糸で特殊な織り方をした布状の素材なんです。光の当たり具合で、一方向だけ光を反射するとか、なんかそういう仕組みになっているみたい。
このとんがりコーンみたいのは、その布をとんがり三角にしただけなんだけど、もっと複雑な作品も並んでました。

肖像画みたいのが、浮き上がる織物。ゴブラン織りとかの現代版っていうか、これね、相当照明が暗いところで、わずかの光を反射してこういう感じで、なかなか不気味な様子でした、笑。
このお屋敷が展示会場ということで、あえてこういうルネサンス的なものを作ってきたのかと思うのですが、ここは思い切って、もっともザンデ斬新な現代バリバリのものを作った方が、ミスマッチで印象は強くなったのではないか、と思いましたねぇ。これじゃ、はまりすぎて、素材の面白さとかまったく気にならずに、お屋敷のテイストにはまりこんじゃって違和感なさすぎ、笑。
こんなの今はコンピューター制御で織るんでしょうから、モチーフは何でもよいはずで、残念なプロデュースだったと思います。あ、案内の人たちも、全然案内とか売り込む気持ちゼロだったのも、マイナスでしたね。

今回は、お屋敷常設品との再会の方が、よほど楽しかったです。
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- 2021/09/18(土) 15:23:22|
- ミラノ・フオリサローネ
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