2021フオリサローネ 番外その2
今回は、あまりあちこちをうろうろはしなかったのですけれど、それでもよく歩いたんです。というのも、Covidで在宅勤務になったのが、昨年の3月前半で、非常事態宣言が開けたのは、5月だったでしょうか。
何年くらい前からかな、3.4年前かな。それまでは健康のために定期的にジョギングをしていたんですが、ジョギングって、膝とか腰に結構来るし、きついし、というんで、ウォーキングに宗旨替えしたんです。最初のころは、予定のない週末に、自宅から郊外方向にぐるりと、10キロ程度のお散歩をしていましたが、そのうち、時間も勿体ないし、通勤をウオーキングすればよいのでは?と気付いて、主に会社からの帰り道を歩くことにするようになりました。
それで、結構速足で歩くことを覚えて、大体1キロ10分ペース。会社と自宅の距離は約5キロなので、一回に50ー60分程度歩くことが日常化していました。
そんな日常を送っていたので、Covidのために在宅勤務している関係もあり、感染防止として、公共の交通機関を使わずに、とにかく歩く、という生活に移行することには、何らの違和感も感じませんでした。
それでも、自宅と町を挟んで反対側にあるかかりつけの歯医者はどうだろう、と思うこともあったのですが、そういう場所でも、とんでもない郊外でなければ、せいぜい1時間強の距離だったりするんですよね。
そういうソロでやる運動以外できませんし、外出禁止の二か月間、狭い自宅内でジョギングしていたことを思えば、外で歩けるだけで幸せ、という気持ちにも後押しされて、実によく歩くようになりました。
その後、感染率も激減して、たまにメトロを使うことはありましたが、時間の制約さえクリアできれば、今でも、5-10キロ程度は、歩くのが前提になっています。先週など、三日連続で、連日10キロ強を踏破しました。
そんなわけで、今回フオリサローネについても、すべてを歩いて移動しておりました、笑。健康によく、交通費節約にもなり、一石二鳥です。そんな中、びっくりの出会いがあったんです。前置き長いな、笑。

ミラベッロ邸Villa Mirabello
我が家から比較的近い地域には、ミラノには珍しく、一軒家とか、長屋的な建物とか、とにかくいわゆるマンション系ではない家並みの地域が、分散的にあるんです。そういう家並みができたころは、ミラノの本当の中心部とは、隔絶されていて、間に緑の地域というか、一旦市街地が終わった地域が挟まったようなロケーションだと思うんですけれど、今では、市街が城がっていますから、もうマンションなど普通の住居群とつながってしまっているのですけれど、一軒家地域は、全体にせいぜいが二階建てだったりするので、空が広く、また比較的道路がゆったりしていたりして、いくつかお気に入りのお散歩コースになっている場所があります。
でも、今回であったこのミラベッロのある辺りは、あまりお散歩対象にしていなかった場所。
なので、自宅に向かって、ちょっと迷いながらも、地図を見る必要もなくぶらぶらお散歩していて、急に空が広がって、なんか変に空間がぽっかりした豪邸があるな、と思ったのが、このミラベッロだったというわけです。
道に面しては、上のように立派な門構えとなっていて、個人宅にも見えますが、それにしては立派過ぎ。その上、別に門扉が閉まっているわけでもなく、 Fondazione(財団)何とかの看板もかかっていました。門の一部が門番小屋になっており、ちょうど顔を出したおじさんに、Fondazioneって何かと聞こうとしたら、Fondazoineは、あそこから入ればいいですよ、と機先を制されてしまいました。

へぇぇ、と思って、恐る恐るのぞいたら、何とも中世の香り漂う素敵な雰囲気のお城が…。

お城というよりは、こじんまりとした、やはりヴィラというのがぴったりなたたずまいですね。それにしても、とても美しく整備されていて、何とも魅力的な空間ではないですか。
この地域に住んで10年以上経つのに、そしてこの近所は何度も通っているのに、今まで全く気が付かなかったなんて、自分の間抜けさにびっくりです。
もともとは1400年代のお屋敷で、ミラノの有力な一族ヴィスコンティ家およびスフォルツァ家の住まいとして、また狩の拠点として使われたものだったそうです。狩の拠点ということは、往時は、やはり超郊外だったんですね。
その後も、ミラノやフィレンツェの有力一族のお屋敷として使われましたが、1500年代には、宗教団体の拠点となります。おそらく、当時の所有者が、寄進したとかそういう話なのでしょう。
その後、一時は放置され、農家に使われるなど、荒れた時代もあったようなのですが、1800年代半ばに、ある建築家が、この建物のロンバルディア様式の重要性に気付いて、再生され、その後は公共施設として使用されて、今に至るということらしいです。再生には、多くの企業やお金持ちの人々がかかわっていて、今ではミラベッロ財団として運営されているようです。

1900年代に入ってからの、企業寄進者、個人寄進者の名前がずらりと。
わたしが訪ねたときは、たまたま、展覧会をやっていたので、建物の中に入ることもできました。

古色蒼然の内装や調度の中に、現代的な家具とかアート。こういうテイスト、大好きで、わくわくします。

天井の感じ、素敵ですよねぇ。

すごく中世後期っていうか、お城の雰囲気の調度です。その後の優雅なお城とは全然違って、質実剛健なお城の内装。とんがった明りも良きことです。
展示されている現代美術の作品は、あまり溶け込んじゃっていて、なんか目立たなすぎですね。

今では、お庭スペースはかなり限られてしまっているとはいえ、周囲のお宅に比べれば、ずいぶん広いスペースを取っていて、狩の拠点だった往時の雰囲気を想像することはできます。こんなところに、馬が駆け込んできても、違和感ないですよね。

いやはや、やはり歩くというのは良いことです。自転車や車だと通り過ぎちゃうところも、歩いていると、立ち寄るのが簡単で、発見が多いです。
ウォーキング健康法は、一石五鳥くらいの価値がありそうですよ。
以上で、今回のフオリサローネ報告、終了です。お付き合いありがとうございました。
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- 2021/09/28(火) 21:46:21|
- ミラノ・フオリサローネ
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| コメント:2
暖炉のあるお部屋の雰囲気、いいですね。
ドイツやオーストリアなどのバロック、ロココのお城よりずっと好みです。
でも最初の通りの写真、 私これ、刑務所?っておもってしまいました(笑)。
そういえば、サンタンブロージョ教会とかスフォルツァ城とか、 ミラノって レンガ造りが多いのですね。
- 2021/09/29(水) 01:40:19 |
- URL |
- yk #C8Q1CD3g
- [ 編集 ]
ykさん、刑務所とは!そういわれると、そんな風にも見えます、笑。
外観、あまりよい写真が取れてなかったんですが、塀の中は、本当に雰囲気があって、素敵でした。ご近所といっても、歩かない限りは、絶対に通らない場所なので、ウォーキングの意義が感じられ、とても嬉しかったです。いやいや歩いているわけではないのですが、予期せぬご褒美は、いつも嬉しいですよね。
- 2021/10/02(土) 15:12:54 |
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- Notaromanica #-
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