アブルッツォ週末ロマネスク修行(2018年11月)、その4
カスティリオーネ・ア・カザウリアCastiglione a Casauria(トッレ・デ・パッセリTorre de Passeri)のサン・クレメンテ修道院Abbazia di San Clemente、続きです。
本堂の中央扉の続きですが、紹介した以外の部分にも、激しく装飾的な彫り込みが沢山あるんですよね。

両脇の扉のリュネッタ部分には、大天使ミカエルとか。

聖母子像とか。

見るからに、時代が混じっているし、どう対応したらいいのやら、という装飾過多にも近いようなところがあります。
これ、ロマネスクの右も左もよく分からないけど、とりあえず行ってみる、的な状態で来てしまうと、結構おどおど、どうしたらいいの?え?ロマネスクなの?みたいな混乱状態に陥りそうです。
だからどう、ではないのですが、このサン・ミケーレとか聖母子は、どう見ても時代が下るようで、私の好みではないので、さらりと流せますけれど、そうはいっても時代的には12世紀後半ということになっているようなので、決してロマネスクを逸脱している時代ではないわけで、ええっと、どうしようかな、とこういう時悩んでしまう自分がいた頃も確かにあった、みんな違ってみんないい、みすず、みたいな気持ちになったりもします。笑。

ポルティコには、立派な柱頭もあり、えっと、どう見たらいいんだっけ、と自問自答するような立派さだったりするんで、ほんと戸惑いますよ、ここ。

でも、別にね、好き嫌いでいいわけで。わたしは、それほど惹かれる彫り物ではなかったのです。

自分の好き嫌いを分ける要因が、とても小さな取るに足りないような部分にあるのは認識しているんですけどね、かわいいとかかわいくないとか、そういうところだったりね、でもそういう感覚、美術鑑賞では大事だと思っています。意外と本質とらえてたりしますからね。
古代でも中世でも現代でも、評論家でもないなら、美術鑑賞に一番大切なのは、自分の感覚で、好き嫌いでいいんですよね。現代は難しくて、意味が分からないから、じゃなくて、まずはピュアに見てみたらいいだけなんですけどね。

おっと、また脱線アラート、現地にゃんこのシャー。
確か、プロローグ(三年前)でも言及したのではないかと思うのですが、アブルッツォ、いい意味で本当に田舎で、多くの教会で、フリーダムな犬猫にお出迎えされることが多かったんですよね。猫はともかく、ワンコも、かなりフリーダムに、飼い犬なのか野良犬なのかも不明な状態の方々が、とてもフレンドリーにいらっしゃる。本来犬が苦手で、どんな小型犬でも怖い私にすら、警戒心を抱かせないワンコたち。田舎、いいなぁ、としみじみ思いましたよ。
にゃんこにシャーされつつ、後陣側へ。

ほぼ、往時の面影希薄な状態でした。
でも、その辺掘ったら、色々出てきそうな状況でした。

ポルティコに戻りまして、その一角にある博物館にも入場します。4

ここから出てきた色々が展示されているので、ここは必見です。

解説も丁寧なので、ここで説明版を読んで、改めて見直す、というのもありましたよ。

色々ある中で、ちょっと感銘を受けたのがこれ。

感銘って大げさですかね。
でもさ、これ、柱頭なんですよね。結構高い位置に置かれているはずのもの。なのにさ、葉脈?なんか、絶対に下からはよく認識できないような細かさ、小ささでこういうのを彫るって、毎度ね、感心しちゃうんですよ。だって、見えないですよ、下からでは。
でも、本当のところ、見えないところをどれだけきちんとするか、って、職人仕事では、おそらくすごく大切なところなんですよね。これは美術というよりも職人的な視点だと思うんですけど。例えば、縫物でも、ひっくり返したら見えないけれど、端っこの始末をどれだけきちんとするかで、最終的な出来栄えが全然違う、見たいな、そういうところって大きい。
この葉脈なんかはそれよりもっと高度な部分の、見えなくてもやることで全体が変わってくる、といったタイプの仕事だと思っちゃうんです。大げさかな。
現場主義なんで、博物館美術館は、いっそ見なくてもよし、というタイプなんですが、ちゃんと見たときに感心するのは、大抵そういう部分です。中世は、まだ職人さんの世界ですから、なおさら。
博物館のおかげで、ポルティコのファサード部分も確認。

ここにも、たくさんの職人仕事が見られます。
のっけから、いきなり装飾過多気味の教会に出会い、アブルッツォ、どうなることやら、でした。
それにしても、ここ、開いていない時って、こんな手前から鉄柵で閉ざされてしまうんでしょうか。相当厳しいですね。

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- 2021/10/16(土) 21:00:48|
- アブルッツォ・ロマネスク
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