アブルッツォ週末ロマネスク修行(2018年11月)、その19
アブルッツォ三日目、いよいよ佳境というところですが、相変わらずの悪天候続きです。朝食と準備の最中は曇りだったのですが、高速に乗った頃、降り出しました。最初は降ったりやんだりだったのが、どんどん激しさを増して、泣きたくなりました。
ただね、山の向こう、つまり行先方面に、ちらちらと晴れ間が見えたりするんで、晴れ女の自負もあり、気持ちのどこかに期待があるんですけれど、うっかりするとすぐにざんざんと信じられないくらい激しい降りになるので、期待しない振りをしながら走りました、笑。
そして、雨がひどい場合は、またもやプランBに変更せざるを得ない可能性もあるので、教会の訪問には事前アポが必要でしたが、ちゃんとアポ取らずに出発しています。

キエーティからすぐに高速に乗りました。同地滞在中、この高速は行ったりきたり、本当にお世話になりました。見ての通り、高速ですが、山を縫うような道なのでカーブも多く、そして、トンネルも多いんです。建設に、ずいぶんお金がかかった高速の一つかもね。
でね、晴れ女全開ですよ。
トンネルを一つ潜り抜けるたびに、雨の降りが弱くなってくるんです。そして、最後、5キロくらいの長いトンネルを抜けたら!
トンネルであれほどわくわくしたことはないだろうなぁってくらい、期待して走りましたが、まさに期待を裏切らず、トンネルを抜けたら、青空でした!叫びましたとも!イエーイ!!!!!
大げさでなく初めて目にするアブルッツォの青空でした。山が映えます。
高速を降りて、Roscioloに向かう途上で、目的の教会に電話しました。よくは覚えてないのですが、事前に電話して、実際の訪問直前にまた電話で、とかいう合意をしていたんだと思います。なんせ、標高千メートル超える土地にある教会で、すでに11月ですから、決めかねる事態はままあるはずで。
鍵番さんは、すぐに私も行きます、ということで、うっきうきで先に進みました。
Roscioloの村に入り、すぐに表示を見つけたので、それに従って進むと、かなりの田舎道で、心配になりました。犬の散歩の人がいたので尋ねると、大丈夫、道は合ってるよ、もっと先だよ、と言われましたので、本当に?と思いながらも、恐る恐る進みます。

こんな道ですよ、心配になりますよね。
でも、確かに少し先に、駐車場がありました。
その時点で、教会の姿は見えましたし、まぁちょっとあるけど、徒歩でいいでしょ、と思い、歩き出そうとしたまさにその時、すごい勢いで車がやってきて、「電話くれた人?教会まで、車でアクセスできるから、車で来なさい」と言われ、慌ててついていきました。
正直大した距離じゃないし、徒歩で行った方がわくわく楽しいアクセスができたと思いますけれど、そういう時に意固地にはなれませんよねぇ。

サンタ・マリア・イン・ヴァッレ・ポルクラネータ教会Chiesa di Santa Maria in Valle Proclanetaです(要事前予約、電話0863-516201)。
事前に調べたときは、かなりお年を召した女性が、鍵番ということで、そう理解していたのですが、私が訪ねた2018年11月には、どうやらその方は引退されていたようで、教会の鉄扉に掲げられた連絡先も、以下となっていました。
366 5902125(携帯電話番号)Mario Marini
以前の鍵番さんはCostanzaさんとなっていますが、電話番号は同じなので、もしかしたら息子さんかもしれないし、単純に村の住人ってことかもしれません。
メモには、以下の番号も記していて、ちょっと詳しいことは分からないのですが、もしかしたら、役に立つかもなので、記しておきます。
340 1202081 Virginio Marini
余談ですが、この時もまた、ワンコのお出迎えでした。

この方が、鍵番さんですが、彼の犬ではなくて、いつもうろうろお散歩しているようです。この子も含め、この日もまた、あちこちでワンコの熱烈歓迎でした。あまりの熱烈ぶりに、ワンコ苦手なことを忘れてしまうほど、平和な土地でしたねぇ、本当に。
ここでは、鍵番さんが熱心にガイドしてくださったのですが、耳がお悪いようで、ちょっと会話が厳しかったです。結構立て板に水状態で話されたので、残念ながらメモを取る余裕もなく、すっかりスルーしてしまいましたが、本も販売されていたので購入しました。結構詳細に色々記されており、いつもよりずっと資料が多いので、ちょっと長めになるかもしれませんので、面倒な方は、すっ飛ばしてくださいね。
今回は、本を参照して、周辺のことなどに触れてみたいと思います。
本は、地元の研究者っていうか、教区の聖職者がものした本でかなり分厚く、上質な紙に写真も豊富で、限られた部数だろうに、これで15ユーロは超良心的だと思います。
2000年に最初の版が出版され、その後2005年に再版されたものの、売り切れとなったため、2013年5月に、加筆修正した版が発行されたものですから、最新版といってよさそうです。
土地の歴史に、相当なページが割かれているのですが、これはちょっと読み切れなそうです。建築や装飾的なアイテムについては、自分の撮影した写真と照らし合わせて、見てきたいと思います。
実は、これまた結構なページを割いて語られているある事件、結構ドラマチックで、ちゃんと読んでしまったのです。何だと思いますか?

日本だと、あまりピンとこないかもしれませんが、この方、前法王のベネデット16世Benedetto XVIです。なんと、この方が、お忍びで訪問され、その際案内した方が、この本の著者なんでした。
その訪問の顛末が、レポートとして綴られているのですが、それが面白いのです。お忍びってよく使う表現ですが、法王レベルで、本気でお忍びってあるんだ、という驚き。2011年8月のことですが、訪問の数日前に、VIPの訪問計画を知らされ、その時点ではそれが誰だかは明かされず、しかし、尋ねるような空気もなく、その数時間後に下見に来た人により、VIPは法王であることを知らされます。
必要最低限の人以外に、訪問のことを知らせないよう言われ、鍵番さんら少数の方だけに事実を知らせます。この中に、先のCostanzaさんの名前も出てきますから、彼女も法王に会えたのですね。
当日、時間通りに法王がやってきて、法王の兄弟である聖職者さんも同行。この教会側は、著者の方に加えて数人だけ、そして、おそらくバチカンが手配したガイドの女性で、教会のツアーが行われ、法王は祈りを捧げたそうです。
報道関係も不在で、地元新聞記事のコピーも掲載されていますが、訪問の二日後となっていますから、知らされていなかったわけですよね。
8月でも、おそらくここを訪ねる酔狂な旅人は、あまりいないでしょうけれど、もしいたとしたら悲劇ですよね。訳も知らされずに、おそらく手前で止められていたでしょうから。
この法王は、通常終身で務める法王職を、自分の健康に不安があるので、ということで、ご存命中に、現法王フランチェスコが誕生したわけですが、今でもお元気のはず。現法王も、ベネデットの前の法王も、人気がすごくて、どこに行くにも人が騒ぎ立てる印象があり、本気のお忍びなどできないような印象があり、このベネデットさんが、それらお二方に比べると、一般的な人気は若干低かったとはいえ、それでも法王ですからねぇ、こんな風に本気でお忍びできるなんて、ちょっとびっくりしたし、そういうことをやられていたイメージもなかったので、そこもびっくりしたんですよね。お兄さんまで同行しちゃってさ。
意外と、そんなことやって、一人悦に入って、楽しんでいた人なのかと思ったら、今更親近感を覚えてしまいましたわ。
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イタリアぼっち日記
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- 2022/02/27(日) 17:14:46|
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