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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

墓地にて、立ってるものは親でも使え、的な(グアルディア・ヴォマーノ その1)

アブルッツォ週末ロマネスク修行(2018年11月)、その45

次に目指す教会は、11時半に行われるミサの時間のみのオープンという情報を得ていたので、若干焦っていました。知らない土地って、時間を読みにくいし、とにかく方向音痴ですからナビがあっても、あえて間違った方に行っちゃう人だしね、笑。
事前に地図で、漠然と頭に入れていたロケーションを、ナビでたどったのですが、自分で考えていたとは違う場所で、教会の看板が目に留まったので、半信半疑ながら素直にそこをたどったら、ちゃんとあったんです。ナビには、目的地を正確にはいれてなかったと思うので、道端の表示に気付いてラッキーでした。

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今は、スマホを使うこともありますが、この頃はまだナビ中心だったし、アブルッツォは山がちの土地で、ネット接続状況が悪いことも多かったので、やはりそういう時は車のナビや地図、そして道端の表示が最強ですね。
ネット世代、いやそうでなくともネット依存になっているドライバーだと、接続がないとパニクることもあると思われ、古いジェネレーションでよかった数少ない点ですね~。

そんなわけで、意外と順調で、なんと11前には着いてしまったんです。
その上、ミサの時間は全然先なのに、扉開いてるし!

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グアルディア・ヴォマーノGuardia Vomanoのサン・クレメンテ・アル・ヴォマーノ教会Chiesa di San Clemente al Vomano(市の電話番号085-895021、多分教会のサイトSanclementealvomano.itで、教会への連絡先info@sanclementealvomano.itで予約とあったので、よく覚えてませんが、コンタクトしたけど返信がなかったように思います。いずれにしてもミサの時間があったので、その時間に行くしかないと考えた次第。鍵番さんの連絡先は見つけられませんでした)。

この時の私の様子、長く読んでくださっている方には想像つくと思いますが、ご主人が帰宅するのに気づいて、まだ姿が見えないのに、はぁはぁしだすワンコのような落ち着きゼロ状態、居ても立っても居られない状態で、アワアワしながら荷物をまとめて車を降り、よろよろ教会に突進、というよだれタラさんばかりの例のやつです、笑。
入場すると、他の訪問者がおり、どうやら鍵番さんのようなおじさんが案内されているようでしたので、要は、この前の教会とは立場逆転で、すでに鍵を開けてもらった人の恩恵を、今度は私が思いっきり受けることとなったわけです。やはり人生は山あり谷あり、情けは人の為ならず…、とかどうでもいいこと、走馬灯のように…。大げさですね。

ふふ、ここの鍵番さんもまた人物でした。カペストラーノの移民経験者といい勝負っていうか、笑。こちらの方は、教会への思い入れがしっかりある信者さんで、とても熱心にガイドもしてくださったのですが、大抵の「噺」のマクラが、「妻が遠方の親戚のとこに行っていて、色々不便で困っている」「ベルギーに出稼ぎに行っていて、戻ってきたんだけど…」という二つの愚痴の繰り返しなんです。ガイドしてくださる内容は面白いんですが、マクラが~…。

一人旅で車旅だと、結構教会を点で結ぶ黙々状態になることも多いんですが、アブルッツォでは鍵番さんが活躍されている教会ばかりだったので、しゃべる機会も多くて、健全な楽しい旅ができたと思います。

さて、教会に戻ります。
まずは外観から。

創建の正確な日付が分かる資料はありませんが、修道院の創建は、9世紀後半、871年頃と推定され、890年以降であることはないことが分かっているそうです。
今ある教会は、1108年に再建改築工事がされた、その結果、ということで、ロマネスク様式となっています。

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この写真で分かる通り、ファサードは、シンプルで装飾なし。真ん中に扉が開けられており、また、その上部に仕切りのないシンプルな開口部。傾斜屋根のトップの部分に装飾的アイテムが置かれているだけです。
ちなみに、二人のうちのどちらかが、鍵番の愚痴おじさんのはずです。

ファサードに向かって右手に、入り口っぽいものが見えますでしょうか。これ、墓地への入り口となっています。後陣にアクセスするには、墓地に入るしかなくて、本堂の後に行ってみましたが、ここではさっそく行ってみましょう。

本来は、教会に沿って、後陣側にアクセスすることが出来るはずと思うんですが、墓地側からは、近くには行けないんです。鍵番さんも、本堂の鍵以外はお持ちじゃないということで、団地式の墓地に入って、しばらくうろうろしていたんですが…。

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気付いたのが、これ。テニスの審判椅子みたいなやつで、要は、高い位置にある墓に参拝する用の梯子段です。
参拝でもないのに、これを引っ張ってきて、なんとか後陣を拝むことが出来たんですよ。

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シンプルながら素敵な後陣です。ブラインド・アーチにつけ柱と、私の好きなアイテム満載。色目の異なる石やレンガのはめ込みも好ましいです。
奥の方ににょっきりしているのは、アーチ式鐘楼で、これも、おそらく12世紀につけられたくさいです。教会と修道院の間にあった大きな壁を活用して作られたものとされているので、修道院設備は、今の墓地とは反対側、つまり本堂北側にあったということになります。

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グーグルさんで見るとこういう様子です。本堂の右側にみっちりと建物があり、今は何に使われているか不明ですが、それがもともと修道院だったということになるようですね。

国道から緩やかな登りで、この修道院の先がグアルディア・ヴォマーノの村のなるんですが、おそらくこの教会が建ったころは、周囲は緑に埋もれているだけの土地だったのじゃないか、ということが容易に想像できる土地です。後陣側は谷となっているので、かなり孤立したロケーションです。

続きます。


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  1. 2022/04/25(月) 12:05:11|
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