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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

同僚との折り合い?(グアルディア・ヴォマーノ その3)

アブルッツォ週末ロマネスク修行(2018年11月)、その47

グアルディア・ヴォマーノGuardia Vomanoのサン・クレメンテ・アル・ヴォマーノ教会Chiesa di San Clemente al Vomano、入場します。

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内陣がかなり高く持ち上げられているのが、写真でも分かると思います。全体の古びた様子、見るからに再利用の柱、好みな世界です。
三身廊で、三つ後陣スタイルですが、側廊がかなり狭いです。イタリアでは、身廊の広さが極端に異なるということは、割と少ないと思うので、これは特殊かもね。

扉入ってすぐの部分、写真でもよく見えますが、床面が透明ガラスとなっています。これは、修復とかで発見されたのだと思いますが、地下が埋葬に使われていたことが分かり、それを見えるように、こういう床面にしたそうです。

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中世後期とか、床面に寝てる人が結構いますよね。寝てるって、要は、床面に墓碑がはめ込まれたりしてる司教だったりです。教会は、墓地の集積でもあり、重要な人のためにはクリプタが作られたりしたわけでしょうけど、そこまででもない人は、直接地下に埋められたってことになるのでしょう。
でも、なんていうか、クリプタみたいな、実際に人々が訪れていた場所だったり、同様にカタコンベとかだったら、訪問可能にしてくれるのは、興味もあり楽しいんですが、このように、踏みつける床面をガラスにするっていう考えは、ちょっとなじめないところありますな。味噌もくそも一緒的に、屋内も靴ですごく西洋人の文化っていうのかさ。
30年超イタリア暮らしをしていても、家の中では靴を脱ぐ生活をしたい私は、こういう場所を踏みつけて歩くのに、抵抗を感じてしまうんですねぇ。埋めとけよって思っちゃいます。

個人的に好きなポイントにうつりますね。

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ここの柱頭もまた、地味なんですけれど、古典的なモチーフで、かなり好きなものです。

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餃子っぽい葉っぱモチーフに縄目くねくね。縄目を見ると、なんだか古典的な感じがしてしまって、うっとりする癖があります、笑。

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一つ一つ違うモチーフが、全体にとてもまじめに、なんていうか優等生的に彫られている様子あるんですけれど、いきなりこんにちわなんてされちゃうと…。

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おばちゃんメロメロって、笑。この子の無垢なこんにちわ感、不意を突かれますよね。
こっちでは、無垢とは反対の、ちょっと邪悪な表情をしたヤギが、しめしめ的な様子ですね。

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葉っぱモチーフには優等生的な技術をもって、きっちり計算づくな様子の彫りをする石工さんが、動物になると、なんだかおもしろい顔を作っちゃうって…。

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動物は専門の同僚がいたんだろうか。
だとしたら、仕事に関しては、絶対合わないはずだから、けんかしながらやってたんだろうか。でも、仕事終わると、友達に戻って、お疲れ~なんて言いながら、一緒に家路についたんだろうか。ああ、またどうでもよい妄想が…。

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個性あふれる柱頭に、再利用のため各々自由奔放に異なる柱。古い教会って、そんなところに魅力があるんですよねぇ。
相当補強されている様子ですが、地震の影響かもしれないですね。ちょっと痛々しい補強具。

そうそう、本堂には、一つ面白いアイテムがあります。

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入り口近辺の壁にはめ込まれていたと思います。
サン・マルティーノ・ディ・カステルバッソ教会から持ち込まれた石版で、「ANNI AB INCARNATIONE DOMINI NOSTRI JESU CHRISTI MCXXXIIII EST DEDICATA ECCLESIA S MARTINI TEMPORE OLDRII ABBATIS」つまり、「我々の主の誕生から1134年、サン・マルティーノ教会が、オルドリオ修道院長に捧げられた」とあります。

カステルバッソCastelbassoは、このグアルディア・ヴォマーノから西に10キロ弱の小さな村のようです。調べてみると、ロンゴバルド起源の古い村のようです。とても小さい岳上都市というような構造で、観光地としても面白そうな村でした。
件のサン・マルティーノは今は姿を消し、その上に建てられたサン・ピエトロ・エサン・アンドレア・アポストり教会となっているようでした。内部はキラキラですが、扉口にかわいらしいライオンちゃんとか聖母子など、おそらくサン・マルティーノ時代の遺構と思われる彫り物があるようです。

以前にも記したと思いますが、この旅の時は、意外と情報収集が難しかったこと、また日程が限られているので、なるべく見るべくを見る、という方針で、マイナーな教会にこだわらなかったこともあり、今回、記録している中で、次々とチェックしていなかった場所が出て来ます。
やっぱり、なかなか一回で済む場所はありませんねぇ。当然ではありますが、一体どうやって時間を作ったらよいのか、別に義務でもないのに、頭を抱えたりしてしまいます。

おっと、脱線です。
なぜ、他の村の教会の碑文が、ここにもたらされたのか。という点については、見つからなかったんですが、カステルバッソがロンゴバルドの村だったとすると、何らかの政争に巻き込まれたりとか、そういう結果として、サン・マルティーノが損壊してしまった可能性もあるかと思います。
教会が損壊したりすると、たとえ碑文が彫られてり、装飾的な彫りものがあっても、結構建材として再利用されることも多かった時代に、ちゃんと他の教会に持ってこられたというのは、ちゃんとした理由があると思うのですよね。

この教会では、地下の墓所への封印として使われたとありました。

そうそう、地下と言えば、本堂入ってすぐに、クリプタの存在は分かりますから、期待してたんですよね。先客が、クリプタに入って、鍵番とおしゃべりしていたし、私も慌てて降りたんですけども。

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古い構造物だと思うのですが、全体にすっごく修復されてしまっていて、もう全く風情なし。つるん、って感じで、一瞥してすぐ出てしまいました。近年は、そういう古いものの修復は、もう全く古いままに補強だけするわけですが、以前は、ちゃんと使うための修復してただろうから、ちゃんとしすぎちゃって、仕方ないけど残念。

前回の記事、扉口の部分に、一点追記していますので、良かったら確認くださいね~。


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  1. 2022/05/01(日) 12:13:46|
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