アブルッツォ週末ロマネスク修行(2018年11月)、その49
グアルディア・ヴォマーノGuardia Vomanoのサン・クレメンテ・アル・ヴォマーノ教会Chiesa di San Clemente al Vomano、本堂内部の続きです。
前回紹介したチボリオの下には、祭壇が置かれています。

チポッリーノ大理石の板で作られ、シンプルな箱型ですが、注目すべきは前面の小食。はめ込み細工で、アラベスクモチーフがぎっしりと作られており、中央には神の子羊が置かれています。

解説には、「チボリオに使用されたテラコッタの粉末や、アイジングラス(ゼラチン)や動物の骨などが、埋め込み用に使われている」とさらりと書かれていましたが、鍵番のおじさんの説明では、今でも正確な材質、そして技法は分かっていないということでした。

両側面も、もっとずっとシンプルですが、同じ技法で飾られています。
脇の方のは、彫りがされている部分に、やはり何か詰め込むはずだったのがなされなかったのか、または詰め物が取れちゃっているか、ということなのでしょうか。

そこは不明なのですが、シンプルなモチーフである分、逆にモダンな様子にもなっているのが興味深いです。
この祭壇は、レリック(聖遺物)入れを兼ね散るので、裏側は装飾なしで、聖遺物を収める穴が開いています。

元々は、サン・クレメンテさんの何かが収められていたんでしょうね。いや、今もあるのかな。そこも不明です。
その、教会がささげられたサン・クレメンテさんですが、立派な木像がありましたよ。

153センチもある、ほぼ等身大と言ってもよいような大きな木像です。1300年代初頭のものとされているようですが、ゴシック後期の技術による彫りと彩色に、ビザンチンテイストも盛り込まれているとあります。
ガラスケースに収められているのは、おそらく数年前に修復が施されてからなのではないでしょうかね。これほどの大きなお像で、保存状態も良好なので、重要度も高く、その修復がされたのちは、各地で巡回展示をされたそうです。
巡回ということで、ふと考えたのですが、日本の仏教だと、江戸時代に出張開帳というのがあったようですよね。いわゆる興行師が、お寺とコラボで儲けるために実施したような話が、落語にもありました(私の江戸の知識は、ほぼ落語経由、笑)。今、ググってみたら、東日本震災の際に、善光寺出開帳が両国の回向院で実施されたという記事が出て来ました。そうそう、回向院って、出開帳に使われるお寺だったんですよね。へぇ、今でもそういうのがあるんだって、ちょっと驚いたけれど、ご開帳という文化が残っている日本では、驚くことではないのかぁ。
キリスト教では、レリックを拝むけれど、お像をそこまで尊ぶ文化はないですよね。お参りはしますけれど、そこまで隠すことはないですね。製造禁止の歴史とかが関係してるんですかね?一神教、ということもありますかね。
このお像は、大きさのインパクトもありますし、表情もよく、とても良くて、思わず「あ、どうも、お邪魔してます」みたいな感じで、あいさつしてしまうタイプの方でしたね。

その他、言及すべきアイテムとしては、いくつかのフレスコ画(正確には21)がありますが、全体に劣化損傷が激しいですし、時代的には、最も古くて13世紀後半のものとなるようです。
その、最も古い時代の一つが上の聖母子です。写真が悪くて分かりにくいと思いますが、ビザンチン・テイストが入っており、聖母の衣服の豪奢な様子が見られます。
その他は、私には興味が持てない、より時代の下るものだったので、割愛します。
脱線も多くて、また長くなってしまいましたが、お付き合いありがとうございました。やっと次に移動します。
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イタリアぼっち日記
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- 2022/05/07(土) 15:53:30|
- アブルッツォ・ロマネスク
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| コメント:2
このサン・クレメンテさん。右ひざが突きだしてみえるので座像でしょうかか?
それにしては下肢が長いですね。
興味を持ったのが衣装。まるで仏像(日本人的発想ですね)。
まあ、仏像の衣の起源はローマのトーガらしいですけれど。
いいお姿です!
- 2022/05/08(日) 00:30:19 |
- URL |
- yk #i3bnT8TU
- [ 編集 ]
YKさん
さすがの観察眼です、私、気にも留めてなかった!
写真、見直したところ、確かに膝が出ている様子なんですね。衣のひだひだも、そういう感じです。
ちょうど真横から撮影したものも一枚あったのですが、腰掛けている、というほどではなく、ちょっとお尻を後ろに預けたような姿勢っていうのかな、出ているのは膝ではない感じ。
元々置かれていた場所に合わせた姿勢なのかもしれません。
なんかお顔始め、全体のたたずまいがよかったので、あまり細部を見ていませんでした。残念です!
- 2022/05/12(木) 21:31:40 |
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- Notaromanica #-
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