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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

当時のミリオネア(フォッサチェージア その2)

アブルッツォ週末ロマネスク修行(2018年11月)、その52

フォサチェージアFossacisiaのサン・ジョバンニ・イン・ヴェネレ修道院教会Abbazia di San Giovanni in Venere続きです。

修道院の名前なんですけど、イン・ヴェネレというのは、おそらくこの場所に、ローマ時代の異教の神殿が、ヴィーナスに捧げられていたことからつけられたものと考えられているそうです。ヴェネレはヴィーナスの意味です。
海を見下ろす素敵な場所ですから、まさに神殿にぴったり、それも海の泡から生まれたヴィーナスに捧げたくなるような場所でもあります。

その神殿については、形としてはほぼ何も残っていないんですが、名前に歴史が残るというのも、ロマンがありますよね。
今ある建物のおおもとは、9世紀に、地震でもともとの建物が損壊した後に、1015年に地域のキエーティの有力伯爵のトラスモンド2世という方が、教会の再建をして、その際に修道院を作ったそうです。その方は、今でも修道院のクリプタに埋葬されているとか。

回廊を二つも持ち、学校併設、図書館もあるという大変立派な施設だったようです。

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どん詰まりの内陣、かなり段差のある階段が分かるでしょうか。

手前には、いわゆる勝利のアーチというアイテムで、内陣が仕切られていますけれど、これが、かなり低い部分にアーチがありますよね。
もしかすると、これは、オリジナルのアーチで、内陣が後代に上に持ち上げられた結果という可能性もあります。だって、低すぎ。
あと、こういうアイテムにはフレスコ画がつきものだから、もともとはフレスコ画でおおわれていたかもねぇ。クリプタにも一部残っていますから、その可能性も大です。
いくら寄進したと言っても、寄進者がクリプタに埋葬されているわけですから、相当のお金を出したっていうことに違いないので、なんか金に糸目をつけずに作ったんじゃないのか、それでクリプタ埋葬権を得たのじゃないか、と妄想します。だから、全面フレスコ、笑。

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相当の高さの内陣となっているのがわかりますよね。
今ある建物は、その修道院創建時よりも後の1185年から1204年にかけて、複数の修道院長がかかわってなされ、1225年から1230年ごろに竣工したとあるので、トラスモンドさんがご存命のころとは、ずいぶん趣が変わっているのではないかと思われます。おそらく、ずいぶん立派で壮大な教会にされたのでは。

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件のクリプタも、かなり新しい様子で、すっきり風情はあまりない様子になっています。

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遺されているフレスコ画は、13世紀以降のテイストですが、結構よい雰囲気ではあります。もともとは、全面フレスコ画だったのではないでしょうかね。きらびやかなクリプタだったと想像します。
いくつかの柱頭や円柱は、神殿時代の再利用らしいですが、とてもきれいに再利用されていて、再利用とは思えない様子です。
再利用って、多くの場合、あるものをそのまま、あまり加工しないで使われるケースが多いと思います。柱なんかは、だから太さや長さを違うのを、つぎはぎ状態でつかっていますよね。
でもここは、古い時代のものを、純粋に建材として使うために、この建物に合わせてきちんと加工してしまったということなのかな。ここでも、金がかかっていますね。

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全体が、見事にそろっていますよね。

訪ねたときは、そういう歴史は知らないで行っているので、ただあるものをカシャカシャ撮影していますが、これが、トラスモンドさんのお墓なのかもね。

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クリプタの大きさにしては、こじんまりしていますが、当初はこのクリプタももっと小さかった可能性がありますから、そこに合わせたサイズ感だったのかな。それに、おそらくか目にはめ込まれていたんじゃないかと想像します。

本堂に戻り、回廊に出ようと思います。多分その扉口だったのかな。扉状に、碑文が。

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こういうのが、即座にスラスラ読めるとかっこいいんですけど、全然ダメ。

回廊につながる扉の外側の装飾は、古いロンゴバルド系の彫り物でした。これもまさに再利用ですね。

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地震で損壊した建物にあった装飾だと思います。大好物。

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両側に、典型的な組紐モチーフがあり、見事な保存状態です。

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そして広大な回廊です。

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今は、一つの回廊が残されているのですが、僧房のあった時代は、そちらとつながる回廊もあったということなのかな。一派な修道院です。

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半端な切り方で恐縮ですが、碑文のこともあり、ちょっと資料を読んでみたら、妄想ごめんなさい、という感じなんで、改めてちゃんと読んで、もう一回、ファサード等含めて、記事にしますね。

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  1. 2022/05/15(日) 16:14:27|
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