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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

ばり、カメラ目線(シゴロスハイム)

最初で最後のアルザス中世、多分…(2019年4月)、その7

次に訪ねたのは、こちらです。

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シゴロスハイムSigolsheimのサン・ピエール・エ・サン・ポール教会Eglise Saint-Pierre-et-Saint-Paulです。

ちなみにですが、もともとフランス語の読みが完全に分かっていない上に、アルザスでは固有名詞がドイツ語発って感じなんで、本当にどう発音したらいいのか分からなくて、色々混じっちゃってると思うんだけど、そこはご勘弁ください。なるべくアルファベット表記の方をご参照いただけたら、と思います。

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さて、この町の起源は古く、メロヴィング朝時代まで遡るそうです。その当時から、ブドウの品質の良さが認められていたらしいですから、よほど、土地に適したワイン種があって、良い農民がいたのでしょうね。

ところで、別途書きますが、アルザス・ワインって有名ですよね。実は、非常に、いや、もしかすると過剰に期待してたんですよ、アルザスの白。おそらくちゃんと飲んだことないし。ところがさぁ、これがとんだブラフっていうか、いや、おいしいということなんでしょうけれど、私の好みではなくて、がっかりの連続でした。最後の夕べには、ブルゴーニュの赤とか飲んじゃったくらい…、笑。食事については、ワインも含めてフランスじゃないでした、涙。

当時から有名だったのは、やはり白中心のゲルマン圏において、あそこまでどっしり、なんなら赤にとって代わるようなタイプの白っていうのは、なかなか貴重だったのかもねぇ。今でもそういうところがあるのかしら。

話戻しますと、そのメロヴィング時代に、すでに礼拝堂があったようですが、それは跡形もない模様。聖地なんて、大抵同じ場所なんで、おそらく今教会がある場所にあったのではないかと思いますけれど。

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印ついているのが教会の場所ですが、町、というより村全体、一辺500メートルの四角に収まる程度の大きさ。で、周囲は平地で、ブドウ育てる環境としては、あまり適切ではないような様子もありますよね。もしかして、ちょっとした凸凹を平地化したとかそういうこともあり得るのかな。
ということで、グーグルさんストリートビューで確認したところ、非常に緩やかな凹凸があるような土地ではあるようでした。

すいません、つい話が脱線します。

今ある教会の建物は、12世紀に建設されたものということですが、実は19世紀になって、かなり手が入れられた上に、第二次世界大戦で爆撃損壊、という悲しいことも重なり、相当部分が再建となるようです。

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緑と青空を背景にすると美しい後陣ですが、確かにつるつるですよね。この後陣は、古い時代の教会では、一回りも大きかったというその跡が、戦後再建時に、発見されているようですが、遺跡みたいな様子はなかったと思います。
鐘楼も、大戦後の再建ということなんです。装飾的なアイテムは、一部活用されているようですが、往時の雰囲気を伝えているのは、ファサードの扉口の装飾がメインとなります。
アルザスは、国境地域ということで、戦災的には不運な土地だったのでしょうね。

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扉部分は、遠目にも期待できるごちゃごちゃ感があります。ファサード全体の様子もよいですよね。
なんといっても、まず目に留まるのは、タンパンです。

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中央にキリストが表され、右のサン・ピエールに鍵を、そして左のサン・ポールには本を渡しています。そして、その外側に彫られたのは二人の寄進者。それぞれが、寄進するもの(一人はカバン、要は金ということかな、一人はワインの樽)を持っているようです。

キリストの手がすっごく大きくて厚みがあることとか、衣のひだひだへのこだわりとか、ワインを寄進している人以外の衣の豪華な様子が見て取れます。

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キリストは、その玉座まで、なんだか装飾的ですごいですね。
両脇に開けられた穴は何なのかなぁ。後代に、何かやらかした跡なのかと想像します。攻めても、彫り物を傷つけない位置でホッとしますね。

タンパンの下のアーキトレーブには、神の子羊と、福音書家のシンボルが横並びです。

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またくだらないこと言っちゃいますけどね、特にアーキトレーブの方々見て思ったんですけど、みんなすっごい緊張したカメラ目線なんですよね!
キリスト中心のタンパンも、全員固い表情でこっちを見つめてますよね。あ、金の寄進者は、顔がえぐれていて、ちょっと表情分かりにくいけど、ワイン農家の方は、しっかり目線くれてます。
そんでね、アーキトレーブの方々も、しっかりまっすぐ、真面目な固い表情でこっち見てます。

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マルコなんて、かなり真剣にポーズ取って、慣れない様子だし。ルカなんて、緊張に耐えられずに笑っちゃってるし、笑。

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ふふ。
でも、タンパンの方は、場面もすごく考えられていて、実際スナップ写真だけど記念写真的な構図っていうのかな。つまりすごく計算された図像に思えます。

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扉脇にある柱頭は、かなりごちゃごちゃとした彫り物となっています。動物植物がわんさと。
タンパンやアーキトレーブとは、手が異なるようにも感じられますが、副柱頭の細かい植物彫り物は、タンパンの登場人々の衣の細かい装飾表現に通じるところもあるのかな。

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いずれにしても、これだけのものが、よく残されたとありがたく思います。

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内部はとてもシンプルで、きらきらしていないだけまし、というところです。
相当よーく観察する必要はありますけれど、ちょっぴりは名残もありました。

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教会って本来暗いし、一見何もなさそうなシンプルな作りだと、普通はさらりと見て見学おしまいってなるんだろうけど、とにかく扉にあれだけのものあるとなると、絶対に何かあるはず、という確信を持ってしまうロマネスク病患者は、やっぱりちょっと病的ですよね。
まさになめるように、目を皿のようにして眺めまわして、こういうものを見つけると、肉眼ではよく見えないのに、心が躍ってしまいますね。

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解説では、ヴォルト構造の説明がやけに詳しくありましたけれど、そこまでの建築学的興味はないので、割愛。
その代わり、これはあげておきます。

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現代風のステンドグラス。ここのは色合いと言いデザインと言い、かなり好みの作品でした。これはフランスならではのアイテム。

最後に、去り際に気付いた、扉口以外のファサードの装飾。扉に気を取られて、見上げてなかった、笑。

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チェッカー模様が好きなことは、再三書いているけれど、上部にあるギザギザ系も好きです。
そして、チェッカー帯の下に置かれたブラインドアーチの垂れ下がり部分にも、かわいい名残が並んでいたんでした。

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ここは、推しだな~。


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