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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

愚かな女子は魅力的…(エグィスハイム/エギスアイム)

最初で最後のアルザス中世、多分…(2019年4月)、その9

今更、あ、すでにここでもやらかしていたか、と気付いて苦笑いしました。
実は、今回8月の旅は、行先が広範囲にわたったこともありまして、行程の最後の方に予定していたウンブリアに関しては、事前の調べが行きわたらないケースがあったんです。
いや、町の名前、教会の名前と住所、適切な駐車場、と最低必要限の調べはしてるんですけど、ついつい教会が町村の中心地、と言わないまでも、旧市街にある、という前提にしてしまっていた、ということが3件ほどあったんですよねぇ。
町について、首尾よく駐車して、旧市街に入り込んだところで、なんかおかしいな、と調べると、実は目的地は町から3キロ地点の修道院教会だった、みたいなやつ。ロマネスク関係ではありありだと思うんですが、笑、わざわざ日本からいらっしゃる方は、そんな間抜けなことはしないかもしれないですねぇ。

というわけで、この時も、旧市街の中心部にて。

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それらしい様子の見えた教会に、迷いなく突進したんですよ。

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それらしいアイテムもあるわけなんですが、どう見ても違う…。
おろおろしていると、旅行者らしき白人の団体が入ってきたんですが、やおら、朗々とした声で賛美歌を歌いだすという、カオスなことになってきました。私たちをはじめ、他にも人がいたのに、なんだか勝手にミサを始めだしたような…。何なんだ?変な宗教団体?

絶対違うので、そそくさと退場して、メモを確認して地図を確認して、やっぱり全然違う教会だと分かった次第。ちなみにこれは、村の中心広場にあるサン・レオン9世礼拝堂Chapelle Saint-Leon IXという代物のようでした。団体さんは、聖レオン信者だったんですかね。

ここでのレオンさんというのは、この村出身で、1049年にローマ法王レオーネ9世になられた方のようです。この方、在位は5年だったそうですが、在職中に欧州を縦横無尽に走りまくり、あちこちでキリスト教の普及や教会の改革など、精力的に行った方ということです。

気を取り直して、改めて目的地に向かいます。
旧市街の中ですが、あまり観光客などは来ない住宅地の方にありました。

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エグィスハイムEguisheimムのサン・ピエール・エ・サン・ポール教会Eglise Saint-Pierre-et-Saint-Paul。
外観は、撮影しても仕方のない様子ですが、この、ファサード右側にある塔の下に、お宝が残されているんですよ。
それがこちら。

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どうなってるかというと、教会の創設は1220年だけど、当時の教会の姿は、この鐘楼のベース部分だけに残されているもので、当時の扉口ですよね。洗礼堂部分の扉となっていますが、実際どういう状態だったのかは、よくわかりません。扉口にガラスをはめて、聖母子の展示ケースにしているので、イメージも沸きませんが、とにかく立派な装飾なので、本体の扉口だったのかな、という気もします。

残念なことに、アルザスの情報って、ネットで検索しても実に少ないです。もちろんフランス語で検索しているのですが、詳しい教会情報、全然出てこないんです。ここ行くといいよ、というサイトがあれば、是非ご教示願いたいものです。

創建がすでに13世紀に入ってしまっていることもあり、一見して、相当ゴシック・テイストを感じます。そうは言いながら、ロマネスク的な良さもしっかりとあり、結局こういう時代のこういうテイストが、アルザス・ロマネスクということなんだろうな、という気がいたします。

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タンパンは、祝福するキリスト、その両脇に、ピエールさんとポールさんがいる、という典型的な図像です。ピエールさんが、どでかい鍵を、ほぼほぼ担いでいるスタイル、田舎なアルザスだけに、なんとなく木こりスタイル、みたいな印象です。明らかに彩色が見られますね。

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鍵の、鍵穴に入れてぐりぐりする部分が、ひどく複雑で、まるで現代のカギみたいなんでびっくり。彫り師は、装飾的にすることだけを考えたんでしょうけど、なんだか今どきの複製不可の鍵みたいに見えますよね。
表情も、大変写実的ですし、彫りは細かいです。

その下にあるアーキトレーブがすごいと思います。

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高さっていうかサイズ感も半端なくて、そこにきっちりと彫られたテーマが、どうやら賢い乙女と愚かな乙女ってやつらしいんですけどね。
左の女子は賢い集団で、天国の扉をノックすると、ちゃんとキリストに迎えられているとこらしいけど、右側の愚かな女子は、扉が完全にクローズされちゃっている、ということらしい。

きまじめそうな女子グループ。

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ダメダメな方の女子グループ。

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この、賢い乙女とダメな乙女のエピソードって、大抵ダメダメな方がイケてるんだよね。賢い子たちは、ここでも敬虔で地味で生真面目なイメージだけで描かれてるけど、右側の子たちは、アクセとかつけてちゃらちゃら感出てるし、ソワソワがやがや、落ち着きなし。でも遊ぶならこっちの女子だよねー、笑。

ちょっと面白いなって思ったのは。

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キリスト、ちっちぇえ…、その割に顔でけえ…。
罰当たり発言…。


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