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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

塔の装飾と開口部(セレシュタ?/セレスタ? その2)

最初で最後のアルザス中世、多分…(2019年4月)、その12

セレスタSelestatのサント・フォワ教会Eglise Sainte-Foy、続きです。

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外側にも、ディテールに面白いものが結構あります。

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まずは、今のメインの入り口のひとつになっている、バリゴチックの扉は無視して、その右の方にある小さな扉。

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タンパンは、ちょっと新しいにおいがしますが、柱頭は、しっかりロマネスクでした。

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アーチ部分も凝っているし、左側のコビト・ドラゴンとでも名付けたくなるような仲良しペアは、思わず「エルマーと竜」を彷彿するような、悪の使いというよりはかわいらしさ満載。
今、ハッとしましたが、今どきの子だと、ドラゴンというと、とっさに思いつくのはハリーポッターだったりするのかしらん。エルマーなんて、今どきの子供は知らないのかしらん。

思えば、今どきの子供って大変ですよねぇ。文からイメージを想像する機会を大いに奪われちゃってさあ。ハリーポッター、最初の頃、私も夢中になりましたの。イタリア語版買って、読んじゃうほどに。でもああいったものがすぐ映画化されちゃうしね。ゲームだって、私がはまった頃のドラクエとかと違って、もうすごいもんね、映像とか。それはそれですごいことだと思うけれど、想像力大丈夫なのか、とか、ふと思ったりはします。わたしらの世代とは、違う方向に行くんだろうねぇ、きっと。
あ、でも考えたら、テレビが普通になった頃、当時の大人は同じようなことを感じたのかもねぇ。

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もう一つ、小さい扉がありました。例によって順不同、思うがままに撮影してるので、正確な場所は覚えてないけど、なんかお勝手口的な、笑。こういうのって、内陣に近い方に会ったりするよね、関係者御用達通用口みたいな。

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装飾は最低限で、いつのものか不明ですが、こういうシンプルなギザギザ、結構好きです。

通常なら、軒持ち送りで装飾されるような場所に、テラコッタでしょうか。いろんなフィギュアが並べてありました。

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ディテールを見ると、可愛さがないタイプだし、時代が下るのかな、という印象です。そういえば、こういう装飾って、時々見る気がします、フランスでは。壁に並べて貼るタイプ。どこだったかなぁ。ミディ・ピレネーのどっか有名なところとか。そこも時代は下る気がした。黄道十二宮のシンボルとかだったような。

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塔の装飾がなんかすごい。隙間が嫌い的な、粘着質な装飾傾向だよね。

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そういえば、イタリアでは、鐘楼って、下から上に向かって、開口部の数を増やしていくことによって、軽やかさの演出だったり、実際に物理学的な理由もあるのかなっていうスタイルになっていくけど、この装飾見たら、全然逆じゃんって気付きました。
まず、装飾の付き方がごつごつもさもさしていて、印象として重たいし、開口部の定石も全然違いますね。

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そもそも塔のあり方として、背は結構高いとはいえ、建物一体型だから、技術的にあまりごちゃごちゃ言わんでも自立する、というスタート地点の違いもあるのか。
本堂一体型だから、本堂とのバランス的に、装飾過多とかもありということか。
これは、初めて気付いた視点だな~。

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最後に、ファサードにあるメインの扉口です。前面がナルテックスのようになっていて、引っ込んだところに扉があります。見所は、そこの柱頭と、ナルテックスの手前、外側に面した部分の開口部の柱頭だと思います(鉄格子がはまっているところ)。

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なかなか立派な装飾なんですよ。

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柱頭もアーキボルトもびっしり彫り物です。これなら、おそらくタンパンにも彫り物だったでしょうね。今はかなり新しい絵になっています。
あ~ボルトには彩色がありますが、これは絵の時代にされたのかな、という印象を受けます。とはいえ、柱頭も彩色されていた可能性はあるわけで、とすると、かなり極彩色的な様子だったのかな、当時は。なんせ多く使われている石色が赤っぽいから、そこに色だと、かなり見た目きついかもね。

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三つ並んだ柱頭それぞれが、テイストの違うモチーフになっているので驚くんだけど、実は左右同じ、というのが分かり、ある意味さらに驚く。

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これは、珍しくない?カタログ販売かな。「これとこれと、えっとこれ!違うの選ぶのはうざったいので、両側同じで!」みたいな。
でもなぜか、足元は同じじゃなかった。

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これは一個ずつだから、選ぶ余裕があったのかもね、笑。

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扉を入る人を、角っこから見下ろすおじさん、これも左右とも同じスタイルのおじさん。座り姿勢が無理やりスタイルも同じなら、なんだか衣のひだひだをまとめて足の間スタイルも一緒で、これは何ですかね。
女子が、長いスカートを地面につけないために、足の間にまとめたりするけど、それかい?
ひだひだが、妙に写実的なのが、なんというか、写実だなぁって感じられて、石工は何を考えてたのか気になります。

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こそっと、小さい隙間にいるこういうやつは、ちょっとコンクっぽいような気もします。

開口部の方です。

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鉄骨グサリは、ちょっと思いきりましたね。でも、柱頭に刺されなくてよかったわ。この部分は、フィギュア満載で、ちょっと楽しい部分。お足元も忘れず、見てくださいね。

というわけで、ディテールに見るものが多く、最後はちょっと端折るくらい、写真満載となってしまいました。
建物一体型の塔への考察もできて、なかなか楽しい記事となりまして、やはり、ブログは、ロマネスク考察の源となっていると思いました。
次に進みます。

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