最初で最後のアルザス中世、多分…(2019年4月)、その14
次は、当時のメモによれば、ここまで見た中では、最もディテールが面白かったもの、とありました。フランスの地名や教会は、どうしても身につかないっていうか、実物と結び付けられないケースがほとんどで、あそこのあれ、と言われても、実際に写真を見るまで思い出せないことが多いんですが、アルザスは、ドイツ語問題まであるので、その傾向がさらに強いです。
ここなども、地名すらちゃんと読めないし、なんだっけ?というところでしたが、写真を見ていて、あ~!あれね!と思い出しました。
やはり、現地で面白い!と感じただけあり、しっかりと覚えていました。地名の読み方はさらに混迷していますけれど。

Andlauのサン・ピエール・エ・サン・ポール修道院教会Eglise Abbatiale Saint-Pier-et-Saint-Paulです(駐車は教会のある3 Cours de l'Abbayに停め放題。また、公衆トイレがあり、大変清潔)。
一見、ロマネスク的にはパッとしない建物なので、またこれかよ、的ながっかり感に襲われるんですが、ちょっと待った、ということです。

ファサードの、結構上の方なんですが、ずっと横に、浮彫の帯が置かれているんですけど、分かるでしょうか。その帯、なんと全長30メートルもあるそうで、今更びっくりですが、そうやってあちこちで自慢げに説明されているにも関わらず、それが見やすい環境になっていないのが、大変残念なのです。

グーグルさんにお借りした写真ですが、赤い部分がファサードとなりますが、ファサード前は、ほとんどスペースがなく、向かい合うように作られているお隣の緑の部分、おそらく老人施設と思ったのですが、そこの駐車場は、結構高くなっています。
要は、ファサード前は、教会のたっているレベルでは、すぐに壁になっているのです。ファサードを撮影しようとすると、思いっきり上を向いて、二枚上の写真のようになってしまいます。
というわけで、その駐車場に侵入しました。

レベル的には、ちょうどよい高さです。
でも、浮彫のサイズは結構小さいので、肉眼ではなんのこっちゃ、程度にしか見ることが出来ません。
前部で45枚の浮彫板が並べられているそうで、内容は、狩猟の場面、戦いの場面、そして騎士の日常生活ということです。

戦いの場面、結構写実的です。ただ、緊迫感みたいのは感じられない装飾的な浮彫で、ちょっと戦いのポーズみたいな様子です、笑。

こっちもね、鎖帷子とか、盾の様子とか、なかなかに細かくてすごい。肉眼で見えない場所だし。でも、オリジナルは、もっと低い位置に置かれていた可能性はあるのかもね。とはいっても、やはり肉眼で細部は見えなかっただろうな。それでも、ここまで彫ってしまう、っていうのは、やはり当時の職人さんたちってすごいよねぇ。それも、見た感じ砂岩っぽいけれど、保存状態がなんでこんなにいいんでしょうか。
狩猟の場面。

クマですかね。自分から身を捧げに来てる感じで、これは徳の高い騎士なのかも。振り上げてるのが、剣というより十手、じゃなくて、十字架にも見えます。

これも狩かな。ちょっと面白いのは、ここでは指さしたり、連れのワンコが、いきなり拡大図になっている様子だったりする絵巻的な表現になっているところ。それに、ワンコが加えてるってことは、猟銃で仕留めた感じもあるんだけど、ということは、時代下るよね?
日本は種子島で入ってきたわけだけど、欧州ではどうなっているのか、ちょっと調べてみたところ、あまりよく分からないんですが、13世紀より前に普及していることはなさそうな感じですね。意外と、種子島と変わらないタイミング感なのかな。
いずれにしても、騎士がテーマだから、この浮彫も、13世紀以降なのか、と思いますけれど。

これは日常生活場面になりますかね。食卓なんでしょうが、頭巾みたいのかぶって、女性に見えますが、どういうことなのかな。
右手は食物を口に運びつつ、左手はテーブルの上のものをつかんで、と、皆さんがつがつしている様子もあり、笑。
または、右側が侵入者で、不審な様子に気付いた人たちが、左手で武器を握る?そりゃないわな、みんな左利きはないよね。でもさ、そういうストーリー思いついたら、そういう場面に見える不思議、笑。

これも、一見日常生活場面に見えるんだけど、よく見ると、すっごく変。
奴隷なのか、首縄をつけられた人の縄をつかんでいるのは、変な怪物みたいだし、右の方でも、変な動物に取りつかれたようになっている人がいるし。
これ、日常生活というより、ボッシュ的な世界観の浮彫なのかな。
実際、こういう変なフィギュアもあるんです。

改めて拡大で見ると、面白さマシマシです。
例によって、なかなか解説が見つからないんだけど、もうちょっと知りたい病。どなたか、フランス語で結構ですので、このサイトどうだ、という情報をお持ちでしたら、教えてくだされば、大変ありがたいです。
まだまだ面白いディテールがありますので、続きます。
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- 2022/09/02(金) 17:28:11|
- アルザス・ロマネスク 67-68
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| コメント:2
まずアンロー と発音すると思います。(日本語の本もアンロー)アンローは さん・マルグリット教会と同時に 2003年に行き、ツアーで 2018年にも行きました。(ホームぺージ ライン川流域ロマネスク に詳細あり)修道院村ともいうべきところで 昔は 300人くらい(と聞いた気がします)修道女がいて 周りの建物はみな修道院だったそうです。いい雰囲気のところですよね。
下から2枚目の写真、 左は ワインを売っているところ、右は 銀を計っているところを 悪魔が邪魔している図だそうです。その上は 宴会場面だと思われます。 この右(4枚目の写真、右端 しろくなっている隣にもう一枠レリーフがある)に 台を前に大包丁を研いでいる人、その隣は何か動物を屠ろうとしている人、槍を肩に担いでいる人、これらは 宴会の準備だそうです。 AlsaceのどこでかったのかおぼえていないのですがTerre Romane d'Alsace の英語版を買ったのですが、それにアルザスロマネスク21教会の説明が でています。
- 2022/09/04(日) 14:36:02 |
- URL |
- yk #i3bnT8TU
- [ 編集 ]
ykさん
いつも、補足いただき、ありがとうございます。
アンロ―ですか。もうね、色々見てるんですが、みんな違うんですよ、表記が。確かに、フランス語に忠実になろうとすると、アンロ―になるかな、と思ったんですけども。フランス語、ほんと、難しいわ。
現地で、本を購入されたのは、うらやましい限り。アルザスでは、本屋もなければ、教会での販売もなくて。
- 2022/09/05(月) 19:53:49 |
- URL |
- Notaromanica #-
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