最初で最後のアルザス中世、多分…(2019年4月)、その27
サン・ジャン・サヴァーヌSan-Jean-Saverneのサン・ジャン・バプティスト修道院教会Ancienne Eglise Abbatiale Saint-Jean-Baptiste、続きです。
今は、後代の棟とポルティコに阻まれて、オリジナルのファサードが見えなくなっちゃってるけど、扉部分は残っていて、「アルザスにおけるロマネスク時代の鉄細工としては、唯一無二のマスターピースである」とあったんだけど、これかな。

多分、土台は新しくしているけど、この鋳鉄の装飾的なやつは当時のもの、ということなのかな。でも、古いものに見えにくくて、風情が感じられない。
中の様子も、構造はロマネスクなんだけど、風情は…。

天井がリブ付きのヴォルトで、これはアルザスでも最も古いものということらしいです。イタリアでは、ヴォルトは、せいぜい側廊に見られることは多いけれど、中央身廊は、木製天井だったところが多くて、それは好まない人もいるようだけど、私は、このリブ付きのヴォルトはあまり好まないかな。
全体に、何もなさそうなんだけど、丹念に見ていくと、それなりに見とくべき装飾があります。

幾何学系モチーフが、大胆に彫られた柱頭。素敵…。

きっぱりとした迷いのないまっすぐの線とか、なかなか良いですよね。
下のぐるぐるも、間にあるうにょうにょも、好きなタイプです。
あっちこっちの片隅に、情けない表情系のおっさんが複数下を見下ろしています。

みんな、ひげもじゃ系で、顔にも入れ墨みたいな模様がついてるし、髪の毛も髭もヘリンボーンでもじゃもじゃ感が半端ないの。これは何だろう?バイキング的な?ケルト的な?彫りは、そんな古い感じじゃなくて、すごくしっかりしているから、結構ちゃんとした技術の石工さんが、古典的な雰囲気で彫った、みたいな感じなのかな。
身廊は、ロマネスク時代のものとされているので、構造と一体化しているこのような彫り物も、同時代と思われますけれどもね。

そして、見逃してならないのが、内陣右側身廊にある、この扉です。

ロマネスク時代のもので、かつては、回廊とつながる扉だったそうです。1800年代の修復時に、祭具室の扉となったそうです。

全体にうにょうにょ感が強い植物モチーフは、なかなか好きなんですけど、子羊、ちょっと子羊感、なさすぎません?これじゃ、子供のフリした大人じゃん、みたいな、笑。
ちなみに、羊の上部両脇にあって、お花にしか見えないやつ、五芒星なんだって。これまでこの手の見たら、お花だと思ってたけど、星だったということだね。また一つお利口になりました。

扉両脇の柱のモチーフがちょっとかわいくて、特に、戸棚で半分近く隠されちゃっている左側のやつ。身をつけたブドウつると棕櫚を交互に彫ってるけど、ブドウの房がやけにかわいいんだよね。
この扉、向かって左上に、こんな人も。

アトラスですかね。相変わらずかわいくないなあっていうか、ここの石工さんって、フィギュア苦手だよね?ってか、外の人も、植物モチーフの方が得意っぽいし、それならお互い無理にフィギュア系彫らないで、植物系に特化しようってすればよかったのになぁ、とか余計なこと考えてしまいます。

これ、オリジナルなんだとしたら、ほらね、正確無比。
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- 2022/10/23(日) 11:32:51|
- アルザス・ロマネスク 67-68
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