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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

マチルダさんのお庭をめぐる(トアーノ その3)

エミリア・ロマーニャの週末(2022年11月)、その3

トアーノToanoのサンタ・マリア・イン・カステッロ教会Pieve di Santa Maria in Castello、続きとなります。

教会からのアクセスは、後陣側からとなります。
結構な段差を登り、北側壁を回り込んで、ちょっと自分をじらすようなアクセス。

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美しく広がる風景なんかも眺めながら、こうなるとM入ってる状態ですけども、笑、結構な長旅してきてますからねぇ、気持ち的には、「いよいよご対面だ!」と静かに興奮していて、そういうはやる気持ちを、「いや、あまり期待しすぎると裏切られたとき辛いから」という、なんというのか、一人どうどう、みたいな、笑、そういう心境の足取りです。

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しかし、ここではそんな余計な心配は不要でした。

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扉からの最初の眺め。想像以上によかったです。
南壁に開けられた入り口も解放されていたため、右側が神々しく輝き、明るいのも嬉しかったですねぇ。

シンプルな三身廊構造で、サイズの大きい柱のインパクトがなかなかすごいです。そして、まず目が吸い寄せられるのは、その円柱がいただく柱頭ですよね。なんかありそうって思っただけで嬉しくなります。
立派なサイズの円柱に比例して、柱頭もどっしりと存在感があります。手前二つは、気になりますよね。

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向かって右側のは、植物モチーフをベースに、かなり細かい彫りが施されています。古典的な様子なんですが、なんと副柱頭には、怪物と、怪物に頭を食われている人が…。

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全体に、ロンゴバルド後期のテイストを感じるものとされています。
時代が古いですからね、ロンゴバルドやビザンチンや、ロマネスクのみならずのテイストが盛り込まれているようですねぇ。

地図を見れば、結構な山の中だし、孤立していそうな場所のように感じてしまうのですが、それは現在の感覚なんですよね、おそらく。
お城まで作られて、そして当時ブイブイ言わせていたカノッサの土地なわけですから、孤立どころか、という土地だったりするわけで、つまり、人や物の往来が、戦争も含めて盛んだったということで。

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内陣手前にある半柱頭も、とってもロンバルディアっぽい装飾彫り物です。正面部分はこんな様子ですが、脇の方は傷みが激しいので、正面に限って、修復されているのかもしれません。それにしてもかわいいですよねぇ。

現地でいただいた解説に、「ロマネスクのやり方に従って、どの柱頭も異なる意匠となっている」とあって、今更ながらそうだよなぁ、と思いました。もう、いつもそうだから、特段取り上げることもないことなんですけど、改めて言われると、ハッとするものです。
ローマはシンメトリー大好きだし、一糸乱れず一列に、みたいな感じで、一つの建物にあるものは柱も柱頭も同じ。ロマネスクは、時代的に、ローマのものを再利用したりという現実的な背景も関係するところがなくはないですが、あえてアシンメトリーとか、あえてバランス崩すとか、柱頭も一つ一つ違うとかなるわけですが、その後の時代は、また同じものずらり文化になるわけですよね。

なんかね、ロマネスクのそういうところが、日本のテイストにも通じるから、ロマネスクに惹かれる日本人が多いのかもなぁ、とか思ったりしました。洋食器と和食器の違いっていうか、笑、みんな違ってみんないい、みすず、っていうか。

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同じ内陣手前にある半柱頭。こっちもとてもロンゴバルド。

そして、入場してからずっと気になっている、手前側の左側の柱頭です。

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何やらごたごたとフィギュアが付いています。かなりプリミティブな手で彫られたヨスで、ダヴィデと鷲のストーリーとされています。頭が変な様子になっちゃってるけど、かわいらしい鷲がいますね。
と言って、ダビデと鷲のお話って何?

ダビデと言えば、ミケランジェロの彫ったゴリアテに立ち向かう姿が思い出されるわけなんですけど、なんだか色々と悪さもした人なんですね。それでも、神の恵みと哀れみによって、過去の失敗を糧に、前向きに生きることが出来る、鷲のように、寿命半ばにして、くちばしやつめ、毛などが新しくなって、再び雄々しく大空を飛び舞う、という旧約聖書の講和のようなものらしいですね。

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反対側にも鷲がいました。でも、角っこのフィギュアは、ダビデには見えないタイプばかりですよね。
こっちの鷲が、お魚を捕まえている様子で気付いたけど、反対側のわしは、鶏みたいの持ってるかもね。

同じ柱頭の内側に向いた部分は、玉座に腰掛けた聖母子像とされています。

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柱頭の他に、気になったアイテムがあります。
祭壇に並んでいたんですけどもね。

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状態がとても良いので、新しいものかと思うんですけど、形からは、軒持ち送りっぽいですよね。

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左の三体。

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右の三体。

いただいた解説には言及がなく、現地にも何も置かれていませんでした。
おそらくこのお像の下にある祭壇に、戦後内陣の床下から発見されたという石版が使われていたのじゃないかと思うんですが、お像に気を取られて、そちらはちゃんと見てなかった…。
1109年または1189年という年代が彫られているそうです(文字で彫られているため、正確な年代が特定されていないようです)。

というわけで、エミリアロマーニャの週末、一つ目は大ヒットとなりました。この辺りは、マチルダゆかりの土地も多く、マチルダにいざなわれるようにぶらぶらするのも楽しそうです。今後も、ボローニャに遊びに行く機会は定期的にあると思うので、少しずつ攻略していきたいものです。

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  1. 2022/11/21(月) 15:49:30|
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  3. | コメント:0
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