エミリア・ロマーニャの週末(2022年11月)、その5
激しく間があいてしまってすみません。
ボローニャBolognaのサント・ステファノ教会群Complesso di Santo Stefano - Sette Chiese、続きです。
前回同様、かつてホームページにあげていた解説を中心にまとめたいと思います。鍵かっこ内が、HPでの解説になります。
前回ご紹介したサン・セポルクロ教会を広場と逆の方向に出ると、建物に囲まれたぽっかりとした広場に出ますが、そこはピラトの中庭と呼ばれています。

しつこいようですが、この場所が、このように大勢の人に占拠されているのは、初めてです、涙。
正面が、サン・セポルクロ教会となります。
この広場で注目すべきは、まずは、そのサン・セポルクロ教会の外壁です。

「この、レンガの微妙な色の違いを利用して、ここまで装飾的なことができるということが、 初めて見たときは、本当に仰天しました。とにかく美しく、そしてかわいらしい。このようなレンガ装飾は、ほかで見たことがありません。」
最初に訪ねたときには、まだポンポーザなどにも未訪だったと思います。しかし、たとえレンガの印象的な教会を他に見たとしても、ここの壁面は、やはり印象的ですよね。

「庭の中央部には、ロンゴバルド時代の堂々とした水盤(730頃)が置かれています。かつては献金に使われたということですが、 水盤のふちに文章が彫られていることから、ロンゴバルドのリウトプランド王がこの地にかかわっていることがわかるのです。」
もう一度、サン・セポルクロの中に戻り、内部から直接つながっているお隣の建物に向かいます。

「聖ヴィターレ・アグリーコラ教会。 この教会は、ロンバルディア・ロマネスク様式をかなり忠実に保っていて、この教会群の中でもっともロマネスクの香り高い場所。」

「とはいえ、教会の起源はもっとずっと古くて、 サンタンブロージョによって発見された殉教者二人の亡骸を納めるための礼拝堂ですから、4世紀のこと(かつて亡骸が納められたいたと考えられる石棺が、今でも左右後陣に 置かれています)。」

永遠のシンボル、孔雀が、仲良くお水を飲んでいる石棺の一つ。おそらくサン・ヴィターレさんが収められていたもの。
そして、下のは、サン・アグリーコラさんのようです。

8世紀から9世紀のものとされています。特にアグリーコラさんの方の石棺浮彫が、非常によく保たれていますが、なんせ、暗い!
これだけ多くの人が来るのだから、有料のライトアップ施設くらい備えろよ、と思うんですけどねぇ。または、入場を有料にして、もうちょっとライトアップするとか。イタリアは、フランスに比べると、有料無料含めて、明りが乏しいです。それと、バチカンのバックアップが潤沢にあるのかどうか知りませんが、教会入場への有料化に、抵抗が大きい様子があります。それもよし悪しですが、個人的には、こういう都市の教会は、有料化してもよい、というか、すべきだと考えます。当該市民は無料にしてほしいですけれども…。
でもきっと、有料化すると、税金がどうの、チケット販売がどうの、かえってややこしくて難しい問題が山積みになるんですよねぇ、この国は。だから、はした金を徴収するなら、無料の方がよい、という考え方があり、過去は多くの遺跡やモニュメントが無料で公開されていたんですよねぇ。例えばラベンナとかアグリジェントとか、最初に訪ねたときは無料でした。でも、頑張って有料化したら、それでも見学者は来るし、より整備もできるようになるわけだし、やっぱり有料化の意義は大きいと思うんですが…。

「身廊を分割する柱やそれを装飾する柱頭は、さまざまな時代のものが使われていますが、どれもロマネスク初期またはそれ以前の時代のもの。」

この教会の壁面もまた、美しいレンガと石の組み合わせ装飾となっています。また、浮彫は、ロンゴバルド・テイスト満載。

右奥のは、マリアとエリザベツにも見えますが、手前はいきなりドラゴン。舌を引っ張って無力化してるのかな、笑。あ、昔漫画で、犬に襲われたら、舌を引っ張れば、犬は何もできないって読んだんで…。でも、そもそも舌を引っ張る行為をする前にやられると思う…。

実はつい昨日、久しぶりにパヴィアに行ってきたんですが、あそこはロンゴバルド総本山的な街で、サン・ミケーレという素敵な教会があります。そこの浮彫に、似たテイストのものがあったと思うのですが、なんと現在、絶賛修復中で、ファサードの3分の2が覆われていたので、柱頭再会ならず、でした。
さて、再び中に入り、この教会抜けて、サン・セポルクロ教会経由でピラトの中庭に出て、先に進みます。

「水盤を挟んで、サン・セポルクロ教会と 向かい合った位置に、トリニタ教会があります。この教会については、その歴史がほとんどわかっていません。当初は、殉教者の墓所にある礼拝堂として 使われた場所で、ロマネスク時代には、洗礼堂となったなど、諸説あるようですが、14世紀のフレスコがあったり、床も新しかったりしますが、明らかにロマネスク時代の柱頭 (私の好きな二股人魚がいらっしゃいます)が見られますので、その時代に何かに使われていたのは確実です。」

この場所、教会とはいえ、現在は、建物と建物をつなぐ通路的な位置付けとなってしまっていますので、もともとどういう形だったのか、想像するのも難しい感じですよ。
ということで、駆け足気味のサント・ステファノ見学、終了です。
実は、ボローニャ市内には、もう一つ絶対に訪ねなければならないクリプタがあるのですが、それは、先のお楽しみとしました。今後も友人を訪ねることは多々あると思いますので、一つずつクリアしていくのも、楽しいかな、と思いまして。
今回は、以前不可だった撮影可、という福音がありましたが、同時に訪問者の多さに辟易するというマイナスもありました。ただ、過去と比べて、あるもの自体の変化はなかったと思います。
このところちょこちょことお出かけしていて、数年たつと、修復が進んでいたり、結果、以前見られなかったものが見られるとか、様々な変化が、意外とあることに気付きましたので、行きやすい場所は、ある程度の時期を置いて再訪するのも、大いに意義があるのだと思っています。
では、ボローニャの町を見ながら、終了。

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- 2022/12/18(日) 11:20:08|
- エミリア・ロマーニャ・ロマネスク
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| コメント:2
お久しぶりです。
旅行、それに続く旅日記書き等で頭がイタリアにとんでいかなくて ご無沙汰しておりました。
ボローニャは二度、二度目は少し長期滞在でしたから、特に懐かしいです。
2015年、二度目に行ったときはこの教会の内部の写真も撮れました。人は少なかったのですが、 どうしても円形全部の柱は一度には撮れなかったですね。(旅路はるかに写真あり)
corsa様ほど丁寧に彫刻をみていなかったのか撮りこぼしもあり、 興味深く見せていただきました。
私は不整脈・心房細動があり、ここのところ2回続けて発作を起こしました。海外どころか、東京まで行くのも怖くなってきた状態です。年をとるということは顔のしわだけの話ではないのだと、つくづく 残念に思っています。Romanesqueは貴ブログで楽しむのみとなりました。これからも素敵なお写真期待しています。
- 2022/12/20(火) 02:16:54 |
- URL |
- yk #i3bnT8TU
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ykさん
ご体調の問題、大変そうですね。このところ日本は全体にとても冷え込んでいるようなので、どうぞくれぐれもお大事にお過ごしください。
久しぶりにアクセスいただいても、全然すすんでいなくて、がっかりさせてしまったかもしれなくて、申し訳ないです。仕事も忙しかったのですが、主にクリスマスカードに追われてしまって…。それも、本日無事終了しましたので、残り少ない年内ですが、がんばってアップしていきたいと思います。
今後、ツアーではなかなか行けない場所も多くあげられると思いますので、楽しんでいただければ嬉しいです。
まずは、メリー・クリスマス。
ご自愛ください。
- 2022/12/23(金) 17:46:24 |
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