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イタリア徒然

イタリアに暮らしながら、各地のロマネスクを訪ねた記録

カンタベリー司教の足跡を感じる地味な教会(カブリオーロ)

カンタベリー司教の足跡を感じる地味な教会(カブリオーロ)

一年前のエミリア周遊(2021年10月)、その1

前回の記事で思いついたように、一年どころかのスパンで眠っている写真も数多いのですが、お勉強観点からも、せっかくですから、同地域の教会をまとめてみます。その時は、ミラノとボローニャの間の土地しか回っていないので、地域としてはエミリアとなります。

この時も、ボローニャの友人と会うために、ボローニャを訪ねる一泊二日の週末旅でした。思えばその翌月、交通事故で大けが、というタイミングでしたねぇ。もし、そこでいなくなっていたとしたら、その後友人から、「あの時は…」と長年偲ばれる訪問になっていたことでしょうけれど、そうはならず、今年も訪問ができて、本当にありがたいことでした。折に触れ、事前事後に思いがいきます。

そういうわけで、行きは、ミラノから南下する道なりに見学をして行き、帰りは逆のパターンとなります。

エミリアは、ロマネスクにはまったものの、どこで何を見たらよいのか分からない時期に、よく出かけた地域ですが、当時は運転技術の問題もあったり、カーナビがなかったり、たどり着くことすら大冒険、みたいな状態だったので、あそこにある、と知っていても訪ねることが出来ていない教会が、まだ結構ある地域です。

さて、この時は、今回よりもちょっとだけ早い時期でしたが、記録を見ると、やはり霧がかなり出ていたようです。場合によっては、ボローニャ直行かと思うくらいでしたが、結局フィデンツァあたりで晴れてくれたので、無事、予定通りに高速を降りて、最初の目的地に向かいました。

しかし、路肩にあったPieve Romanicaの表示が目に付いてしまって、急ぐ旅でもなかったことから、わざわざ引き返して、表示のあった道に入ってみました。

emilia 189

カブリオーロCabrioloのサン・トマス・ベケット教会Chiesa Parrocchiale di San Tommaso Becketです(ミサ、日祭日前日17時、日祭日10時、訪問は教区司祭Don Marek Jaszczakの携帯に連絡、またはOratorio di San Micheleに頼む 9-20)。

ここも訪ねる予定にしていた教会で、事前に電話番号を見つけて何度か連絡を試みたのですが、まったく通じず、でした。一応、昼休みを除いては開いていることになっていましたが、そういう様子は全く見られず、おそらくミサの時間だけのオープンと思われます。
教会前には、訪問方法が、割と細かく記されており、司祭さんの携帯電話番号もあったのですが、ただ、内部に何らかの装飾的アイテムがある様子はなかったので、ここでは、突撃する気にはならず、外観だけ見て、引き上げました。

さて、この教会、というかこの辺にある教会って、基本的にはVia FrancigenaまたはVia Romea、つまり欧州北部からローマに通じる巡礼路にあります。この教会が、カンタベリー司教だったサン・トマス・ベケットに捧げられているのも、おそらくそういうところと無縁ではないと思います。確かこの司教さん、巡礼路を歩かれているんじゃなかったですかね。

emilia 190

ファサード側はこのような様子で、後代の修復再建が相当入っていて、ロマネスクとは思えない状態になっています。やはり見るべきは、後陣部分となります。

emilia 191

レンガやテラコッタで作られていて、いかにもイタリア北部のロマネスク。
7本のつけ柱につながるブラインドアーチだけ、と装飾というには、あまりにも地味、というところでしょうか。
三つ、開口部がありますが、これは20世紀に行われた修復の賜物、いや、言い方によっては改悪にもなるのかな?

中央部のは、その時、閉ざされていたのだそうです。それを、再び開けたということです。

emilia 192

どういった形で閉ざされていたのかは不明ですが、構造はそのままに、石とか粘土とかを押し込んでたとかそういう感じですかね。構造はオリジナルっぽいですよね。地味ながら、隅切りの深さ、レンガや石積みの様子は、結構好きなやつです。

そんで、その際、両脇のやつは、開けちゃったんだそうです。

emilia 193

レンガの様子も違うし、すっきりしているけど味わいは、やはりオリジナルの方がだんちにありますよね。
それにしても、何もわざわざ開けなくても、と思うけれども、もっと光を!って要望があったんでしょうかね。

ま、そんな感じです。
鐘楼も、基部ができたのが15世紀初頭で、その後20世紀に鐘が作られたくらいに新しいもの。ロマネスク観点からは、後陣、そして巡礼の道にあること、カンタベリー司教に捧げられたこと、押さえることは。

サクサクと、次に進みます。

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